甲子園で中谷が3安打と躍動!チームは4年ぶりの貯金7《7/28 阪神ファーム》
まもなく始まる夏の高校野球、各地で代表校が決まっていますね。タイガースの1軍は、8月2日のヤクルト戦が終わると甲子園球場を高校球児に明け渡しますが、その1軍がナゴヤ遠征中のきのうときょう、ファームがソフトバンク戦を行っています。早いもので、ファームの甲子園開催ゲームはこれが今季最後となりました。
きのう28日は阪神・山本投手、ソフトバンク・攝津投手の投げ合いで始まり、山本投手の押し出し四球でソフトバンクが先制。一方の打線は、攝津投手のシンカーに手こずって序盤はチャンスなし。しかし5回に横田選手のタイムリーと相手エラーで逆転して、7回にも陽川選手のタイムリーが出ました。最後に石崎投手がソロを浴びますが、1点差で逃げ切ってチームは3連勝。
ずっと3位にいる阪神ですが、これで2位のソフトバンクよりも先に40勝到達、貯金は今季最多の7としています。ちなみに7つも貯金ができたのは2011年8月14日以来(この年も7が最多、2012年は3、2013年は2、昨年は6)で、4年ぶりのことです。そう思うと、お金持ちになった気分ですね。
《ウエスタン公式戦》7月28日
阪神-ソフトバンク 13回戦 (甲子園)
ソフ 010 000 001 = 2
阪神 000 020 10X = 3
◆バッテリー
【阪神】山本-○玉置(1勝2敗6S)-島本-金田-S石崎(3勝3敗4S) / 梅野
【ソフ】●攝津(1敗)(6回)-柳瀬(1回)-金無英(1回) / 斐紹
◆本塁打 カニザレス9号ソロ(石崎)
◆二塁打 荒木
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率
1]指:緒方 (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .226
2]二遊:森越 (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .344
3]中:伊藤隼 (3-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .262
〃二:荒木 (1-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .169
4]左:ペレス (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .309
〃左:田上 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .259
5]捕:梅野 (3-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .304
6]一右:中谷 (3-3-0 / 0-0 / 0 / 0) .299
7]遊三:北條 (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .256
8]三一:陽川 (3-2-1 / 1-0 / 0 / 0) .250
9]右中:横田 (3-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .214
◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ
山本 4回 58球 (2-3-2 / 1-1 / 1.64) 138
玉置 1回 17球 (0-3-0 / 0-0 / 4.56) 140
島本 2回 31球 (2-2-0 / 0-0 / 2.86) 143
金田 1回 12球 (0-2-0 / 0-0 / 4.50) 145
石崎 1回 18球 (1-0-1 / 1-1 / 4.10) 151
試合経過
1回は三者凡退で立ち上がった山本。ところが2回、4番のカニザレスを打ち取ったあと塚田に中前打、2死後に白根の右前打、続く金子圭に四球を与えて満塁として、9番・古澤の押し出し四球で先に失点しました。でも3回、4回は再び三者凡退と、2回以外は完璧に抑えています。5回に登板した玉置は7月5日以来の実戦ながら金子圭、古澤、真砂の3人を、すべてチェンジアップで三振!
ただしソフトバンクの先発・攝津に対して打線は、2回2死から中谷が放った右前打1本のみ。コントロール抜群のシンカーなどで、4回までに早くも6三振を奪われます。5回も先頭の梅野が見逃し三振に倒れましたが、中谷は初球の真っすぐを中前打!2死後に陽川が粘って、中谷と同じく外の真っすぐを左前へ。これで2死一、二塁となって続く横田はカーブを打って中前タイムリー!その打球を捕ったセンターの江川が三塁へ悪送球、陽川も生還して勝ち越し!素早く三塁へ進んだ横田はナイスバッティング&ナイスランでした。
2対1と逆転して迎えた6回、今度は7月11日以来の登板となる島本がマウンドへ。江川と塚田にヒットを許しながらも0点に抑え、次の7回はビシッと三者凡退!すると、6回は森越の中前打があったものの併殺など3人で片づけられた打線は7回に追加点を挙げます。この回は2人目の柳瀬で、1死から中谷が中前打するも北條が遊ゴロで併殺…と思いきや、二塁封殺のあとセカンド古澤の送球エラーでボールは一塁ベンチ横に飛び込んでしまい、北條は二塁へ。続く陽川が左中間へタイムリー!3対1となります。
8回は金田が2三振を奪うなど三者凡退で、その裏の攻撃は2死から途中出場の荒木が粘って金無英の真っすぐを右中間へ二塁打するも追加点はなし。9回は石崎が3試合連続の登板。いきなり先頭のカニザレスに151キロの真っすぐを左中間スタンドに放り込まれ1点差となりましたが、塚田と斐紹を内野ゴロで打ち取って2死。代打・松中には1球ファウルのあとボールが3つ続き、石崎は何度かサインに首を振ります。あげく梅野がマウンドへ行って、選択したスライダーも外れて四球。しかし最後は代打・釜元を右飛、風にあおられた打球を中谷がつかんで試合終了です。
ともに失点を悔やむ山本、石崎
山本投手は「2イニング目が課題点となりました」と2回の投球を反省。特に「8番で切れていたら結果は変わっていたと思う」と、2死一、三塁で8番の金子圭選手に与えた四球を悔やみます。「8番、9番にフォアボール。1点で済んだけど、点の取られ方が…。そういうところを直していきたい」。ボール自体はよかったし、2回以外は完璧だったものの「ゲームに入る時に不安とあると、それが出てしまう。3回、4回はシンプルに考えるようにして結果がついてきたけど」と納得はできない様子でした。
それでも4回2安打1失点でゲームは作った山本投手。「(前回、11日の)オリックス戦よりは球がよくなったと思います。最後はインコースもしっかり使えたのはよかったけど、2回みたいなことが起きてしまうのは球がずれているとか、何か原因があったと思うので」。やっぱり反省の言葉が続いてしまいますね。「きょうはバッターと勝負できずに、自分の不安と戦ってしまった」とのこと。2回に初ヒットを許してセットポジションになった時、それが表に出てきてしまったのでしょう。
次は、9回に登板した石崎投手です。カニザレス選手に打たれたホームランは、148キロの直球を続けファウルと空振りで追い込んだあと一度だけ首を振って投じた、この日最速の151キロ。「真ん中でした。首を振って投げたんで梅野のせいじゃない。早く勝負したかった。ストライク2つ取って欲が出たんだと思います。もっと冷静になった時、もっといい選択肢があっただろうに」。とはいえ追いつかれることなく終わり3試合連続の4セーブ目。連投の疲れは?「まったくありません!」。頼もしい言葉です。
島本「配球を学んで」再挑戦
久しぶりの登板だった島本投手ですが「ずっとピッチングはしているし、それは特に。ずっと変わらず、いい状態」と話しています。甲子園球場については「やっぱり、なんか…イヤ。投げにくい」と苦笑。6回は2安打で一、三塁のピンチを作ってしまったものの「1イニング目は(江川選手に対し)いいところで空振りを取って、追い込んでからレフト前に打たれた。ちょっと甘くなったんで。だからそれを逆にして、最初は甘いとこ入っても最後は“ストライクからボールになる球”を投げた。2イニング目はしっかり修正できました」とうなずきます。
さらに「きょうは配球面で、首を振ったりして、自分でも考えながら梅野さんと話してきた。1軍ではまだ自分の打ち取り方がわからず、勢いだけで投げていたので。1軍でも(きょうみたいに)考えながらできれば、余裕を持っていけると思います。うわ~何だか大人のコメントじゃないですか。成長著しいとは、こういうことを言うんでしょう。去年までキャッチャーのサインに首を振ることさえなかったのに。
1軍からファームへ戻ってきた時、中西1軍投手コーチにこんなことを言われたそうです。「コントロールをよくするとか、真っすぐを速くするとかじゃない。いい球をどうするか、その配球を学んで来い。2イニング、3イニング目で修正できるように」と。それを受けて「きょうの2イニング目で、それができました。本当は1イニング目からできないと代えられてしまうんですけど。あとは左バッターをしっかり抑えることと、右バッターでも使ってもらえるようにしたい」と島本投手。本当に大きくなりましたね。
3割まであと1歩!中谷
攝津投手からの2本を含む3打席連続安打で、打率が.299となった中谷選手。「よかったです。3本とも全部、狙い球を絞った中でのヒットでした。2打席目(5回の左前打)は真っすぐを狙って真っすぐを打てたんでよかった。長打も増えればいいなと思いながらやっています。こんなこと言うとアレですけど…余裕が出てきたおかげで『長打も』と状況を見ながら考えられる。いい結果につながっていけばいいなと思います」
摂津投手から打ったことは?「自信になります。でも1日1日、1打席1打席、悔いなくやるように。それだけです」。同い年の江越選手が1軍で活躍していることを振られ、本当に仲良しなので「やっぱり来たか~」という顔でニヤニヤしながら「自分は自分、あいつはあいつ。もちろん刺激にはなりますが、自分のやれることをやるだけです」と答えました。打席数も多くなってきたため一気に上がらない打率ですが、ずっと2割9分前後をキープしています。でも、きょうは3割超えのチャンス!
掛布DCによれば「中谷はバッティングが変わってきた。右方向ばかり意識していたのが、うまくボールを叩けるようになってきた。江越のホームランも刺激になっているだろう。かなり手応えを感じているでしょう。内容のある3本だったね」とのことでした。
陽川&横田も攝津打ちを自信に
また掛布DCは攝津投手に関して、その制球力を評価しつつ「球数が増えてから変化球が甘くなってきた。甘いボールへの対応が、中谷にしてもよかったんじゃないかな」と言います。「陽川は低めをカットできていた。横田も、ああいう場面で打てるのは彼の成長。きょう試合前に横田とマンツーマンでロングティーをやって、左の肩が前に出て打ちにいく傾向があるので、それを直すように言ったんだよ。左バッターの宿命なんだけどね」。では名前の出た2人にも話を聞きましょう。
マルチヒットの陽川選手は、5回に攝津投手から放った左前打を「すぐ追い込まれたし、その前の打席はシンカーで三振していたので、シンカーが来るかなと思っていました。ああいう形になってよかったです」と振り返りました。そう!右バッターにシンカーが来たんですよねえ。「シンカーが一番いいと聞いていたけど、思った以上によかった」。で、結局は「シンカーを意識しながら」外の真っすぐを打ったものです。
「なかなか対応できなかった」という攝津投手からヒットを打ったのは自信になりますね。「そうですね。1軍であれだけ投げているピッチャーですから、自信にしていきたい」。きょう29日先発の千賀投手に「真っすぐが速いし、自信を持って放ってくる感じ。それを仕留められたらと思います」と陽川選手。実戦復帰してから1ヶ月あまりで「最初の頃に比べたら、だいぶ感覚は戻ってきた」とか。これからもっと上がってきますよ、きっと。
横田選手は攝津投手のカーブ(107キロ)を打って同点タイムリー。相手エラーを誘って勝ち越し点にもつなげました。「打ちたかったんでよかったです。全部コントロールがいいので、全部狙っていました」。試合前に掛布DCとロングティーバッティングをして、さっそく成果が出たというわけではないみたいで「まだです。もうちょいです」とのこと。いま4試合連続安打中ながら「まだ長打が少ないし、三振が多い。まだまだです」と首を振るばかりです。でも今季中に1軍へ行きたい思いは強く持っています。最後に、甲子園出場を決めた母校・鹿児島実業へ差し入れは?と聞いたら「考えときます!」という返事でした。
最後に、きょう29日で21歳になる北條選手は「あした打てるかな~。いま調子よくないんですよ。肩がこうなって」と突っ込んでいく仕草を見せます。バースデーヒットが出るといいですね。「あ、去年の誕生日は由宇でエラーして途中交代やった」…そんなこと覚えていなくていいのに。