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目を覚ました太平洋 いきなりストーム2個発生中

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
3日の衛星画像 (左:気象庁 右:NOAA)

静寂を保っていた太平洋で、一気に二つの嵐が発生しています。

現地時間2日(土曜)、太平洋東部の海上でトロピカルストーム1号「アガサ」が発生しました。そして続けて日本時間3日(日曜)には、太平洋西部でも、台風1号「ニパルタック」ができたのです。

(注:トロピカルストームは台風の別名で、2つとも、風速17メートル以上の熱帯性の嵐のことです)

2016年上半期、ストーム干ばつの太平洋

台風など激しい気象現象は、災害の観点からは、無いに越したことはありませんが、無いと無いで不安になるもので、「台風ゼロ!いつできるのか」などと、メディアでも騒がれていました。

その状況は太平洋東部でも同様で、6月末までに一つもトロピカルストームが発生せず、「ストーム干ばつ」などとも言われていたのです。

太平洋中部には、今年1月ハリケーン・パリが発生していたものの、東部と西部では上半期一つも出来ず、かつてないほどの静かな太平洋だったといえます。

ちなみに、台風1号「ニパルタック」は、史上2番目に遅い台風1号(記録:1998年7月9日)で、一方の「アガサ」は、史上最遅のトロピカルストーム1号となりました(前回の記録:2009年6月21日)。

今後の予想(日本時間3日正午現在時点)

では、これら2つの嵐は今後どのように発達し、どこに進むのでしょうか。

台風1号「ニパルタック」の行方

3日12時時点の予想進路図(気象庁)
3日12時時点の予想進路図(気象庁)

台風の中心は、現在、グアムの南約500キロに位置しています。今後発達を続けながら北西へと進み、7日(木曜)頃に沖縄県・先島諸島や台湾近海に達し、8日(金曜)に中国東部に上陸するおそれがあります。

トロピカルストーム1号「アガサ」の行方

アガサの中心はメキシコの南東約1000キロに位置しています。今後も発達を続けながら、西へと進む予想です。予想進路上には島がなく、また来週初めには弱まる見込みで、陸地への大きな影響は当面なさそうです。

日本時間3日12時時点の状況(NOAA)
日本時間3日12時時点の状況(NOAA)

ただ、すぐ後ろには、より発達しそうな嵐が控えています。アガサのすぐ東には、すでに熱帯低気圧が発生しており、今にも2号が発生する可能性が高くなっています。しかもこちらはメジャー・ハリケーンと言って、猛烈なハリケーン(最大風速50メートル以上)にまで強まる恐れもあります。

北太平洋のストームシーズンは、これからが本番です。

(進路などの最新情報はこちらを↓)

台風

トロピカルストーム

<追記>

日本時間3日18時、東部太平洋の熱帯低気圧は、トロピカルストーム・ブラスに発達しました。これをもって、現在3つの嵐が同時に発生しています。

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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