不人気な尹錫悦大統領 支持率下落により元徴用工問題で日本に譲歩ができなくなった!
韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の支持率が一向に上がらない。尹大統領がマドリードで開かれたNATO首脳会議に出席し、帰国した1日に韓国世論調査会社「韓国ギャラップ」による大統領の職務遂行に関する調査結果が発表されたが、「評価する」43%、「評価しない」42%と拮抗していた。「評価する」は前週に比べて4ポイントも下落していた。
政権与党が大勝した6月1日の地方自治体選挙直後の尹大統領の支持率は53%あった。しかし、その後の調査では49%→47%→43%と下落の一途を辿り、この1か月で10ポイントも支持率を落としている。
一方、「韓国ギャラップ」と並ぶ大手世論調査会社の「リアルメータ」の調査では「評価する」と「評価しない」が逆転している。
「リアルメータ」が6月20~24日に掛けて全国約1千人を対象に行った調査によると、尹大統領の国政遂行について「評価する」が前週よりも1.4ポイント減の46.6%に対して「評価しない」が2.3ポイントアップの47.7%と、この時点で「評価しない」が逆転していたが、27日から7月1日に掛けて行った調査では「評価する」が44.4%、「評価しない」が50.2%と、その差がさらに開いていた。
さらに、昨日(3日)発表された世論調査会社「リサーチ・ビュー」の調査(6月28―30日)でも「評価する」45%に対して「評価しない」は51%と、6ポイントも上回っていた。「評価する」は前回の調査(5月28~30日)から8ポイント下落し、逆に「評価しない」は11ポイントも上がっていた。NATO首脳会議や日米韓首脳会談に出席するなどの外交デビューは欧米では評価を受けたものの国内での支持率のアップには繋がらなかったようだ。
特に、3月の大統領選挙では尹大統領に票を入れた中道層の離反が著しく、「評価する」は31%しかなかった。どちらにしても、いずれの調査でも尹大統領の支持率は大統領選挙で得た得票率48.6%よりも下回っていた。ちなみに岸田文雄首相の支持率はNHKの調査(6月10~12日)では過半数を上回る59%に達している。
大統領の支持率と並んで政党の支持率に関する調査も同時に行われたが、「韓国ギャラップ」の調査では与党「国民の力」の支持率は45%、最大野党「共に民主党」は39%。両党とも前週よりもそれぞれ2ポイント、1ポイント支持率を下げていた。
一方、「リアルメータ」の調査では「国民の力」は前週よりも1.3ポイント低い43.5%に対して「共に民主党」は0.8ポイント増の40.3%。「国民の力」が3.2ポイント上回っていたが、同党の支持率は5週連続で下がっている。
また、「リサーチ・ビュー」での「国民の力」の支持率は45%と、「共に民主党」の39%を6ポイントも上回っていた。
いずれの調査でも「国民の力」が「共に民主党」をリードしているが、新進の世論調査会社「メディアトマト」が7月1日に全国約1千人を対象に実施した調査では「国民の力」は41.9%と、「共に民主党」の44.5%よりも2.6ポイント下回っていた。
与野支持率の逆転は「国民の力」が前週よりも3.5ポイント下げ、逆に「共に民主党」が4.3ポイント上げたことによる。5月の第2週までは「国民の力」が「共に民主党」に二桁の11.3ポイントの差を付けていただけに与党にとっては衝撃的な結果となった。
尹政権の支持率が上がらない要因については以下、5点が挙げられている。
▲物価高
▲中小企業対策
▲検察出身者に偏重した人事
▲政権与党内の「権力抗争」
▲李俊錫(イ・ジュンソク)代表のスキャンダル
上昇一方の物価高は歯止めがかからず、消費者物価は23年ぶりに6%台まで上昇すると予測されており、「コロナ」で被害を被った中小企業に対する補償も守られないことから国民の間では「無策」批判が噴出している。
加えて、国民の期待に沿う政治を行うべき与党内で大統領派と李代表との確執が激化する一方で、李代表自身の「セックススキャンダル」が表面化したことで政権与党に対する国民の期待がしぼみつつあるようだ。
こうした政権与党の支持率急落について与党の金鍾仁(キム・ジョンイン)前非常対策委員会委員長は「政権が発足してまだ50日しか経っていないのに不支持が支持を上回るような結果が出たのは尋常ではない。深刻な事態だ」とあるラジオ番組で語っていた。
支持率が低いと、また外交が得点にならないとなると、意欲を見せていた日本との関係修復に二の足を踏む可能性も考えられる。
尹政権は今日(4日)にも元徴用工問題の解決策を協議する官民合同の協議体を発足させるが、日本に接近するため元徴用工問題で譲歩すれば、支持率をさらに下げる恐れもあることから協議体を発足させても急いで結論(解決策)を出さないことも考えられる。