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センバツ開催か、中止か  結論を一週間先送り

森本栄浩毎日放送アナウンサー
センバツは無観客を前提に開催へ舵を切ったが、最終的な判断は先送りした(筆者撮影)

 19日開幕のセンバツ大会は、4日の運営委員会と臨時の理事会で、開催するか否かについての結論を出すはずだった。しかし、新型コロナウイルス感染による、事態の急速な悪化と、今後が見通せない中、「球児たちに憧れの甲子園で何とか試合をさせたい」(丸山昌宏・毎日新聞社社長=大会会長)という主催者の思いが強く、無観客による開催を前提に、最終判断を一週間、先送りした。11日に臨時の運営委員会を開いて、最終的な結論を出す。

感染防止策を万全に開催へ

 4日朝の拙著では、「結論を先送りする可能性も」と記したが、主催の高野連と毎日新聞社は、筆者が思うような事態の好転を期待しているわけではない。八田英二・日本高野連会長は、「生徒の安全を確保するため、感染症の専門家や内科医の意見を聞きながら、一週間、最大限の努力をしたい」と強調した。まず、無観客(タイトル写真=センバツ甲子園練習時)ということは、応援団や卒業生はもちろん、在校生や選手の保護者も球場には入れない。

会見で、「感染防止策を万全にする」と開催への決意を述べる八田会長(3月4日、筆者撮影)
会見で、「感染防止策を万全にする」と開催への決意を述べる八田会長(3月4日、筆者撮影)

 八田氏は、「宿舎での接触もさせない」と話した。来阪にはどのような手段が一番、安全か。宿舎での生活をどうするか。試合日の甲子園までのバスは、主催者が用意するとし、チームの専用バスは使用させない。取材のメディアも、体温チェックやマスクの着用を義務付け、インタビューもスタンドで一定間隔離れて行うなど、限りなくリスクを減らすよう模索するという。

開催決めても状況次第では中止

 大会は休養日を含め13日間と長く、記者から「大会中、選手に感染者が出たらどうするか」という質問も出た。丸山大会会長は、「常識的に大会を続けることは不可能」とし、仮に11日に開催を決めても、開幕までの状況次第で「新たな(中止という)決定もある」と話した。大会前の行事(主将トーク、研修会、責任者会議、甲子園練習、開会式リハーサル)は、抽選会を除いて全て、キャンセルとなった。開会式も中止で、選手たちはまさに「試合をするだけ」になる。抽選は、設定どおりの13日に行うが、毎日新聞社による代理抽選(ネット配信予定)で、14時開始となる。

32校揃ってこその大会

 上記の予定は、あくまで開催を前提としたもの。八田氏は、「中止は簡単な選択。11日までに感染予防の対策を万全にしていく。できなければ、中止を宣言することになる」と、開催へ並々ならぬ決意を述べた。しかし、全国一斉休校を受け、部活動を停止している出場校が大半で、32校が揃うのだろうか。学校関係者が関われない大会に、大事な生徒を預かる校長が、出場に同意するだろうか。特に7校ある公立校は、校長の裁量だけでは決められない。地域の教育長や行政の意見も無視できないはずだ。筆者は朝の記事で、「選ばれた32校は、この大会にしか出られない」と書いたが、1校でも辞退したら、開催する意味はないと思う。「すでに出場校には内々でコンタクトを取っている」(八田氏)ようだが、この日の「無観客」という決定はかなり重い。出場校のすべてが、主催者の安全対策を信じ、選手たちを気持ちよく送り出してくれるか。長く辛い一週間になる。

 

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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