後味の悪いウィンブルドンテニスになってしまった大坂なおみ。今後トッププレーヤーとしての資質が問われる
テニス4大メジャーであるグランドスラムの第3戦・ウィンブルドンの大会初日の1回戦で、第2シードの大坂なおみ(WTAランキング2位、7月1日付け)は、ユリア・プティンツェワ(39位、カザフスタン)に、6-7(4)、2-6で敗れた。大坂が、グランドスラムの1回戦で敗れるのは、2017年ローランギャロス以来2回目だ。
ウィンブルドン前哨戦のWTAバーミンガム大会の2回戦で敗れた相手であるプティンツェワとの再戦になった大坂の1回戦はセンターコートで行われた。
試合の序盤では、大坂が上々のスタートを見せた。プティンツェワがダブルフォールトを2回したのに乗じて、バック逆クロスのリターンエースや、フォア逆クロスで前に出てからバックのスィングボレーをクロスに決め、ポイントを重ねて先にブレークに成功した。
大坂は、苦手なグラス(天然芝)コートで攻撃的な展開を試みようとはしていたが、プティンツェワが1球でも多く返そうとして、なかなかミスをしてくれなかった。
逆に、プティンツェワが、大坂のバックサイドにボールを集め、さらにバックハンドのスライスを交ぜることによって、大坂のバックのミスを多く引き出した。
「自分の集中力を高く保つことができました。なおみを動かして、プレーをミックスしました」と語ったプティンツェワは、第1セット第6ゲームでブレークバックに成功すると、試合の流れは大坂からプティンツェワに傾いた。
お互いワンブレークで迎えたタイブレークでは、大坂が一時3-1とリードしたが、ここから大坂がミスを連発して、プティンツェワの2回目のセットポイントでは、大坂がバックダウンザラインへのショットをミスして、プティンツェワがセットを先取した。
第2セット第5ゲーム30-40の場面では、プティンツェワのバックリターンがドロップ気味にネットを越え、線審はアウトとコールしたが、プティンツェワがチャレンジを要求して、判定はインでくつがえり、大坂のサーブを再びブレーク。プティンツェワは両手でガッツポーズをつくった。
ここから気持ちの立て直しができなくなった大坂は、結局第4ゲームから5ゲームを連取されて1回戦敗退となった。
大坂は、着替えないで試合用のテニスウエアのままでメインインタビュールームに現れ、聞き取るのが難しいほどのか細い声で試合を振り返った。
「練習では悪くなかったので、今日(1回戦)いいプレーができるはずだった」(大坂)
英語での質問が11問目(4分経過)になった時、大坂は「ここを離れてもいいですか? 今にも泣き出しそうなの」と司会者に言って、メインインタビュールームを離れてしまった。
グランドスラムやツアー大会の記者会見で、選手は、英語による会見をまず行い、その後に母国語の会見を行うのが通例だ(通常会見時間は10~15分)。大坂は、義務として日本語の会見を行わなければいけなかったが、再びメインインタビュールームに戻ることはなかった。
大坂の3回目のウィンブルドンは、何とも後味の悪いものになってしまった……。
世界2位の大坂が1回戦で敗退したのは、大きなアップセットであり、大会初日のニュースの一つだった。
もちろん大坂にとっても大きなショックだっただろう。
でも、それはいつでも起こり得ることなのだ。勝負に絶対はないのだから。
大坂は、プロテニスプレーヤーとしての責務をしっかり果たすべきだった。たとえ涙を流すことになったとしても、会見は最後までやり遂げるべきだった。世界中からの注目が集まるウィンブルドンで、大坂が責務を全うできなかったことが発生してしまったことは本当に残念でならない。これはトッププレーヤーとしての資質が問われることでもあるのだ。
今後、コーチやエージェントが、大坂を再レクチャーして、一流のプロテニスプレーヤーとして立ち直らせることができるだろうか。
8月下旬には、大坂がディフェンディングチャンピオンとして臨むUSオープンが控えている。ニューヨークで、ウィンブルドンと同じ過ちだけは避けなくてはならない。