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早明戦勝利も、明治大学は次の「リベンジ」を見据える。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
スタンドオフの堀米は今季対抗戦初先発(写真は2015年度)。(写真:アフロスポーツ)

 関東大学ラグビー対抗戦Aの最終戦、伝統の「早明戦」こと早稲田大学と明治大学の一戦が12月3日、東京・秩父宮ラグビー場であり、明治大学が29-19で2季ぶりの勝利を挙げた。

 

 前半5分、自陣22メートルエリア右でインサイドセンターの梶村祐介副キャプテンがインターセプトから独走し、先制(ゴール成功で7-0)。10分にラインアウトモールから同点に追いつかれ、その後は好機を仕留めきれぬ時間帯を過ごしたが、29分、敵陣中盤の接点の脇をスクラムハーフの福田健太が抜け出し、ナンバーエイトの朝長駿がフィニッシュを決めた(ゴール成功で14-7)。

 14-12と2点リードで迎えた後半13分には、ハーフ線付近右のラインアウトから大きく展開。最後はウイングの山村知也が左タッチライン際を駆け抜けた(19-12)。

 以後は福田を起点とした仕掛けで徐々に前進を重ね、22分には敵陣ゴール前右でスクラムを獲得。ここからボールを持ち出した朝長がインゴールに迫り、最後はその脇を福田が抜け出した(ゴール成功で26-12)。早稲田大学の反撃を食らった35分にはペナルティートライを与えたが、その直後のキックオフからの防御で朝長のジャッカルが相手の反則を誘発。途中出場したスタンドオフの忽那鐘太のペナルティーゴール成功でだめを押した(29-19)。

 これで明治大学は対抗戦で8チーム中2位となり、日本一を争う大学選手権へは23日の準々決勝から参戦。京都産業大学(関西大学リーグ戦A・2位)と法政大学(関東大学リーグ戦1部・4位)との3回戦の勝者とぶつかる。

 早稲田大学戦後、丹羽政彦監督と古川満キャプテンが会見した。

 以下、共同会見中の一問一答の一部(編集箇所あり)。

丹羽監督

「早稲田大学には去年負けていて、次の大学選手権に向けても負けられない試合。本当にいい準備ができました。春から積み重ねてきたことをしっかり出そうとしっかり決め、やってきた結果、随所にその部分が出て、点数も離せたのかなと思います。次に時間が空いたので、コンディションを整え、次はどこと当たるかわかりませんが、できれば去年の大学選手権で負けた京都産業大学さんとやりたいです」

古川

「前半からボールポゼッションを高め、アタックをして流れを作ろうとしました。前半、しっかりとボールポゼッションをして、アタックの時間を増やせたことが今回の試合の結果につながったと思います。勝利はしましたけど、ブレイクダウン(接点)の精度、バックスのアタックなどに課題が見えた試合でもある。次までの時間をいただいたので、それらを細かく修正して、次の大学選手権に向けてレベルアップしていければと思います」

――ブレイクダウンの課題とは。

古川

「(攻撃中、ランナーへの)2人目の寄りが遅いところがありました。ボールの上でしっかりとキル(相手を排除)するという練習をしてきたのですが、きょうのような(圧力のかかる)試合でいつも練習でできていることができないところがあった。練習通りのブレイクダウンを試合でできるよう、もっともっと練習で(レベルを)上げていきたいです」

――早稲田大学の連続攻撃を止めた防御について。

丹羽監督

「相手のポッドアタック(各所に選手がまんべんなく散るシステム)はわかっていたので、うちとしてはフォワードが(一か所に)寄らないこと、(相手を)見てディフェンスすること、ミドル(グラウンド中央付近)のブレイクダウンにプレッシャーをかけることを忠実にやった結果、あまりスコアされない結果になったのかなと思います」

――攻撃面では。

古川

「早稲田大学さんのディフェンスは、僕らが止まっているところにはアグレッシブに来るんですが、僕らが走りこんでくるアタックへのディフェンスは…と話していた。ゲインライン(攻防の境界線)にアタックしようとしていました。それがいい形で出た部分もあります。バックスでも堀米航平(スタンドオフ)、梶村、鶴田馨(アウトサイドセンター)がゲインラインにアタックをしてくれて、流れに乗れていいアタックができた。プランを遂行できた結果だと思います」

――大学選手権へ。

丹羽監督

「2位通過。時間が空きますが、僕らとしては去年花園で負けた悔しい思い出がある。ですので京都産業大学さんに出てきてもらって、どちらのスクラムが本当に強いのかを試したい気持ちがある。去年は不完全燃焼。力勝負でチャレンジして、正月を超え、21年ぶりのチャンピオンを目指して頑張りたいです」

古川

「対抗戦では、僕たちとしては成長している実感、自信があったのですが、結果が伴わない厳しい状況(慶応義塾大学、帝京大学に敗戦)だったなか、早稲田大学に勝って2位をいただけた。これはどんな相手にも明治大学のスタンダードを出そうとした結果だと思います。練習でやっていることがなかなか試合で出せなかったことがあったんですが、今回、いい形で大学選手権に臨めると実感した。これ(手ごたえ)を煮詰めていきたい」

 丹羽監督の言う通り、昨季は早明戦直後の大学選手権3回戦(明治大学にとっての初戦)で京都産業大学に22―26で敗れた。スクラムやしぶとい防御を前にエラーを重ねていた。今季は田中澄憲ヘッドコーチを招いて判断力の醸成に着手。リベンジは果たせるか。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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