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「具体的な恋愛対象」なしに婚活をがんばることは難しい?~お見合いおじさん活動月報(20)~

大宮冬洋フリーライター
華やかでちょっとこじれているアラサー女性との対話です。 イラスト:つぼいひろき

 自分も楽しくて他人の役にも立てる趣味がほしいと思ったのです。恋バナと会食が大好きな僕が見つけたのが、お見合いおじさん活動:略称おみおじ。自分の周囲にいる独身男女に声をかけて引き合わせる活動です。

 僕は友人でもあるイラストレーターのつぼい氏と組んで、2014年の春からおみおじを楽しんでいます(今までの活動レポートはこちらこちら)。僕の人脈をオネット(大宮ネットワーク)、つぼいさんの人脈はツヴォイと称して、男女それぞれ4人の会員に良さそうな独身者を紹介しているのです。

 僕たちのおみおじによって結婚した人は今のところ1人のみ。でも、まだ独身の会員からも感謝されていますよ。友人知人のお墨付きの独身異性と出会えることって、年齢を重ねるごとに少なくなっていくからです。おみおじで恋愛感度を向上させ、別の場所で見つけた相手と結ばれた「卒業生」は過去4人います。「私は婚活に向いていないことがわかった」と去って行った人は5人もいますが、それもまた有意義な自己発見ですよね。

 結婚願望がある独身男女に優しくお節介する! 愛すべき隣人の婚活を結婚相談所やネットだけに任せておかない! 全国に広まってほしい「おみおじ」の実例をリポートします。

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絶対に結婚して子どもを産みたい、という願望はありません

 東京・目黒にあるインドネシア料理店に来ています。我がオネット会員の今井恭子さん(35歳)と面談するのは久しぶりです。1年ほど前に恭子さんとお見合いをした加藤信彦さん(43歳)はその後に大手結婚相談所でお相手を見つけて、オネットからも卒業しました。次は恭子さんが巣立つ番ですね!

 帰国子女でバイリンガルの恭子さんは、正直言って僕の好みのタイプです。外見は華やかで、性格はちょっとこじれています。今日の服装は、大きな刺しゅう入りの白いワンピースにニットカーディガンを合わせ、腕にはブレスレットが輝き、ネイルは青色です。センスの良い派手さ、いいですね!

「親を安心させるために婚活は一応しています。でも、絶対に結婚して子どもを産みたい、という願望はありません。好きな人とならば結婚したいけれど、具体的な対象がないのに婚活をがんばることは難しいです。私、結婚は無理な気がします」

 恭子さんと同じようなジレンマを抱える30代女性は少なくありません。好きでもない人との「出会い」を繰り返すことに疲れを感じてしまうのです。恭子さんには転職をしたばかりなので仕事に集中したいという事情もあります。でも、「外に出る」ことはやめていません。エライ!

「いわゆるハイスペック男性とお見合いができるチケット制の結婚相談所に入りました。4回チケットで、1回につき3万円を払う仕組みです。入会金はありません」

 恭子さんの好みは「頭が良くて情熱的な人」。職業や学歴にこだわっているわけではありません。頭が良くて何事にも熱心に取り組む性格だと社会的に成功しやすいのは確かなので、ハイスペックな人とお見合いするほうが相手を好きになりやすいと判断したのでしょう。なお、恭子さんはどちらかといえば「甘えたい」ほうなので、10歳ほど年上でも構いません。

 その相談所は、男性会員は国家資格のある専門職や大企業の管理職ばかりで、女性は20代中心という露骨なシステムです。恭子さんは30代半ばですが、容姿端麗なので「特別に」入会させてもらった様子。すでに2人の男性と会っています。

「1人目は学校の先生でした。39歳です。会社勤めの私とはあまりに生活が違うし、彼が教えている子どもの話には興味が持てません。カッコつけている感じも気になりました」

自分中心ではないソフトな雰囲気の男性への恋心

 彼はカッコつけているのではなく、緊張のあまり表情が硬くなってしまったのではないでしょうか。実は恭子さんにもその傾向はあり、特にメールでのやりとりは遅い&短めです。「怒っているのかな?」と思うこともあります。コミュニケーションがちょっとぎこちないのです。

「私はなかなか人を信用できません。警戒心は強いほうだと思います」

 僕(大宮)は警戒心が薄くてすぐに人に懐いてしまう傾向があります。妹キャラの恭子さんには好意しかありません。だから、恭子さんは少しずつ心を開いてくれていますが、もしも僕が斜めに構えていたら恭子さんは決して近づいては来ないでしょう。

 お見合いの相手としても、ちょっとお調子者なぐらいコミュニケーション能力が高い男性がいいかもしれません。そんな人は結婚相談所を必要としないことが多いのですが……。

「2人目に会った42歳の会社員男性は話が面白いと感じました。その後、進展はありませんけど」

 恭子さん、「いいな」と思ったら自分から丁寧なメールを送りましょう。いきなり告白するつもりはないけれど、「お話が楽しかった」といった感想を送り、次のデートを待ち望んでいる旨を伝えればいいのです。トークをほめられて嬉しくない男性はいません。

 最近、恭子さんは職場にも気になる男性がいます。同い年で、仕事を頑張っている人です。自分中心ではない働き方で、ソフトな雰囲気を漂わせているとのこと。もちろん、独身です。アプローチはしていますか?

「丁寧な業務メールを送ったりしています。仕事中に目は合うので嫌われてはいないと思いますが……」

 わかりにくい! ランチにでも誘い、仕事ぶりを尊敬していることを伝えるぐらいはしましょうよ。

 率直に言って、恭子さんに足りないのは「色気」だと僕は思います。色気とは勇気です。好きだと思った人に近づいて心を開き、嬉しく過ごしましょう。

 拒絶されて傷つくリスクは伴います。でも、そのリスクを冒すからこそ大きなリターンが期待できるのです。なんだか上から目線の指摘でごめんなさい。恭子さんが好きな人と結ばれる日までずっと応援しています。

(僕とつぼいさん以外の登場人物は仮名です)

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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