増えるiPhone14シリーズの119番への誤通報、スキー場やジェットコースターでも…対処法は
持ち主がかけるつもりはないのに、スマートフォンのある機能によって誤って119番や110番へ通報がいく例が相次いでいる。理由と防ぐためにできる対策について解説したい。
誤通報は「衝突検知」機能によるもの
長野県のスキー場で、誤った119番通報が、10日までに少なくとも244件あり、実際の事故は2件だった。これは、主に昨年9月に発売されたiPhone14シリーズとApple Watchで起きている。Androidスマートフォンの一部にも同様の機能が搭載されているが、若者を中心としたiPhone支持が影響してiPhoneで多くなっていると考えられる。
このような端末には、「衝突検知」機能が搭載されている。ジャイロセンサーと高重力加速度センサーで衝突事故を検出する機能であり、衝突検知機能が作動した場合、「衝突事故に巻き込まれた可能性があるようです」などと通知を表示、警告音が鳴る。20秒間反応がないと自動通報する仕組みだ。
ところが、スキー場でのスキーやスノーボードでの転倒を自動車事故と勘違いし、誤通報してしまう例が相次いでいるというわけだ。音で気づいて通報をキャンセルすれば済むのだが、周囲がうるさいなどで気づかないことも多いようだ。
このような誤通報は、ジェットコースターでも起きている。急カーブや突然の停止などの動きを衝突事故と勘違いした故に起きるのだ。
同様の例は海外でも多数報告されており、iOS 16.1.2アップデートにより最適化されたはずが、まだ続いている状態だ。
衝突検知機能は、米国で誰もいない地方で、単独での致命傷となる事故が多発していることから開発、搭載されるようになったものだ。自分で通報できる状態ではなくても自動的に通報されるため、これによって命が助かった例も多い。
Androidでもある誤った110番通報
Androidスマートフォンでは、誤った110番通報も起きている。長野県における昨年12月7日から2週間の110番通報の総受理数4409件のうち誤通報は673件に上った。このうち301件は緊急通報機能が原因で、ほとんどがAndroidスマートフォンだったという。
2021年10月にリリースされたAndroid12以降は、電源を5回押すことで緊急通報機能が作動する。基本設定のままだと緊急通報先が110番になっている場合があり、誤通報につながってしまっている。
こちらは利用しない場合は緊急通報先を自宅や家族などに変更したり、誤ってかけてしまった場合は「誤ってかけてしまったが無事」との旨を伝えるべきだろう。
特定の場所では機内モード、電源オフを
誤通報をしてしまった場合、本当の事故や事件ではないのか確認したり、現場に急行するなどすることで、救急や警察のリソースが割かれてしまう。それによって、本当に緊急性の高い通報に対応できない恐れもある。
現状、スキー場やジェットコースターなどでは誤通報する可能性があるので、そのような場では機内モードにするか、あるいは電源を切っておくと安心だ。落ち着いてから機内モードをオフにしたり電源を入れても改めて通報がいくことはない。
誤通報してしまった場合は、慌てて電話を切ったりせずに、「誤って通報してしまったが自分は無事」という旨を伝えよう。
また、普段はあくまで自分の命を守ってくれる素晴らしい機能なので、機能自体はオフにはしないでおくのがいいだろう。