なぜレアルは“無敗”を維持しているのか?ヴィニシウスの爆発とチュアメニの成長。
死角が、見当たらない。
リーガエスパニョーラ第5節で、レアル・マドリーはマジョルカに勝利した。これで開幕5連勝。無敗をキープして、2位バルセロナとの勝ち点2差を維持している。
また、チャンピオンズリーグでは、グループステージでセルティックとライプツィヒと対戦して、2連勝を飾っている。
■カゼミロの放出
マドリーは今夏の移籍市場でカゼミロを放出した。マンチェスター・ユナイテッドから移籍金7000万ユーロ(約98億円)のオファーが届き、カゼミロのプレミアリーグ移籍が決定した。
マドリーが、準備をしていなかったわけではない。モナコに移籍金8000万ユーロ(約112億円)を支払い、オウリエン・チュアメニの獲得を決めていた。
カゼミロはルカ・モドリッチ、トニ・クロースと“盤石の中盤”を形成した。チャンピオンズリーグで4度の優勝を果たし、フットボール史上においても名を残す伝説的な中盤を築いた。
無論、カゼミロとチュアメニではプレースタイルが異なる。また、チュアメニは移籍一年目の選手だ。良いプレーをする試合もあるだろうが、やはり慎重にならなければいけない。
「チュアメニはゴール前まで出て行ける。彼のそういう動きに、チーム全体が対応しなければいけない。バランスを保つために、だ。ビルドアップにおいては、彼以外の2選手が担当する必要がある」とはカルロ・アンチェロッティ監督の弁である。
「クロースやモドリッチと組むのと、カマヴィンガやバルベルデあるいはセバージョスと組むのは、違う」
アンチェロッティ監督が腐心しているのは、中盤の組み合わせだ。これまではカゼミロ、モドリッチ、クロースが不動の存在だった。だがカゼミロが不在となった現在、ダニ・セバージョス、エドゥアルド・カマヴィンガ、フェデリコ・バルベルデ、チュアメニらを入れ替えながらミドルゾーンをカバーする必要があると考えている。
■ベンゼマの離脱
もうひとつ、懸念材料がある。カリム・ベンゼマの負傷離脱だ。
ベンゼマは昨季、46試合に出場して44得点15アシストを記録。まさにマドリーのエースとして、ドブレテ(2冠)達成に大きく貢献した。
ベンゼマは今季も開幕から好調だった。6試合(出場時間480分)に出て、4得点1アシストをマークしていた。だがチャンピオンズリーグ・グループステージ第1節セルティック戦で負傷して、戦線離脱を余儀なくされた。
ベンゼマの離脱で、攻撃を牽引するのは、ヴィニシウス・ジュニオールになるだろう。
昨季、アンチェロッティ監督の下で、ヴィニシウスの決定力は大幅にアップした。
ヴィニシウスは昨季、52試合22得点20アシストを記録した。2020−21シーズン(49試合6得点7アシスト)と比較すれば、その差は明らかである。
ベンゼマが不在となり、対戦相手のマークはヴィニシウスに集中するはずだ。それでも、「違い」を作れるかどうか。それがヴィニシウスにとっても、マドリーにとっても、鍵になる。
「我々はうまくやっている。ベンゼマがいない中で、選手たちはその穴を埋めてくれている。それは自信につながるだろう。もちろん、ベンゼマが早く戻ってくることを願っているけれどね」
「フィジカルコンディションについては、選手たちのDNAに頼る部分が大きい。ロドリゴ、バルベルデ、カマヴィンガ、モドリッチ、チュアメニ…。彼らのスピードやエネルギーというのは、本当にすごい。そして、彼らの姿勢とコミットメントだ。非常に真面目で、日々、懸命にトレーニングしている」
これはアンチェロッティ監督のコメントだ。
今季、打倒マドリーを掲げるチームは少なくない。王者のチャレンジとしての、勝ち続ける難しさが、そこにはある。
しかしーー。今のところ、マドリーを倒せるチームは出てきていない。