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次の試合を観に行くためのトップリーグ週間ベスト15(第6節)【ラグビー雑記帳】

向風見也ラグビーライター
今春はニュージーランドで武者修行した堀江恭。(写真:中西祐介/アフロスポーツ)

日本最高峰のラグビートップリーグ第6節(10月8日~10月9日)の私的ベストフィフティーンを紹介します。これからラグビーを好きになってもらう方の見どころ探しに活用していただければ幸いです。備考は文末にございます。

昨秋のワールドカップなどで何となく勝手を知った方向けにまとめております。もしわからない箇所がありましたら、「まぁ、要は、そういう感じなのね」と読み飛ばしていただいてかまいません。きっと、実際の観戦時に照らし合わせられることと存じます。

1 左プロップ

仲谷聖史(ヤマハ)…クボタに53―0で勝利。ミスを重ねた相手を前に、自分たちのシナリオ(スクラム、ダブルタックル、左右幅を使ったアタックでの圧倒)を貫いた。そんななか背番号1は、後半に退くまでスクラムの優勢を保つ。前半12分頃には自陣22メートル線付近で低いタックル。相手ランナーの動きを止めた。そこへ右プロップの伊藤平一郎のセカンドタックルが決まり、落球を誘う。

2 フッカー

日野剛志(ヤマハ)…クボタ戦ではスクラムと同時に、持ち前の快足も活かす。1、2本目のトライは、いずれもほぼ同じ形。右タッチライン際でのラインアウトから出たボールを中央へ持ち込み、もう一度、右へ展開。ラインアウトの投入役だった日野は右端に残ったままで、大勢の仲間と波状攻撃を仕掛ける。1本目では、ウイング伊藤力のトライを決まる直前の接点を作る。2本目では、大きな突破からのウイング伊藤へのパスで、デューク・クリシュナンのフィニッシュを誘う。

3 右プロップ

ルアーン・スミス(トヨタ自動車)…近鉄に25-19で勝利。スクラムでは序盤こそ反則を取られたが、概ね優勢を保つ。6点リードで迎えた後半12分頃には、自陣22メートルエリアでジャッカルを決め、相手の反則を誘った。

4 ロック

マイケル・ブロードハースト(リコー)…神戸製鋼戦では39―45と惜敗も、要所で働く。前半18分には、スコアを7-7とタイに持ち込むきっかけのトライを決める。その直前の敵陣ゴール前右の相手ボールラインアウトでは、敵のジャンパーの後ろから手を伸ばし、スティールを決める。前半25分頃には、またも敵陣中盤で相手のアンダーソン フレイザーを押し戻す強烈なタックルを放つ。

5 ロック

ジャック・ポトヒエッター(サニックス)…サントリーに大敗も、ランナーとして、接点での妨害役としてしばし杭を打った。

6 ブラインドサイドフランカー

ヴィリー・ブリッツ(NTTコム)…コカ・コーラを17―14で制する接戦でも、ナンバーエイトとして献身的なプレーを貫く。自陣深い位置で相手を掴み上げてターンオーバーを決めたり、接点に絡みついては反則を奪ったり。相手のラインアウトをスティールする場面も。南アフリカ出身、キャップはゼロ。

7 オープンサイドフランカー

堀江恭佑(ヤマハ)…ナンバーエイトとして先発。スピードをつけた突破と相手をせき止めるタックルで相手をせき止める。

8 ナンバーエイト

ワイクリフ・パールー(トヨタ自動車)…再三、狭い区画を突っ切る走りを繰り出す。

9 スクラムハーフ

アンドリュー・エリス(神戸製鋼)…リコーとの打ち合いを制したのは、神戸製鋼の試合終盤の連続攻撃。槍のように飛び出す防御網を前に、一定の間を保ってパスを捌いた。序盤こそミスを重ねたが、要所ではスコアを手繰り寄せた。日本人選手では西橋勇人(NTTコム)のラン、田中史朗(パナソニック)の自陣ゴール前での危機察知、茂野海人(NEC)の球さばきと接点でのプレッシャーが光った。

10 スタンドオフ

タマティ・エリソン(リコー)…リコーは、神戸製鋼の防御網の特徴をうまく分析したか。敵陣でラインアウトを得れば、まずは順目(広い攻撃方向)へ球を運び、一転、逆目へ。球が渡った先の相手の守備網は少し凸凹で、そいつを上手く突いたのがタマティ・エリソンだった。後半26分のフランカー福本翔平のトライ(直後のコンバージョン成功で一時勝ち越し)もその形。守備網の背後で待つ福本へ、エリソンの鋭いパスが飛んできていた。強烈なタックルでも魅せていたエリソンは、遡って14分にも、強くて速いパスでスコアを演出。敵陣22メートルエリア中央やや右寄りの位置で、目の前とその外側の2人の防御を引きつけ、右端へロングパスを放った。

11 ウイング

山下楽平(神戸製鋼)…対面が一時退場処分で欠けている間、持ち場の左タッチライン際を駆ける。前半23分に14―7と勝ち越すきっかけを作るトライは、自陣深い位置からのラン、アウトサイドセンターのジャック・フーリー(神戸製鋼)へのパスとサポートの合わせ技で奪った。続く25分のスクラムハーフ、アンドリューエリスのトライも、自らの快走をきっかけとした。試合終盤は、ハイボールの競り合いで相手の落球を誘うなど持ち前のクレバーなプレーを貫く。

12 インサイドセンター

ヴィリアミ・タヒトゥア(ヤマハ)…防御の接点に入れば相手の球出しを遅らせ(後半19分頃など)、パスをもらえば大抵、相手を引きつけたまま前進する。防御ではアンソニー・ファインガ(近鉄)のタックルも光った。

13 アウトサイドセンター

リチャード・バックマン(パナソニック)…NECに51―26と快勝もやや大味になったゲームで、要所を締める。10点リードで迎えた前半36分頃、自陣22メートル線付近左で球をもらうと、斜め中央方向までの道が空いていると見て一気に前進。ビッグゲイン。敵陣10メートル線あたりで捕まっても、慌てず、味方がサポートしやすいようボールを後方に置く。15点あったリードを8点に詰められて迎えた後半7分頃は、ウイング北川智規ゲームキャプテンのトライを促す。敵陣22メートルエリア左中間でスタンドオフの山沢拓也からロングパスを受け取ると、すぐ右に折り返した。

14 ウイング

アンダーソン フレイザー(神戸製鋼)…トライの取り合いとなったリコー戦で、トライシーン以外の場所で存在感を示す。後半23分には、ディフェンスラインがどんどん後退させられるなか相手を仰向けにするタックルで落球を誘う。攻めても前に出られなかった後半34分頃、右タッチライン際を一気に前進。終始、懸命に前に出ていたリコー守備網は、この時間帯だけ位置取りがややスローになっていたか。コディ・レイの決勝トライが決まったのは、その5分後のことだった。

15 フルバック

松島幸太朗(サントリー)…サニックス戦の前半終了間際、チーム3本目のトライで大方の流れを決める。まずは、相手の死角からパスコースへ駆け込みながらのランで、敵陣22メートル線手前からゴール前まで前進。フェーズを重ねるなかでラストパスをもらうや、身体を回転させてタックラーをかわす。そのほかにも大きな突破を繰り出すシーンを多く作り、守っても大外のランナーを掴み上げるタックルで相手のテンポを鈍らせた。他会場では、ロビー・ロビンソン(トヨタ自動車)ゲラード・ファンデンヒーファー(ヤマハ)がキックとランのバランスで魅せた。

<備考>

・ポジション解説は以下のURLのテキスト文中の「■」部分をご参照ください。

2019年W杯に向け…。ラグビー版「ドラフト会議」スカウティングレポート?(前編)

2019年W杯に向け…。ラグビー版「ドラフト会議」スカウティングレポート?(後編)

・背番号4、5(両ロック)、背番号6~8(フォワード第3列)と背番号11、14(両ウイング)は、ポジションの類似性から当日のゲームとは異なる背番号で選出させていただいていることがあります。

・基準は独断ですが、なるべく「その試合での勝利(もしくは勝利を目指す過程)に貢献した選手」をご紹介します。

・次節以降の詳細などはこちら

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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