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故障中の日本人投手4人のうち、最初に復帰するのは前田健太。まもなく、M*A*S*Hから「退院」

宇根夏樹ベースボール・ライター
前田健太は5月30日に故障者リストへ入った May 29, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 現在、メジャーリーグでは4人の日本人投手が故障者リストに入っている。岩隈久志(シアトル・マリナーズ)も含めれば、5人が欠場中だ。ダルビッシュ有(シカゴ・カブス)と田中将大(ニューヨーク・ヤンキース)の復帰は、オールスター・ゲームの前後になりそう。大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)と岩隈の復帰時期は、まだわからない。もしかすると、前半戦に戻ってくるのは、前田健太(ロサンゼルス・ドジャース)だけかもしれない。前田は、6月13日(日本時間14日)のテキサス・レンジャーズ戦に先発する予定だ。

 先発投手陣の状況からすると、5人のうち、最も復帰が求められているのは前田だろう。カブスではマイク・モンゴメリーがダルビッシュの穴を埋めていて、エンジェルスとマリナーズは先発投手を5人ずつ擁する。ヤンキースは田中の他にも故障者が出ているが、ルイス・セベリーノら3人は健在だ。一方、ドジャースの先発投手陣はM*A*S*Hと化している。M*A*S*Hとは、Mobile Army Surgical Hospital(陸軍の野戦病院)の略だ。ドナルド・サザーランドらが出演した映画は、是枝裕和監督の「万引き家族」の48年前に、カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した。

 ドジャースでは、開幕当初のローテーションから、クレイトン・カーショウリッチ・ヒルヒョンジン・リュ(柳賢振)、前田の4人が離脱。投げ続けているのは、アレックス・ウッドしかいない。さらに、6月7日の初先発を直前に回避したデニス・サンタナ「9イニングで9投手の継投も珍しいが、3年前には11投手がつないだ試合もあった」)に続き、4月下旬からローテーションに加わっていたウォーカー・ビューラーも、6月8日に打球を右脇腹に受け、故障者リストに入った。また、フリオ・ウーリアスは開幕前から故障者リストにいる。

 もっとも、5人の日本人投手のうち、40人ロースターにすら入っていない岩隈を除くと、先発投手としての立場が最も脆弱なのは前田だ。ウッド、カーショウ、ヒル、リュ、ビューラーの5人が揃い踏みすれば、ブルペンへ回される可能性もある。ビューラーはメジャーリーグ2年目のルーキーながら、トップ・プロスペクトの評価に違わず、4月下旬の昇格後は9先発して防御率2.63、K/BB4.91を記録している。8月を迎える頃には、ウーリアスも戻ってくる見込みだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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