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太陽系から最も近い恒星系「アルファケンタウリ」はどんな世界?

ESA/Hubble

どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。

今回は「αケンタウリの構図」というテーマで解説していきます。

最も近くにある恒星系αケンタウリは、どのような世界なのでしょうか?

αケンタウリは、三つの恒星が重力的に拘束しあい、お互いを公転しあっている「三連星系」です。

太陽は単体の恒星ですが、宇宙の恒星の半分以上が連星を成しているというデータもあります。

星系の中心に位置するαケンタウリAとαケンタウリBは、約80年の周期で公転しあっています。

この2つの恒星は、太陽から約4.3光年彼方に存在します。

2つの星の間の距離は最も遠いときでも35.6天文単位、太陽と海王星の距離より少し遠い程度までしか離れず、最も近いときで11.2天文単位、太陽と土星より少し遠い程度にまで接近します。

もう一つの恒星「αケンタウリC」通称「プロキシマ・ケンタウリ」は、他の2つの星から約13000天文単位も離れており、系の共通重心を547000年かけて公転しています。

プロキシマケンタウリの太陽からの距離は約4.24光年と、AとBよりもわずかに近い位置にあります。

つまりこのプロキシマこそが、太陽に最も近い恒星なのです。

また恒星は一般に、恒星中心部で起きている核融合反応という反応によりエネルギーを生み出し、輝き続けていますが、恒星の組成の大部分を占める水素の核融合を起こしている恒星は「主系列星」に分類されます。

太陽も主系列星であり、αケンタウリを構成する3つの恒星も全て主系列星です。

○αケンタウリA,Bの特徴

αケンタウリ系で最も大きい恒星であるαケンタウリAは、質量は1.1倍、半径は太陽の1.22倍ある、太陽より少し大きい恒星です。

表面温度は約5500度と太陽と同程度で、エネルギー放出量は太陽の約1.5倍です。

2021年には直接観測により、αケンタウリAから約1.1天文単位離れた場所に、地球質量の20~50倍の質量を持つガス惑星「αケンタウリAb」が存在する可能性が示されました。

しかし撮影されたAbの像は単なるノイズである可能性もあり、存在を確かめるには追加の検証が必要であるとされています。

A星に次ぐ大きさの恒星であるαケンタウリBは、質量は0.9倍、半径は太陽の0.86倍ある、太陽より少し小さい恒星です。

表面温度は約5000度、エネルギー放出量は太陽の半分です。

2012年にはB星を公転する惑星の存在が示唆されましたが、後に誤りである可能性が高いと判明しました。

現在でもB星を公転すると確かめられている惑星の候補は存在していません。

○プロキシマの特徴

プロキシマケンタウリは質量が太陽の12%、直径は太陽の7分の1しかない小柄な恒星で、主系列星の中でも最も小柄な「赤色矮星」に分類されています。

表面温度は約2800度で、エネルギー放射量は太陽の0.17%と控えめです。

恒星の質量が小さいため、核融合反応を起こすための燃料は少ないですが、その消費ペースが緩やかであるため、主系列星の段階が4兆年も続くと考えられています。

プロキシマの周囲には、3つの惑星候補があります。プロキシマbは2016年に発見された惑星で、プロキシマから0.05天文単位の距離を11.2日周期で公転しています。

bは地球の1.3倍の質量を持つ岩石惑星であり、ハビタブルゾーン内を公転しているため、平均温度は-39度と低めですが、液体の水とさらには生命の存在も期待されています。

しかしプロキシマは強烈な恒星フレアによる急激な増光を繰り返す「閃光星」に分類される恒星です。

惑星bは至近距離から強力なフレアを浴びせられるため、生命の存在には疑問の声もあります。

また2020年にはプロキシマc,dも発表されました。

cはプロキシマから約1.5天文単位の距離を公転する、地球の6~8倍の質量を持つ惑星で、温度は極めて低く、-234度しかありません。

不確実ですが、cには土星よりも巨大なリングが存在している可能性があります。

しかしそもそもcの存在自体を疑問視する声もあります。

プロキシマdはプロキシマから0.029天文単位の距離を5.1日周期で公転している、地球の約25%の質量の惑星です。

表面温度は高温で、約87度であると予想されています。

https://i4is.org/reaching-the-stars-in-a-century-using-fusion-propulsion/#gsc.tab=0

https://www.youtube.com/watch?v=xRFXV4Z6x8s

https://www.eso.org/public/videos/eso1241a/

https://www.eso.org/public/videos/eso1629c/

「宇宙ヤバイch」というYouTubeチャンネルで、宇宙分野の最新ニュースや雑学などを発信しているYouTuberです。好きな天体は海王星です。

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