4年ぶりの1試合5盗塁!連敗から抜け出した阪神ファーム《5/14》
きのう14日、朝は晴れていたし天気予報も悪くなかったのに雨が降ってビックリ!それも通り雨でなく本格的な降りで風も強く、蒸し暑いどころか寒いくらい…。鳴尾浜のスタンドで観戦された皆さんは大変だったでしょうね。そんな雨の中での試合ですが、公式戦初先発の山本投手がプロ最長の5イニング(昨秋のフェニックスリーグでは5イニングが2試合あり)を投げ、以降の4投手も好リリーフで完封リレー!そして野手陣が8試合ぶりの2ケタ安打を放ち、連敗が9で止まりました。6回に5安打を集中させて5得点というのも久しぶりで、ようやく今月初勝利です。
連敗中とは違って、というか、ここまでとは一転して“攻めた”印象の打線。初回から走る姿勢が前面に出ていたように思います。何と言っても先制点が江越選手のホームスチールですから!ホームスチールが成功するなんて、鳴尾浜ではいつ以来か記憶にありませんねえ。その他に横田選手の2盗塁など、4選手で計5つの盗塁を決めました。公式戦での1試合5盗塁は4年ぶりのこと。2011年に2度あり、最後は同9月15日のソフトバンク戦(鳴尾浜)。その時は田上選手、野原将選手、桜井選手、野原祐選手、黒田選手とバラエティに富んだ(失礼…)顔ぶれが走っています。
なお、きょう15日も鳴尾浜で広島戦が行われ、横山投手と岩貞投手がカープ打線を“スミ1”に抑えました。横山投手が5回まで投げ4安打1失点で2勝目、岩貞投手は4イニングを無安打無失点でセーブ。2人とも結果を出したわけですねえ。そしてフルでマスクをかぶった小宮山選手がタイムリーと3ランの全打点!4対1で勝った、2時間19分という早いゲームです。
では大変遅くなりましたが、きのう14日に連敗を9でストップさせた試合の結果とコメントをご紹介します。
《ウエスタン公式戦》5月14日
阪神-ソフトバンク 7回戦 (鳴尾浜)
ソフ 000 000 000 = 0
阪神 000 015 00X = 6
◆バッテリー
【阪神】○山本(2勝)-歳内-桑原-鶴-二神 / 小豆畑
【ソフ】●帆足(2勝2敗)(5回)-加治屋(2回)-伊藤大(1回) / 細川-拓也
◆二塁打 北條、森越
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率
1]中:江越 (5-2-0 / 2-0 / 1 / 0) .309
2]二:森越 (4-2-2 / 1-0 / 1 / 0) .400
3]一:黒瀬 (4-1-0 / 1-0 / 1 / 0) .211
4]三:北條 (3-1-0 / 1-1 / 0 / 0) .259
5]指:原口 (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .214
〃打指:柴田 (2-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .327
6]左:一二三 (2-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .118
〃打左:緒方 (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .191
7]遊:植田 (3-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .195
8]捕:小豆畑 (4-1-2 / 0-0 / 0 / 0) .186
9]右:横田 (3-2-1 / 0-1 / 2 / 0) .164
◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ
山本 5回 62球 (4-5-0 / 0-0 / 1.47) 144
歳内 1回 22球 (2-0-0 / 0-0 /14.73) 145
桑原 1回 11球 (0-0-0 / 0-0 / 2.16) 146
鶴 1回 16球 (0-1-0 / 0-0 / 5.40) 147
二神 1回 12球 (0-1-0 / 0-0 / 1.46) 147
経過1 山本、5回まで“延長”
山本は1回1死から2番の牧原に左前打され盗塁も決められますが、次の塚田から2回の白根まで4連続三振を奪うなど無失点。3回からは1安打ずつ許しながら3イニング続けて併殺!すべて3人で片づけています。結局、予定の3イニングを越える5回まで投げて4安打無失点でした。
打線は1回、江越がショート内野安打で出て森越の遊ゴロ併殺打により2死となるも、黒瀬が左前打と盗塁、北條は四球で一、二塁。原口は初球を打って右前打!残念ながら黒瀬がホームでタッチアウトとなり先取点はならず。2回は三者凡退、3回は先頭の横田が四球を選んで盗塁成功、しかし後が続かず無得点。4回も先頭の北條が左翼線二塁打を放って無死二塁としたものの後続を断たれています。
そして山本が投げ終わった直後、5回裏の攻撃。簡単に2死を取られますが江越と森越の連打で一、三塁。続く黒瀬のボールカウントが2-1となったところで帆足が一塁へ牽制球を投げ、ここで三塁走者の江越がホームへ!好スタートと、うまいスライディング(回り込んで伸ばした手でベースをタッチ)で見事に生還です。次の球で森越も二盗成功。ただし黒瀬は三ゴロで1点止まり。それでも山本に勝ち投手の権利ができました。
経過2 打者9人攻撃で5点!
6回は歳内が2死から真砂に左前打され盗塁で二塁へ。牧原の中前打で二塁からホームを狙った真砂を、センター江越が素晴らしいバックホームを見せ、どんぴしゃのタイミングでアウトにしています。その裏はソフトバンク2人目の加治屋に対して、1死から代打・柴田と代打・緒方が連打、植田の四球で満塁となり、小豆畑がカウント2-0からの3球目、真っすぐを打って右前タイムリー!まず2人を還しました。なおも1死一、二塁で横田が左翼線へのタイムリー!2死後に森越の右中間タイムリー二塁打が出てまた2人生還!この回、一気に5点を加えています。
8回にも横田は中前打を放って盗塁成功、2死二塁としましたが、ここは江越の空振り三振で0点。投手陣は7回が桑原、8回は鶴の連投だった2人が三者凡退に斬って取り、9回は二神がやはり三者凡退と完璧なリリーフ。今季4試合目の完封リレーは、今季3度目の“無四球”でした。
「次の試合が大事」と山本
昨年秋のフェニックスリーグ以来、約半年ぶりの先発マウンドに上がった山本投手は、5回で62球を投げて4安打5三振無四球で無失点。「もともと(社会人でも)先発をやっていたし、変な感じはないです。ちょっと構えて入った部分はありますけど。きょうはブルペンであんまりよくなくて、どうかな~と思っていました。連敗中だったし」と多少の緊張はあったようです。
予定は3回までだったとか?「いえ、聞いていなくて。聞いてテンションが下がってしまうと困るので(笑)。4回を投げ終わったところで、5回までと言われました。どこも疲れなく投げられたのでよかったです」。しかも無四球ですからね。序盤にかなりインコースを攻めていた?「小豆畑がよく要求してくれたのもありますけど、バッターがインコースに合っていなかったし、そのぶん外のシュートが生きるという感じだったかなと」
中継ぎと違っていたことはあるかと聞かれ「先発は、バッターを見て“どうしたいか”をわかった上で投げられる。中継ぎだと、そこまでの時間がないですし。同じバッターと再度会えることもある。だからダブルプレーも多かった」と答えた山本投手。アピールできた?「まだ1試合なので。次は(先発か中か)わかりませんが、こういうピッチングができれば、いいアピールになると思います。次の試合が大事です」と気合いを入れ直しました。
古屋監督は「きょうは山本さまさまですね。3イニングの予定だったけど、久保コーチが“ご褒美でもうちょっと”と言うから」と笑顔。やはり好投していたので延長された模様です。その久保投手コーチは「ボールを叩けるようになった。だから思い切って投げさせた。今(ゲームで)投げさせているのは、それができるピッチャー」と話しています。
女房・小豆畑が好守に貢献
小豆畑選手は「まず一番は完封です!」と息を吐きました。それが何より嬉しいということですね。チームでは今季4度目も完封勝ちで、そのうち小豆畑選手がフルでマスクをかぶっての完封は、4月18日に横山投手-桑原投手-小嶋投手をリードした広島戦(鳴尾浜)に次いで今季2度目。「連敗を止められてよかった~」と、ようやく肩の力が抜けたみたいです。負けたら10連敗でしたからねえ。ファームとはいえプレッシャーがかかっていたでしょう。
リード面では「ソフトバンク相手なので完封とは考えていなかったけど、大量失点だけは防ごうと思って、早い段階でインコースを見せておきました。一巡目でインコースを見せて、二巡目で外を中心にいったら楽に攻められた選手も多かったですね」と振り返ります。3併殺は真っすぐ?「いえ、外のシュートです。真っすぐじゃないです。外に落ちていくので、それに飛びついてくれたらと」。思い通りでしたね。「(山本)翔也がそこに投げてくれたからですよ。けっこう球が走っていたし、インコースにちゃんと投げてくれたので。膝元にスライダーも来ていた」
そしてバットでも投手陣を援護した小豆畑選手。6回1死満塁での2点タイムリーは最高でした!「1日1本がどこで出るか。ランナーがいる時に打てばいいんですよね。1点取れば勝ちというのはあって、ここを逃したら、後半に向こうの打線がジワジワ来るかなと思ったので。それに(植田)海がフォアボール選んでくれたのが大きい」と言っていました。ただし総合的には「まだ2盗塁されているから、本当の意味ではやり返したことにはならないですね。きょうも刺せたはず。悔しい」とのこと。5日の雁の巣で許した4盗塁の“お返し”はまだ続きます。
初体験の“本盗”が決勝点!
続いて、先取点となった5回のホームスチール、6回の守備ではレーザービームで同点を阻止した江越選手の話をご紹介します。ホームスチールは、ピッチャーが投げた瞬間にいけると思ったか?と聞かれ「投げた瞬間にいけると…ですね。はい」と繰り返したもんで、笑ってしまいました。珍しいですよね?「そうですね、初めてです。タイミング的に『やべぇ、アウトだ!』と思ったんですけど、うまくかわせました」
0対0の緊迫した場面でのプレーを振り返り「アウトになっていたら流れは向こうにいっていたかも。1つのギャンブルですね。あんなのは何度もあるわけじゃない。きょうは成功してよかった」とホッとした様子です。また直後の補殺については「当たり前といえば当たり前のプレー。一回で終わらせるんじゃなく(打球が)10球きたら10球とも同じところに返せるようにしたい」と江越選手。なお中村外野守備走塁コーチは「あの補殺を褒めてあげたい。捕るのも投げるのも落ち着いていた。あとはチャージと送球の安定が課題」と話しています。
「堂上さんに追いつきたい!」
前日に復帰したばかりの森越選手はタイムリー二塁打を含む2安打2打点に1盗塁。植田選手との二遊間もいい雰囲気でした。「1打席目(遊ゴロ併殺打)、2打席(見逃し三振)とボールに手を出してストライクを見逃したのはダメですね。でも切り替えて次の打席に入れたのはよかったです。守備はゲッツーでピッチャーを助けられたことがよかった。それが僕の仕事、まず守備で獲ってもらったので」と、彼らしいコメント。
右ひざの状態を尋ねられると「試合に出ている以上は痛い、痒いと言っていられない。あとは全力でやるだけ」と、これまた責任感あふれる言葉です。「阪神に来て、いきなり手術で迷惑をかけてしまった。ここまで球団関係者の皆さんにお世話になったので、その気持ちも込めてやれたと思う」。続けて、もと同僚・堂上剛裕選手の名前を挙げました。
ともに昨年11月の合同トライアウトを経て森越選手は阪神へ、堂上選手は巨人へ移籍。同じようにケガをしてしまったものの、1軍に昇格してすぐ同点タイムリーを放つ活躍だった12日の広島戦を、森越選手はテレビで見ていたそうです。「堂上さんはもう1軍の試合に出てる。いい刺激になっていますね。早く追いつきたい!」。甲子園、もしくは東京ドームでの再会を期待しています。その前に森越くん、淡路ですよ。玉ねぎをゲットするために、この日も二塁打を打ったんでしょ?うふふ、ことしは何キロかなあ(笑)
40日ぶりの4番です。
4月4日以来の“4番”を打った北條選手は「別に何もないですよ。変わらないですよ」と繰り返します。それと公式戦でサードを守っているのは遠征中の5月5日(ソフトバンク、雁の巣)からで、この日が6試合目。昨年のフェニックスリーグでは何度かあったけど「サードやばい。無理」と言っていましたっけ。もう大丈夫でしょう?「いや今もやばいっすよ。ちょっと慣れてきたかな」とのこと。以前にも書きましたが、サードの経験は「高校1年の夏まで2枚目のサード、あと中学2年の時にやったくらい」です。
4回に放った左翼線二塁打は、フルカウントになるまで1球も振らず6球目の真っすぐを打ったもの。「インコースのスライダー、低めのスライダーを見逃せたのがよかったですね。見極められているので、それで向こう(帆足投手)がカウントを悪くして、真っすぐとかが来やすくなっていたかと」。5本塁打はリーグトップ、打率も.259でリーグ5位という成績。「3割近くは打ちたいですね。1本ずつしか出ていないんで。調子は悪くないです」と、上を向く北條選手でした。
公式戦ではプロ初の1試合2盗塁
横田選手は2安打2盗塁。6回は小豆畑選手に続くタイムリーで、打点を挙げるのは5月3日の広島戦(由宇)での犠飛以来です。タイムリーとなると4月26日の巨人戦(ジャイアンツ球場)でのショート内野安打以来。かなり久しぶりですねえ。カウント1-2からフォークを打った6回の左前タイムリーも、粘って9球目の真っすぐを打った8回の中前打もいいヒットだったと思います。
ちなみに「自分自身では、どちらがよかったですか?」と質問され、おもむろに「盗塁です」と答えた横田選手。それって「どこから来たんですか?」「すき焼きです」っていう…漫才のネタみたいな。久しぶりに来ましたよ、横田ワールドが。そして「2本目のヒットの方がよかったです。追い込まれると、いつも三振してしまうけどうまく打てたから」と言ったあと「半世紀ぶりです」と…。四半世紀ぶりでも生まれていないでしょ、横田くん。
話を戻して、なぜ盗塁が一番よかったのか聞いてみたら「2つ走ったんで。2つとも思い通りでした」と納得の走りだったようです。横田選手の1試合2盗塁はことし3月1日の教育リーグ・ソフトバンク戦でありますが、公式戦ではプロ初。またチームで公式戦に1試合2盗塁したのは4月2日の荒木選手以来、今季まだ2人目です。相変わらず盗塁が少ないなあと思っていたら、そうでもないみたいで。15日の時点でソフトバンクは27個とダントツですが、阪神の17個は2位、広島と中日が15個でオリックス12個でした。