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仮面ライダーから居酒屋の看板娘に。『警視庁アウトサイダー』出演の井本彩花、登竜門の先にあるものは?

斉藤貴志芸能ライター/編集者
(C)テレビ朝日

『仮面ライダーリバイス』で仮面ライダージャンヌに変身するヒロインを演じた井本彩花。最終回を迎える『警視庁アウトサイダー』に、西島秀俊が演じる刑事の行きつけの居酒屋のアルバイト・沙希役で出演している。地下アイドルでもある弾けたキャラクターで、ツインテール姿が新鮮だ。ブレイクへの登竜門で培ったものをどう発揮していくか聞いた。

毎日の撮影は幸せな経験だったと思います

――『仮面ライダーリバイス』関係の撮影はスピンオフや劇場版も含めて、全部終わったんですよね?

井本 はいっ! 去年ですべて終わって、冬映画の撮影が本当の最後でした。そのアップのときは、スーツアクターの宮澤雪さんもジャンヌのコスチュームで花束をくださって。「ああ、もう……」って、いろいろな感情が込み上げてきました。

――その後はしばらくロスみたいなものも?

井本 毎日のように撮影が続いていたのは、本当に幸せなことだったんだなと感じました。大変なこともありましたけど、それも良い経験。次に活かせていけたらと思っています。

――『警視庁アウトサイダー』で演じている沙希はツインテールですが、やったことはありました?

井本 今回のようなガッツリ高い位置のツインテールはなかったです。もともと沙希ちゃんは居酒屋でアルバイトをしている普通の大学生役だったんですけど、顔合わせのときに木村(ひさし)監督が「地下アイドルもやっていることにしよう」と付け加えてくださって。「だったらツインテール?」という感じで広がっていきました。

――抵抗はありませんでした?

井本 全然なくて、また新しい自分が見せられて嬉しかったです。実はまだ髪を染めたこともないので、役で金髪とか大胆にイメチェンしたいです。

「サクッと帰ります」は言っていいのかなと(笑)

――実際にアイドルをやっているシーンはありませんが、どんなものか調べたりもしました?

井本 YouTubeで「地下アイドルの1日」みたいな動画を観たりしました。すごくかわいらしくて、あざとい印象があったので、そこは取り入れました。

――「いらっしゃいませ!」と言うシーンの仕草とかに?

井本 そうですね。声が私は低めなのでトーンを上げたり、あいさつするときにクイッと動作をひとつ加えたり(笑)。

――4話で話題になった「サクッと帰ります」のところも?

井本 その台詞はもともと台本になかったんです。現場に着いたら、監督から急に要望があって、「言っちゃっていいんですか?」と(笑)。

――『仮面ライダーリバイス』で井本さんが演じた五十嵐さくらのキメ台詞が「サクッと倒すよ」でした。

井本 5話でバーの店長役の吉田メタルさんが(『仮面ライダー凱武』で演じた仮面ライダーブラーボのモチーフの)ドリアンを持っていたり、木村監督が狙ってるというか、仮面ライダー祭りだなと思いました(笑)。

――7話でも最後に、沙希の「サクッと戻ってきたー」という声が入ってました。

井本 SNSもちょっと沸いていたので、わかる人にはわかる匂わせを入れてもらえて良かったです。

アイドルっぽいキャラソンを残せたのは嬉しくて

――アイドルということだと、『リバイス』で井本さんがラブコフと歌ったキャラクターソングの『Cherry-ish!』のMVのダンスは、アイドルっぽかったですね。

井本 あれはさくらの脳内設定なんです。本当はもっと女の子らしくしたいけど、お年ごろだし、お兄ちゃんたちがいることもあって、普段は見せられなくて。MVのラブコフの部屋ではかわいくキャピキャピということで、アイドルっぽい振りを付けてもらえて楽しかったです。

――井本さんはデビュー当初も『リバイス』が決まったときも、「歌だけは困る」と話していました。キャラソンを歌うことになって、頑張って練習したんですか?

井本 まさか(声優アーティストの)伊藤美来さんとデュエットさせていただくなんて、思ってもいなくて。お兄ちゃんたちもそれぞれ曲を出すということで、「それなら私も頑張ります!」という流れでした。今でもDMで「『Cherry-ish!』を毎日聴いています」「すごく救われます」という声をいただくので、番組が終わってもキャラソンを残していただけたのは嬉しいです。

――ファイナルステージで生披露もしました。

井本 名古屋、福岡公演で歌わせていただきました。やっぱり人前で歌うことにはトラウマがあって……。でも、キャストのみんなが支えてくれました。私、毎公演で泣いていて(笑)、濱尾ノリタカさんがスタッフさんに頼んでティッシュを持ってきてくれたり。本当に愛に溢れていました。

とにかく明るく振る舞うのをモットーに

――沙希の話に戻ると、中学生でデビューした井本さんとしては、居酒屋のシーンでアルバイト気分をちょっと味わえました?

井本 そんなに長いシーンではないので、束の間のバイトみたいな感じで雰囲気を楽しんでいました。アルバイトにはすごく憧れていて。大学で周りの友だちは普通にやっているので、クランクイン前にどんな感じか聞いたりしました。

――どんなバイトをやりたかったんですか?

井本 焼肉屋さんです! まかないがおいしそうなので(笑)。友だちには「彩花にはオシャレなカフェで働いてほしい」と言われますけど、私は声を張って「いらっしゃいませ!」とか言ってみたいんです。

――沙希みたいな、強面のおじさんのあしらいもうまい接客はできそうですか?

井本 経験がないのでわかりませんが、沙希は居酒屋の看板娘という役柄なので、とにかく明るく振る舞うのをモットーにしていました。私もバイトするなら、沙希みたいに接客したり、キッチンで何か作ったりもしてみたいです。

マイナスを引きずらない切り替え方を見つけました

――1年半に渡って『リバイス』に取り組んだ前と後で、演技の仕方や考え方は変わりましたか?

井本 メンタル面は鍛えられたと思います。1年半、同じ作品をやらせていただくと、日常生活で自分の精神状態が良くないときもあって。でも、撮影には引きずらない。役には持ち込まない。そういうオン、オフの切り替え方は自分の中で見つけられた感じです。

――今のクール、五十嵐家の兄役だった前田拳太郎さんが『女神の教室』、日向亘さんが『Get Ready!』とレギュラー出演しています。

井本 冬映画の舞台あいさつで久しぶりにお会いしましたけど、本当にすごいなと思います。毎週ドラマで『リバイス』メンバーが観られて嬉しいのと同時に、私ももっと頑張ろうと刺激を受けています。

――それに限らず、最近観たドラマや映画で刺さったものはありますか?

井本 今期のドラマはほとんど観ています。中でも『夕暮れに、手をつなぐ』の広瀬すずさんや、『星降る夜に』の吉高由里子さんが素敵だなと思いました。私もいつか恋愛ドラマに参加したいです。学園ものでまだ制服を着たい想いも、もちろんあります。

大人の世界も演じてみたくて

――ラブコメ系で好きな作品もありますか?

井本 いっぱいある中で挙げると、石原さとみさんと山下智久さんの『5→9~私に恋したお坊さん~』は小学生の頃に観て、「恋っていいな」と思った印象があります。

――井本さんの憧れの武井咲さんも、そういう作品に出演していました。

井本 たくさん出演されてますよね。でも、武井さんの作品だと、私は『黒革の手帖』がダントツで好きです。恋愛ものではないですけど。

――中学時代に夜の世界のドラマを観ていて?

井本 そうです。「こういう大人の世界があるんだ」と思って観てましたけど、咲様のお芝居や立ち居振る舞いが本当に美しくて。それで私もこの世界を目指そうと決めました。いつかそういう役もやってみたいです。

大学は絶対に4年で卒業します

――4月からは大学2年生になります。『リバイス』の撮影が終わってからは、通いやすくなりました?

井本 『リバイス』をやらせていただいていたときは、絶対出席しないといけない授業に出てから撮影に行ったり、ハードでしたけど、1年生の後半からは楽になりました。

――それでも、テストやレポートと仕事が重なることはあるでしょうけど。

井本 テスト前はガッツリ勉強して挑んでます。でも、『リバイス』の撮影をしながら高校から大学に進学もできたので。あれを乗り越えたのだから何とかなると、自分では思っています。絶対に4年で卒業したいです。

――キャンパスライフの楽しさも感じていますか?

井本 わりとオンデマンドの授業を取っていて、大学で友だちと会うのは週1なんです。でも、空きコマのときにカフェで「この授業どう?」「あの先生は?」と話すのが息抜きになっていて。「いつか遊ぼう」と約束もしています。

ゲームにハマってチャレンジ精神は持つべきだなと

――今年の秋で20歳になりますが、自分磨き的なことはしていますか?

井本 自分磨きではないですけど、ゲームの『原神』にハマってます。良いのか悪いのか、何もない日は家で『原神』しかやっていません(笑)。止まらなくなってしまうので。

――もともとゲーマーでしたっけ?

井本 違います。年明けに何かゲームを始めたいと思って、弟が『原神』を薦めてくれて。インストールして始めたら、ガチャですごいレアキャラがたまたま当たったんです。弟に「神引きだよ」と言われて、そこからハマりました。

――プレイ自体も楽しいんですよね?

井本 ストーリーも面白いし、画もきれい。あと、キャラクターの女性がすごくかわいくて、どタイプなんです。だから、キャラクターのレベルをもっと上げたくて、やめられなくなっています(笑)。

――仕事にも繋がりますかね?

井本 直にはわかりません。ただ、未知の世界に足を踏み入れるチャレンジ精神は持つべきだと思いました。自分には無理と始めから否定するのでなく、とりあえずやってみる。やりすぎには注意、ですけどね(笑)。

オスカープロモーション提供
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Profile

井本彩花(いもと・あやか)

2003年10月23日生まれ、京都府出身。

2017年に「第15回全日本国民的美少女コンテスト」でグランプリ。同年、ドラマ『ドクターX外科医・大門未知子~』で女優デビュー。主な出演作はドラマ『女子高生の無駄づかい』、『さくらの親子丼3』、『桜の塔』、『仮面ライダーリバイス』など。『警視庁アウトサイダー』(テレビ朝日系)に出演中。

『警視庁アウトサイダー』

テレビ朝日系/木曜21:00~

公式HP

(C)テレビ朝日
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芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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