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世界戦は微差が大差になる 谷口将隆がサルダールに判定負け

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
提供全て FUKUDA NAOKI 

 WBO世界ミニマム級タイトルマッチが26日、東京の後楽園ホールで行われた。チャンピオンのフィリピン出身のビック・サルダール(28)に、同級2位の谷口将隆(25)が挑戦した。

 サルダールは、昨年7月に山中竜也を破って王座に就き、今回が初防衛戦。一方、谷口は世界初挑戦となった。

サウスポーとの戦い方

 左構えのサウスポースタイルの谷口に対して、チャンピオンのサルダールは右構えのオーソドックススタイルだ。右構え対左構えの試合では、戦い方が大きく異なる。

 ボクサーは右利きの右構えの選手が圧倒的に多い。そのため、サウスポーの絶対数は少なくなる。右構えの選手にとって戦い慣れてないサウスポーはやりづらい相手だ。しかし、今回のサルダールは違った。アマチュアで500戦もの試合経験があるため、サウスポーとの戦い方も熟知しているようだった。

 また、谷口は身長161センチで王者より2センチ程高いが、リーチではサルダールが7cmほど上回る。そのため、距離を活かして戦うサルダールがペースを掌握していた。

死角から飛んでくるノーモーションの右

 谷口が正面から攻めるのに対し、サルダールはリーチを活かした遠い間合いで戦っていた。谷口も距離を潰そうと前に出ようとしていた。しかし、サルダールのノーモーションの右への警戒心からか、なかなか入ることができなかった。サルダールの間合いに入ると、そのパンチで牽制されるため不用意に入れなかった。

 サルダールは、ジャブとストレートの間のようなパンチを打つので反応ができないのだ。ショートのパンチは間が短いので、防ぐのが難しい。正面から入るとモロにくらってしまう。

 中盤では、ボディ打ちに突破口を見出し、ペースを引き戻せそうな場面もあった。しかし、サルダールのサイドの動きに翻弄され、捉える事が出来なかった。

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タイトル戦では微差が大差になる

今回の試合は、ポイントでは大差がついたが、決して一方的な内容ではなかった。紙一重のラウンドもあったが、ポイントを振り分けていくと大きな差がついた(118-110が一者、117-111が二者)。微差の積み重ねが大差の判定に繋がった。

また、ジャッジは挑戦者の戦う姿勢を見るため、どっちつかずの場合はチャンピオンにポイントが流れる場合もある。チャレンジャーが勝つためには、チャンピオンを上回る強い気迫と、ポイントを明確にとる攻めでベルトを掴みに行く姿勢が必要だ。

試合中、谷口のパンチも当たっていたが、全体の印象では僅かにチャンピオンがリードする場面が多かった。私も採点をしていたが、ジャッジと同じ採点だった。谷口は会場を沸かせ見せ場を作っていたが、ポイントを引き寄せるまでには至らなかった。

まだまだ伸び代はある

 試合後、谷口は「今の自分に何が足りないか、すぐには頭に浮かばないので、少し休んでまた頑張りたい」と語っていた。まだまだ伸びる余地は大いにあると思う。

 

 今回のチャレンジは失敗したが、まだ25歳と若い。同ジムのライバルの京口紘人と比較される場面もあるが、自分のボクシング人生を進んでほしい。

私も経験があるが、身近に偉大なライバルがいると比較してしまう気持ちもわかる。だが、ボクシングは自分との戦いだ。これから、また一戦一戦試合を重ね、再び世界戦の舞台に戻ってきて欲しい。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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