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天候不順の秋 今後、寒さに一層の備えを

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
秋(9月-11月)の平均気温は全国的に平年を下回った(著者作成)

 この秋は長雨や強い寒気の影響で、全国的に平均気温が平年を下回った。今月中旬にかけても東・西日本では気温が平年と比べかなり低くなる可能性が高い。寒さに一層の備えを。

東・西日本に低温情報

 気象庁は1日(金)午前、東日本と西日本の長期間の低温に関する全般気象情報を発表しました。長期間とは約2週間、低温とは気温が平年より低くなることをいい、いつもとは違う天気に備えて欲しい意味が込められています。

 12月と言えば「初冬」、この時期は日を追うごとに寒くなるため、多少の寒さでは低温情報は発表されません。

 気になって天気ノートを調べてみました。すると、この時期に発表された低温情報は2005年12月1日「西日本と南西諸島の強い寒気の南下に関する全般気象情報」まで見当たらず。この年は度重なる猛烈な寒気で、日本海側では記録的な大雪となりました。「平成18年豪雪」という言葉を覚えている方もいらっしゃるでしょう。

 低温情報が発表されたからといって、この冬が記録的な寒さ・大雪になるとは限りませんが、最近は暖冬が続いていたため、寒さを忘れがちです。もう少し身構えなくてはと思います。

天候不順に泣かされた秋

 先日、今年は秋晴れがなかったといわれ、ちょっと驚きました。晴れの天気が少なかった印象はあまりないのですが、秋の降水量は全国的に平年を大きく上回り、西日本では平年の約1.7倍、統計史上2番目に多くなりました。10月に相次いだ台風の影響が大きかったようです。

 秋の平均気温も長雨や11月の強い寒気の影響で、北日本から西日本までの広い範囲で平年を下回りました。東日本では2002年以来15年ぶりです。どちらかというと、気温が低くなったことに興味を引かれました。

秋はより暖かく

 こちらは東日本の秋の平均気温平年差をグラフにしたものです。

東日本 秋の平均気温の平年差グラフ(1961年-2017年):著者作成
東日本 秋の平均気温の平年差グラフ(1961年-2017年):著者作成

 気温が右肩上がりで上昇しているため、昔は寒く、今は暖かい傾向が表れています。

 日本の平均気温の上昇率を季節別にみると、この100年で最も上昇率が高くなったのは春、次いで秋です。温暖化の影響は暑い夏に大きいと思われるかもしれませんが、実は寒い時期の方がより大きい。また、海の温度が高くなっていることも影響していると思います。

【参考資料】

気象庁:東日本と西日本の長期間の低温に関する全般気象情報 第1号,2017年12月1日

気象庁:気候変動監視レポート2016 第2章気候変動

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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