Facebook広告は3兆円市場。Messengerは10億人突破
米eマーケターがこのほどまとめたリポートによると、米フェイスブックの今年1年間の広告収入は約260億ドル(約2兆6975億円)となり、昨年の170億8000万ドルから52%増加する見通し。
FBのモバイル広告、来年は300億ドルに
フェイスブックのネット広告収入はその後さらに伸び、来年には337億6000万ドル(約3兆5036億円)に達するとeマーケターは予測している。
フェイスブックは米国以外の市場で広告収入を増やしており、今後数年間、その海外比率は同社広告収入全体の大半を占める見通し。
その一方で、スマートフォンなどモバイル端末向けフェイスブックサービスで得られる広告収入(モバイル広告収入)の比率は、それよりもはるかに大きなものになるとeマーケターは見ている。
eマーケターの推計によると、フェイスブックのモバイル広告収入は今年219億8000万ドル(同社ネット広告収入全体の約85%)となり、昨年実績から66.6%増加する見通し。
こうした2桁成長は今後も続き、モバイル広告収入は来年、297億1000万ドル(前年比35.2%増)に、2018年には379億8000万ドル(前年比27.8%増)に達するとeマーケターは予測している。
eマーケターはその理由として、フェイスブックが「依然、全速力で新たなサービスや機能を開発している」(eマーケター主席アナリスト)ことを挙げている。
動画広告の視聴時間水増し問題
同社のサービスを巡っては、今年9月、動画広告の平均視聴時間を水増ししているという問題が取り沙汰された。
動画広告の平均視聴時間は、総視聴時間を、再生したユーザー数で割って算出する。しかし同社はこれに3秒未満で広告をスキップしたユーザー数を含めなかった。これにより公表されていた平均視聴時間は、本来の算出方法による数値よりも長くなっていた。
フェイスブックはその後この誤り認め、謝罪。測定法を修正し、広告主にもその旨を通知した。eマーケターによると、こうした問題があったものの、これにより広告主がフェイスブックから離れていくことはないと指摘している。
「Messenger」「Instagram」「WhatsApp」も好調
フェイスブックの主力事業であるソーシャルメディアは、eマーケターが追跡しているすべての指標で成長が見られるという。
また関連事業のメッセージサービス「Messenger」や、傘下の写真共有アプリ「Instagram」とフォトメッセージングアプリ「WhatsApp」も好成績を上げているという。
このうちMessengerについてフェイスブックは今年7月、「月間アクティブユーザー数(MAU)」と呼ばれる、1カ月に1度以上サービスを利用する人の数が10億人を超えたと発表した。
ちなみに、LINEの9月末時点における世界全体のMAUは2億2000万人で前四半期から横ばいだった。
eマーケターが推計する、米国におけるMessengerの今年の月間アクティブユーザー数(MAU)は1億520万人。このうちスマートフォンからのMAUは40.1%を占める。これが2020年には、それぞれ1億3920万人、50.3%にまで拡大するとeマーケターは予測している。
このほか、InstagramとWhatsAppの人気も高く、これに伴い一連の関連事業は収益化の可能性も高まっているとeマーケターは指摘している。
(JBpress:2016年11月4日号に掲載/原題「フェイスブックのモバイル広告が好調、今後もしばらく2桁成長続くとの見通し」)