中古で人気の「小型iPhone」 いつまで続く?
日本の中古スマホ市場では、小型のiPhoneが売上ランキングの上位を占める状況が続いています。
しかしアップルから小型の後継機種が出てくる気配はいまのところありません。小型iPhoneが選ばれる状況はいつまで続くのでしょうか。
中古スマホの上位は小型iPhone
日本の中古スマホ市場では「iPhone SE」や「iPhone 8」といった小型のiPhoneが売上ランキングの上位を占めることが定番になっています。
中古スマホショップ「にこスマ」の運営会社であるBelongによれば、2023年度にはiPhoneの人気上位10機種のうち5機種を小型iPhoneが占めたとしています。
大きな理由として考えられるのは価格の安さですが、iPhone 11よりも平均価格が高い第3世代のiPhone SEが上位にランクインしているのは目を引きます。
売れている機種に共通する特徴として、画面サイズは4.7インチ、指紋認証(Touch ID)を搭載し、重量は150グラム未満となっています。安さだけでなく、小型軽量を求めるニーズもありそうです。
また、「mini」シリーズ最後の機種である「iPhone 13 mini」にも根強い人気があるようです。Belongが独自に調査したフリマ市場の調査では、2023年度にiPhone 13 miniの価格は9.3%しか下がっていないとしています。
すでに底値に達しておりこれ以上値段が下がらない2018〜2019年の機種に比べると、2021年発売のiPhone 13 miniの存在感が際立っている印象です。
日本における小型iPhoneの人気は、世界的なスマホの大画面化のトレンドとは対照的です。電車の中で片手で使えることや、画面が小さくても打ちやすいフリック入力の存在が背景にあると考えられています。
サブ端末の需要もあるようです。仕事用ではない、プライベート用のサブ端末を持つ人は全体の1割強と多くはないものの、そのうち3割程度が中古を活用しているとのこと、用途としてはカーナビや音楽再生の専用機、ライブ配信のコメント用を挙げています。
ただ、その日本でもスマホには大画面を求める人のほうが多いとみられます。ソニーが小型モデルの投入を見送るなど、新機種は途絶えつつあり、「iPhone SE」の新機種が出るとしても6インチ台になると予想されています。
小型スマホの今後の見通しについて、「日本では中古が重宝される傾向が続くとみているが、中古事業者としても新品端末が供給されないと難しい。Androidの小型モデルなどで需要をカバーしていくのではないか」(Belong コンシューマ事業部門長の大野正稔氏)との見方を示しています。
Apple Intelligenceの登場でどう変わる?
iPhoneが「寿命」を迎える理由として、ハードウェア的な故障以外に、ソフトウェアの対応もあります。
その点、最新の「iOS 18」の対応機種はiOS 17から変わっておらず、小型iPhoneとしては第2世代と第3世代のiPhone SE、iPhone 12 mini、iPhone 13 miniに対応しています。
2018年発売のiPhone XSなどは1年延命される形になりました。2022年発売の第3世代iPhone SEにも、2029年くらいまで最新のiOSを期待できるとなれば、サブではなくメイン端末として小型iPhoneを使いたい人に朗報といえます。
ただ、気になるのは「Apple Intelligence」の存在です。現時点での対応機種はProシリーズが「iPhone 15 Pro以降」、通常モデルは「iPhone 16以降」となっています。
Apple Intelligenceが日本語に対応するのは2025年からで、しばらく影響はなさそうですが、その内容次第では多くのiPhoneを過去のものにする可能性を秘めています。小型iPhoneに引導を渡す存在になるかもしれません。