北朝鮮の超大型ロケット弾を弾道ミサイル扱いして構わない理由
北朝鮮のKN-25超大型ロケット弾はアメリカのATACMS短距離弾道ミサイルと直径がほぼ同一の約600mmと推定されます。そこで北朝鮮発表のKN-25超大型ロケット弾とアメリカ陸軍発表のATACMS短距離弾道ミサイルの写真から、両者の直径を揃えたのがこの大きさ比較図です。
この超大型ロケット弾は並みの短距離弾道ミサイルよりも遥かに巨大な代物です。ATACMS短距離弾道ミサイルと直径が同一で長さは2倍以上、推定重量は2倍どころか3倍を超えていてもおかしくありません。射程もATACMS短距離弾道ミサイルを上回っています。
日本政府が超大型ロケット弾を弾道ミサイル扱いしているのは、単純に大きさと性能が短距離弾道ミサイルと同等以上だからです。並みの短距離弾道ミサイルの数倍の大きさを持つ以上、例え形状が典型的なロケット弾のスタイルであっても弾道ミサイル呼ばわりして全く構わないという判断です。なお日本以外では英独仏なども超大型ロケット弾を弾道ミサイル扱いにして北朝鮮の発射は国連安保理決議違反であると非難しています。
11月30日、北朝鮮外務省は超大型ロケット弾を弾道ミサイル扱いする日本の安倍首相を名指しで批判し「本物の弾道ミサイルがどういうものか、遠からず、非常に近くで見ることになるだろう」と脅迫行為を行ってきました。近日中に中距離以上の弾道ミサイルを発射し、日本列島を飛び越えるか日本領海付近に着弾させるかを示唆しています。
しかし超大型ロケット弾がロケット弾としては破格の大きさで、弾道ミサイル扱いされても仕方がないことは開発した北朝鮮自身が一番よく理解していると思います。おそらく弾道ミサイル呼ばわりされたこと自体は本気で怒っておらず、もともと中距離弾道ミサイルをロフテッド軌道ではなく通常軌道で発射するアメリカを意識した挑発計画を立てていて、プロパガンダ宣伝の一環として日本への非難を行って発射の正当性を確保する目的なのかもしれません。