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インスタストーリーズとそっくりTwitterの24時間で消える「フリート」の活用法は、ただしリスクも

高橋暁子成蹊大学客員教授/ITジャーナリスト
Twitterの新機能、24時間で投稿が消える「フリート」とは(写真:ロイター/アフロ)

11月10日、Twitterで24時間で投稿が消える「Fleet(フリート)」の日本での提供がスタートした。既にブラジル、インド、イタリア、韓国で提供されており、いよいよTwitterのユーザー数が特に多いことで知られる日本でのスタートとなったというわけだ。

フリートが使えるのは、iOSとAndroidアプリのみ。パソコンは対象とはならない。テキスト、写真、動画、ツイートをフリートとして投稿でき、投稿は24時間で自動的に削除されるようになっている。

フリートの基本的な使い方とともに、どのような活用ができるのか、どんなリスクにつながるのかについて見ていきたい。

「フリート」を投稿したところ。下部に見た人が表示されている
「フリート」を投稿したところ。下部に見た人が表示されている

インスタ「ストーリーズ」と同じ機能

iOSまたはAndroidのTwitterアプリを開くと、タイムラインの上部にフォローしているユーザーのフリートが表示されているだろう。フリートにはリツイートや「いいね」はできず、フリートを見た人はフリートの下部に表示される“足あと機能”から把握できるが、確認できるのは投稿者のみとなっている。

ツイートの下にある共有ボタンから「フリートで共有」を選べば、ツイートをフリートにシェアも可能だ。また、フリートに対して誰かがコメントなどをした場合、投稿者にダイレクトメッセージで届く仕組みとなっている。

Twitter社によるとフリートは「目の前のできごとやその時の気持ちを伝える手段」であり、「個人的で気取らない感情、意見、感じたことなどを共有しやすく」なるという。実際、これまでのテストでは、フリートがある方がTwitterでの会話が多くなったという。

つまり、Instagramの人気機能「ストーリーズ」とほぼ同じ機能といえるだろう。Instagramは厳選した美しい写真のみを投稿する場とされ、それ以外のことが投稿しづらくなっていた。そこで、それ以外のことも投稿できる場として、24時間で消える「ストーリーズ」機能が追加されて人気となったという経緯がある。

FacebookJapan社の2019年5月の発表によると、日本ではデイリーアクティブアカウントの7割がストーリーズを利用(投稿または閲覧)しており、ストーリーズは日本でも人気の機能だ。「映えないことでも投稿できるから、コミュニケーション目的で日常のことを何でも投稿している」と大学生たちから聞いたことがある。

今や様々なサービスにストーリーズと同様の機能が採用されており、Twitterでもこのフリート機能は人気となるのではないだろうか。

フリートの活用シーンはどうなるか?

一般ユーザーがフリートを利用するのは、コミュニケーション目的の気軽なものがメインとなるだろう。ステータスメッセージのように現在の状況などを投稿することで、コミュニケーションのきっかけとなることは多いはずだ。またリアクションはDMでいくため、居場所をフリートすることで、フォロワーと直接会うことなどにもつながりやすいだろう。

実は、一般ユーザーはもちろん、フリートは企業やメディアなど、ビジネス目的で使っているアカウントにこそ使い勝手がいいかもしれないと感じている。

フリートは上部に表示されるため、一般のツイートよりも目立ち、見てもらいやすい可能性が高い。告知したいその日限定のこと、たとえばメディアアカウントならその日の人気記事のランキング、店舗ならその日のメニューやセール情報などを投稿すると、サイト流入や来店増などにつなげやすいのではないだろうか。フォロワーが情報をすぐに探せるように、ツイートでも投稿しておくといいだろう。

フリートにその日の合言葉を載せておき、見た人が来店時に合言葉を言ったり、購入時に書いたりすることで割引にする仕組みなどもできそうだ。店舗のほか、ネットショップなどでも使えるのではないだろうか。

タレントならその日のテレビ出演情報、ライターならその日掲載される記事の告知などに使えるだろう。ただの告知ではなく、出演前に楽屋で撮った写真や、執筆記事の裏話など、フォロワーが興味が惹かれることを投稿すると告知につながるのではないだろうか。

クイズなどで遊ぶこともできそうだ。問題をフリートし、答えがわかったユーザーはコメントすることでDMがいき、正解の場合に返事がくるというわけだ。

同じやり方で、企業アカウントが懸賞キャンペーンの応募を求める投稿をしてもいいだろう。フォロワーはコメントなどをすることで応募完了となる仕組みだ。毎日1名当選などとしてもいいのではないか。

まだまだ色々な使い道ができそうなので、ぜひ試してみてはいかがだろうか。

元投稿は消えても保存・拡散できることを忘れない

使い勝手のよさそうなフリートだが、懸念も残っている。具体的には、Instagramのストーリーズと同じ間違った使い方をされるかもしれない点だ。

2019年には、ストーリーズをもととした炎上事件が多発した。食べ物を粗末にしたり不衛生な行為をするなどのバイト中の不適切投稿が多かったため、バイトテロなどとも呼ばれたことは記憶に新しい。

24時間で消えると油断して投稿した動画が保存、拡散されて炎上につながったというわけだ。「消える」とされる投稿を元にした炎上は頻繁に起きている。もとの投稿は消えても、見た人が保存すれば残ることは忘れてはならないだろう。

ご紹介したリスクに気をつけながら、皆さんも新しい使い道を考えてみてはいかがだろうか。

成蹊大学客員教授/ITジャーナリスト

ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。SNSなどのウェブサービスや、情報リテラシー教育などについて詳しい。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナーなどを手がける。テレビ・ラジオ・雑誌等での解説等も行っている。元小学校教員。『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)、『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(日本実業出版社)等著作多数。教育出版令和3年度中学校国語の教科書にコラム掲載中。

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