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ポケモンGO初日にトライしてみて気づいた危険性 それは「盗撮」疑惑

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
マクドナルドではレベルが低すぎて、まだ対戦できなかった…

【追記】懸念していた「盗撮」疑惑のトラブルが早くも発生した。

やはり人前でのモンスター捕獲は、「ARオフ」の設定が必須のようだ…

渋谷署によると、男の逮捕容疑は、23日午後9時半ごろ、渋谷区道玄坂2丁目の路上で都内の20代女性の右腕をつかんだというもの。ポケモンGOで遊んでいた女性が路上の画面を記録していたところ、「おれを撮っただろ。写真を消せ」と迫ったという。

2人に面識はなく、女性と付近の通行人が110番通報し、署員が駆けつけたという。女性は「珍しいポケモンが出たので、写真を撮っただけ」と話しているという。

出典:ポケモン中の女性を暴行容疑 男を現行犯逮捕

KNNポール神田です!

ポケモンGOが2016年7月22日金曜日、日本でもついにダウンロード解禁となった

早速ダウンロードしてみて、トライしてみた。

※ポケモンGOの登録時点での注意点は、三上さんのコラムに詳しい。

ポケモンGOついに日本で開始!登録時の注意点はアカウント・ニックネーム・課金

http://bylines.news.yahoo.co.jp/mikamiyoh/20160722-00060020/

ジェネレーションによる熱量の差

実際にポケモンGOプレイしてみると、同じ、ARゲームでも、「イングレス」とはちがってシンプルでわかりやすい。最初の数匹は簡単にゲット?ガッチャ?できる。筆者(50代)にとっては、単なるキャラクターであるモンスターだったが、しかし、一緒に遊んだ20代後半の人はモンスターとの再会は、感動の再会のようで、形態を見ただけで、次々と名前を言い当ててしまう。しかも現実世界にAR化されてあらわれることに感動するようだ。このジェネレーションによる「熱量の差」は非常に大きい。当時は、ゲームボーイだけではなく、鉛筆などもシリーズでそろえ、小学校ではポケモンが溢れていた社会環境だったからとても懐かしいと語った。そういえば、筆者の娘たちもなにやら、ピカチュー、カイラン、ピジョン、コダック、コラッタ、ズバット…の呪文のようなものを連日唱え続けていたのを想い出した…。そのモンスターたちがARで登場してくるから楽しいのだろう。

ポケットモンスターの「任天堂ゲームボーイ」でのデビューは阪神大震災の翌年の1996年。あれから20年。当時のポケモンに熱狂した小学生たちが、いいオトナになっている。10歳でも今は30歳。15歳の当時の中3生でも35歳。さらにポケットモンスターは現在に至るまでの超ロングセラーだから40歳以下ならば男女を問わず、ターゲット層になり得る。当然、スマホのターゲット層にピッタリのキャラクターとコンテンツなのである。逆に40歳以上には円谷プロダクション版のウルトラ怪獣で、ピグモンやラゴン、エレキングやゼットン、バルタン星人にツインテールなどをフィーチャリングしてくれると全方位のジェネレーションがカバーできそうだ。円谷プロにとっても、それは美味しいディールになることだろう。そのうち「AKB GO」などの派生ビジネスもいくらでも展開できるだろう。しかし、ARゲームと社会との間には超えなければならない壁がある。

ポケモンGOの最大の問題点は「盗撮擬似行動」

モンスターをゲットしているつもりが完全に盗撮モード
モンスターをゲットしているつもりが完全に盗撮モード

海外では、「結果としての歩きスマホ」が原因による事故やトラブルが多く報告されている。しかし、プレイしてみてわかったことがある。そろそろモンスターが出そうなことがわかるが、突然遭遇したモンスターに対して、対戦して、捕獲するには、その瞬間に集中して対戦する必要があるからだ。その間、町の中で脚がとまり、スマホをかざして、まわりをスキャンする。そして、モンスターを発見してからはボールを投げてゲットする。ゲームに熱中するプレイヤーは、ただゲームをやっているだけだが、社会で普通に一般に普通に生活をしている人たちには、突然スマホをかざされているのだからイヤな気分になるだろう。まるで撮影されているような気になるのだ。かつての「セカイカメラ」のARでも感じた同じ現象だ。セカイカメラの「エアタグ」は自分の意思で撮影して投稿するものだから完全に意思のある「自己責任」だったが、ポケモンGOの場合も社会にスマホを向けている事は、自己責任なはずなのに、「モンスターをゲットしているだけ」というなにか、自己弁護できそうな雰囲気に満ちている。しかし、スマホを向けられた側が、イヤな事があった人や短気な人、すぐにキレたがる人だった場合、当然トラブルは発生することだろう。

筆者も近くにモンスターがいることを見つけて、普段立ち寄らない喫煙場所のモンスターに向かい、そのモンスターを獲ろうとすると…喫煙している女性の真ん前…。すぐにモンスターをあきらめて自重した。基本的に、人前ではモンスターをゲットしないなどの自主ルールが必要だ。当たり前のようなことだが、ついついモンスターが登場した場合にも、どれだけ自分を抑制できるかの自己管理能力が問われるゲームでもあるのだ。

こんな時に、「ポーズボタン」や「パニックボタン」があればと思うが、そうするとゲームの緊張感がなくなってしまう。しかし、ポケモンGOのブームによって、盗撮されているような疑惑を感じさせることは日本でも、大量発生しているはずだ。事故や事件よりも、擬似盗撮行為が日本全国で展開されていることは安易に想像しやすい。結果として、ポケモンGOの普及をさまたげるルールが制定される確率が高まる。

モンスターと対峙した時に、そこが社会に迷惑をかけている場所であるか、そうではないか?人がいないか?などを判断する必要が個人にあるだろう。むしろ、AIを駆使するGoogle傘下のナイアンテック社は、人が映り込む場所にはモンスターを出さないなどの世界のユーザーからのフィードバックによる問題点に日々取り組んでいるはずだ。むしろ、その改良の進化のスピードと、日本の自治体での迷惑条例のスピードとの勝負かも知れない。日本は規制の緩和には時間がかかるが、何かあった場合や万一の時に関しての規制はやたらとスピードが早いから、ナイアンテック社側の回避策に期待したいものだ。

また、ポケモンGOのレベルが5にならないと、マクドナルドでの「ジム」の対戦がデキなかった…。この時点でマクドナルドで対戦する敷居の高さを感じてしまった。

レベル5までは相当時間がかかりそうだ…。
レベル5までは相当時間がかかりそうだ…。

【追記】「ARオフ」にすることによって、スマホをリアルにかざすことなくプレイすることができます。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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