ケツメイシ、ライブ動員が右肩上がりのワケ 〜幻の六本木大サーカス団 を振り返る〜
エンタメシーン、IT新技術が話題の昨今。もっと大事なものをケツメイシだけは知っている
今年の夏の思い出といえばケツメイシのコンサート。2017年7月1日(土)、改修工事前の東京・国立代々木競技場第一体育館で開催された全国アリーナツアー『ケツメイシ KTM TOUR 2017 幻の六本木大サーカス団「ハッキリ言ってパーティーです!!」』に心奪われたのです。
すっかり秋めいてきましたが、11月1日(水)には、今回のツアーを収録したライブDVD/Blu-ray『ケツの穴...もうひろがらへん』の発売が発表されました(※す、すごいタイトルだ...)。なぜケツメイシは流行に左右されずにライブ動員が右肩上がりなのか? 昨今のエンタメシーンはARやVR、IT新技術が話題の中心ですが、もっと大事なものをケツメイシだけは知っている。そんな秘密を探るべくレポで振り返ってみたいと思います。
ケツメイシ特有の“おもてなし感”の凄さ
会場入り口の門をくぐってびっくり。ケツメイシ特製のジュースやお酒、フードなどのテントがあり、まるでここはアトラクション会場。様々なグッズなどが販売されていて開演前からテンション上がりました。
そう、ケツメイシのコンサートって“おもてなし感”が素晴らしいのです。今回も、さっそくライブ中に使えるヤシの木型のペンライト(※なんかアレのようにも見える...)を買っちゃいました。ペンライト・マニアからも注目されているという、完成度高いオリジナルな開発商品なんです。
平均年齢40歳を超えたラップ・グループが、なぜ今もなお“フレッシュ”で“最強”なのか
ケツメイシをがっつり取材させていただくようになってから早2年。その間、映画『クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃』主題歌「友よ ~ この先もずっと・・・」のヒットや、デビュー15周年集大成となった7万人動員した日産スタジアムでの野外コンサート、通算34枚目となるDHCのCMタイアップでおなじみの新曲「はじまりの予感」におけるキラッキラなナンバーなど、音楽不況と言われるポップシーンもなんのその、最前線で攻めまくる4人組、ケツメイシという奇跡。
誰もが知る国民的ヒット曲が生まれづらい時代と言われる昨今。定期的に記憶に残るポップチューンをリリースし続けていることもあってか、デビュー16年目にして、ライブ後のファンクラブへの入会比率が今年はまた最強に伸びているという凄さ。もちろんツアーも全国各地でソールドアウト状態。平均年齢40歳を超えたラップ・グループが、なぜ今もなお“フレッシュ”で“最強”なのでしょうか。名曲づくしのセットリスト順に解説していきましょう。
<セットリスト>
ケツメイシ KTM TOUR 2017 幻の六本木大サーカス団「ハッキリ言ってパーティーです!!」
01.パッション!!!!
02.痔持ち一代
03.ヤシの木のように
-MC(RYO)-
04.カリフォルニー
05.いい感じ
06.ボサノBAR
-MC(大蔵)-
07.きみがすき
08.君とワンピース
-コント前VTR-
【サーカスコント】
09.人生劇場 ~サーカス・パフォーマンス ~ エンディング
10.人間交差点
11.テイクオフ
12.エターナリー
-MC(RYO)-
13.さらば涙
14.僕らのために...
15.僕らの暮らしっく
-MC(大蔵)-
16.ディスコ☆部長
17.君にBUMP
18.闘え!サラリーマン
-ENCORE-
EN1.手紙メドレー(過去〜現在〜未来)
EN2.手紙〜あれから
EN3.友よ〜この先もずっと・・・
-MC(大蔵)-
EN4.RHYTHM OF THE SUN
オープニングからEDMライクな「パッション!!!」、テンション上がる「痔持ち一代」、夏を感じる「ヤシの木のように」など、新旧織り交ぜたアッパー・チューンでサマー気分を煽ってくれます。
さらに、ライブは3曲ごとにブロックが分けられ、RYOさんによる神ってるMC「こんばんは。ケツメイシでございます。名乗らないとSMAPが再結成しちゃうと思われちゃうからね(苦笑)。」など、絶妙に笑いを織り交ぜることで、楽曲を知らない初見オーディエンスをも魅了してくれるのです。この一人も置いてけぼりにしない安定感はクセになります。
フリースタイル風なメンバー紹介
さらに、少年心を忘れないRYOさんによるフリースタイル風なメンバー紹介も最高でした。
大蔵さんは「筋肉がヤツのアクセサリー。寝るときでも風呂でも外せない。夜中のラーメンよしなさいよ、は大きなお世話、吉田大蔵!」
DJ KOHNOさんは「みんなが言うぜ。いいぜ今日も、飲む酒の量ならば段違い。また手が震えてるどうも変だ。ケツメイシDJ河野健太!」
RYOJIさんは「ヤツが俺らのメロディーメーカー。仕事がない日も多い日も、暇さえあれば行くタイランド。去年のズボンも入らんぞ。頼んだなら残すな料理。うまいもん好き大塚亮二!」。
そしてラストは自分を自虐的に「私が今朝、蒲田駅のホームで乳母車を押してるヤングママがいたので“持ちましょうか?”と聞いたら“けっこうです!”と言われた者です!」と自己紹介(苦笑)。
家族や友人を連れて行きたいライブNo1のクオリティー
そんなエンタメ性の高さもあってか、子連れオーディエンスも増えました。ほら? 普通コンサートって予習してくるようなファンじゃないと楽しめないマニアックな要素? 置き去りにされてしまう退屈ポイントってありがちじゃないですか? でも、ケツメイシに至ってはまったくそんな心配はありません。家族や友人を連れて行きたいライブNo1のクオリティーの高さ。サービス精神が半端ないのです。
ケツメイシのライブといえば、音楽の素晴らしさはもちろん、誤解を恐れずにいえばドリフターズ!?を彷彿とさせるスペシャルなコント・コーナーなど、オーディエンスを飽きさせない演出が心憎いのです。
笑いあり涙ありの“人間力”が垣間見れる世界観
今回は『六本木大サーカス団』をテーマに、大蔵さんが団長、RYOさんがピエロ、RYOJIさんが着ぐるみが暑そうな&セグウェイが上手なクマ、DJ KOHNOさんがマネージャー役を演じる爆笑タイムがありました。そんな物語設定に合わせて、書き下ろしで生み出された名曲「人生劇場」に心揺さぶられます。描かれるのは、笑いあり涙ありの“人間力”という世界観。
そして、後半戦はRYOさんMCの独壇場。“なぜかケツメイシがカリスマ・ロックバンドだったら?”というテーマでトークがはじまりまして、架空のメンバー天国のヤスに向けて話しかけるという爆笑タイム。えっと、腹がよじれるほど笑っちゃいました(笑)。
でも、ケツメイシは笑いだけではありません。もちろん本質はプロフェッショナルな音楽性の高さ。昨年リリースされた記念すべき10作目となったアルバム『KETSUNOPOLIS 10』に収録された、心を揺さぶる人間模様を描いた「人間交差点」、「テイクオフ」、「エターナリー」という、心の奥深い琴線を刺激するせつなポップなナンバーの魅力。
さらに、畳み掛けるようにしてドラマチックな「さらば涙」、「僕らのために...」、「僕らの暮らしっく」。そして大蔵さんが「まだ、みなさん元気は残ってますか?」と煽りながら、横ノリで踊れる「ディスコ部長」&「君にBUMP」という新旧ダンサブル・タイムの楽しさ。
そして、まさかのスカでロックに爆裂する「闘え!サラリーマン」という選曲で、ステージに炎が上がるなど、テンション最高潮でタオルを頭上で振り回しながら昇天。日常を、ユーモア交えながらメロディアスな音楽で表現するという、ケツメイシ濃度120%の展開に脱帽でありました。
アンコールは、なんとケツメイシのファンにとって大事な「手紙」メドレーからスタート。ラストは「友よ〜この先もずっと・・・」と「RHYTHM OF THE SUN」という超絶テンション上がるナンバーで大盛り上がり状態へ。楽しさ最高潮ながら、あああ、2年ぶりのツアーが終わってしまうという、せつなさも同時にこみ上げてきたのでした。
ちなみに、あまりの感動で聞き放題型音楽サービス、Spotifyオフィシャルで、ケツメイシのスタンダード・ナンバーを軸に選曲したプレイリスト『This is: ケツメイシ』を全40曲で選曲しております。ぜひ、気になった方はチェックしてみてください☆
https://open.spotify.com/user/spotify/playlist/37i9dQZF1DWST5Qa5wRiPM
ケツメイシ・オフィシャルサイト