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理想はギータとマッチョマンのフルスイング 遅咲きの30歳が迎える春季キャンプ

室井昌也韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表
昨年4月14日の対ネクセンで一発を放つチェ・ジュファン(写真:トゥサンベアーズ)

2月1日にスタートする春季キャンプ。その期間中、日韓の球団間での練習試合が1、2軍合わせて23試合予定されている(1月28日現在)。

(参考記事:12球団のキャンプ日程が出揃う 韓国球団との練習試合は23試合

韓国の選手にとって日本の球団との練習試合は実戦感覚をつかむことが最優先となるが、日本の選手の存在が刺激になるケースもある。トゥサンベアーズのチェ・ジュファン(30)は福岡ソフトバンクの柳田悠岐(30)に特別な関心を持っている。

「柳田の攻撃的なフルスイングは魅力的だ。あのパワーは東洋人とは思えない」

柳田は昨季2度目の首位打者に輝き、4年続けて最高出塁率を獲得。2015年にはトリプルスリーを達成したパワーとスピード、正確性を兼ね備えた日本を代表するバッターだ。チェ・ジュファンは自身と同じ左打者を、「見るのも勉強」と言ってインターネット上で動画をチェックしている。

チェ・ジュファンはプロ13年目の昨季、自身2度目の規定打席到達を果たし好成績を残した。主に2番打者として打率3割3分3厘、108打点。17年には7本だったホームランが4倍近く増えて26本を記録した。韓国シリーズでも一発を放ち、欠場の主砲に代わって4番にも座った。

チェ・ジュファンは柳田に影響され練習でフルスイングを心掛けたところ、それが結果にも結び付いたという。

「練習では手首とバットのヘッドを意識して100%の力でアッパースイング気味に振っている。そうやって感覚をつかんだことで試合ではレベルスイングで振っても自然と打球が飛ぶようになった」

柳田をきっかけに自己最高の成績につなげたチェ・ジュファン。しかしこの両選手は体格に大きな差がある。

「ギータ・マニア」のチェ・ジュファンは片言の日本語で「ヤナギタのシンチョウは188センチ、タイジュウは92キロ」と暗記しているプロフィールを言った後、「ヤナギタはオオキイネ」と悔しそうな表情を見せた。

チェ・ジュファンはプロフィール上、178cm73kgとプロ選手の中では小柄な方だ。しかしチェ・ジュファンは肉体改造に着手し、昨秋の韓国シリーズ直前には「体重が90kgまで増えた」と嬉しそうに話した。

そのチェ・ジュファンは最近、柳田以外にも興味深く見つめている選手がいる。オリックスの吉田正尚(25)だ。吉田正といえば柳田同様にフルスイングが代名詞となっている。

チェ・ジュファンは吉田正について「背が小さい(173cm)のになんであんなに飛ばせるんだ?」と動画を見て驚いたという。

チェ・ジュファンが所属するトゥサンは沖縄県うるま市で1次キャンプを行い、2月21日からは宮崎県内に練習場所を移す。宮崎は柳田のソフトバンク、吉田正のオリックスのキャンプ地だ。

柳田、吉田正の打撃を生で見たいと願うチェ・ジュファン。今春のキャンプでトゥサンはソフトバンク1軍との試合予定はないが、オリックスとは練習試合が2試合予定されている。

「スバラシイデス!」

宮崎で吉田正のスイングを見た童顔の30歳が、無邪気にそう口にする姿が目に浮かぶ。

※本記事は筆者がスポーツ朝鮮に韓国語で寄稿したコラムを、スポーツ朝鮮の承諾を得て日本語で加筆し再編集して執筆したものです。

本項目は韓国KBOリーグ各球団から写真使用の許可を得ています。

韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表

2002年から韓国プロ野球の取材を行う「韓国プロ野球の伝え手」。編著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』(韓国野球委員会、韓国プロ野球選手協会承認)を04年から毎年発行し、取材成果や韓国球界とのつながりは日本の各球団や放送局でも反映されている。その活動範囲は番組出演、コーディネートと多岐に渡る。スポニチアネックスで連載、韓国では06年からスポーツ朝鮮で韓国語コラムを連載。ラジオ「室井昌也 ボクとあなたの好奇心」(FM那覇)出演中。新刊「沖縄のスーパー お買い物ガイドブック」。72年東京生まれ、日本大学芸術学部演劇学科中退。ストライク・ゾーン代表。KBOリーグ取材記者(スポーツ朝鮮所属)。

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