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週末の関東地方は、広く警報級の大雪の可能性ありとの発表、そのわけは?

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
首都圏の雪(写真:西村尚己/アフロ)

南岸低気圧が通過へ

20日(土)午前9時の予想天気図(ウェザーマップ発表に筆者加工あり)
20日(土)午前9時の予想天気図(ウェザーマップ発表に筆者加工あり)

週末の関東地方は、山沿いを中心に大雪となるおそれがあり、平地でも積雪となる可能性があります。とはいえ、どの程度降るのか、平地で雪になるのかなど、引き続き、なんとも悩ましい状態です。

関東地方で雨や雪が降るのは、上図のように、本州の南岸を通過する、いわゆる南岸低気圧の影響です。そして関東の上空には、山沿いで雪が降る下層寒気が予想されているものの、平地に関していえば、雪になるのか、みぞれになるのか、雨になるのか、とても悩ましい状態の寒気予想となっています。

大雪警報の可能性が、広く[中]で発表中

早期注意情報(気象庁発表をウェザーマップが作成)
早期注意情報(気象庁発表をウェザーマップが作成)

関東甲信地方には、きょう18日(木)昼前、早期注意情報(警報級の可能性)で、あさって20日(土)から21日(日)にかけて、大雪警報の可能性[中]が発表されました。東京地方にも、2日続けて、発表されています。この警報級の可能性[中]というのは、[高]ほど発表の可能性は高くはないものの、気象条件により、一定程度認められる場合に発表されます。

後述しますが、今のところ、平野部では雨が主体で降る可能性が高いものの、下層寒気が強くなれば、降水現象が雪に変わり、一気に降り積もる可能性が一定程度ある(そのようなコンピュータの計算もある)ということで、大雪警報級の可能性を[中]で発表してきたのだと思います。

例えば、気象庁が発表している東京地方の府県情報では、あさって20日(土)午後から21日(日)にかけて雪や雨が降り、多摩地方を中心に大雪となる所があるでしょう。予想より気温が低くなったり、降雪が強まったりした場合には、多摩地方を中心に警報級の大雪となる可能性があり、23区でも積雪となる可能性があるとの発表になっています。

MSM予想では?

MSMによる雨や雪の予想(ウェザーマップ)
MSMによる雨や雪の予想(ウェザーマップ)

では、格子間隔5キロで計算されたMSMの雨や雪の予想をみてみましょう。関東で降水現象が始まるのは、あさって20日(土)夜になってからで、21日(日)に日付が変わる頃には、長野や山梨を中心に、関東西部の山沿いでも、大雪が予想されています。ただ東京都心を含む平地では、今のところ、21日(日)にかけて、雨が主体で降る予想です。(数値予報の種類

GSM予想では?

GSMによる雨や雪の予想(ウェザーマップ)
GSMによる雨や雪の予想(ウェザーマップ)

一方、格子間隔13キロで計算されたGSMの雨や雪の予想では、関東の降り出しはもっと遅く、21日(日)に日付が変わった頃となっています。その後は、MSMと同様に、時間のずれはあるものの、長野や山梨などを中心に、山沿いで大雪が予想されています。そして、MSMと同様に、東京都心を含む平地では、今のところ、雨が主体で降る予想です。

このように、現在のコンピュータの予想では、山沿いで雪が降り、大雪のおそれがあるものの、平地では、おおむね雨が主体で、積雪となるような計算とはなっていません。とはいえ、南岸低気圧における関東の降水現象は、気温が1度違うだけで、状況が一変する可能性があります。最新の情報にご注意ください。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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