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NASAの新たな偉業!小惑星の公転軌道を大幅に短縮させる

どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。

今回は「NASAの最新地球防衛ミッションの映像と結果」というテーマで動画をお送りしていきます。

●隕石の脅威と軌道転換

私たちの住む地球はとても穏やかな環境を持っていますが、それはこの宇宙でいえば本当に特異な環境です。

そもそも宇宙は非常に危険な天体や現象にあふれており、生命にとってとても住めるような場所ではありません。

基本は安全な地球ですが、生命や文明を脅かすほどの脅威が宇宙からやってくることも度々あります。

具体的な脅威となる現象としては例えば活発な太陽活動、超新星爆発やガンマ線バーストなどが挙げられます。

中でも、地球上の生命にとって「巨大隕石衝突」のリスクは付き物です。

太陽を公転する天体は地球以外にも無数にあり、それらの一部が地球に接近、衝突することは避けられません。

実際に今から6600万年前、地球に直径10km大の巨大隕石が衝突し、それが原因となって恐竜をはじめとした地球上の生命種の75%が絶滅したと考えられています。

更に比較的最近では1908年に発生し、広島型原爆の185倍ものエネルギーを放出するとともに、爆心地から半径50km程度の森林を炎上させた「ツングースカ大爆発」、そして2013年2月にロシアのチェリャビンスクを襲った大規模な空中爆発も、隕石衝突による実害です。

このように隕石による被害は決して私たちにとって他人事ではありません。

太陽を公転する小惑星のうち、地球に接近する軌道を描くものを「地球接近天体(NEO)」、その中でも特に大規模な衝突リスクが高いものを「潜在的に危険な小惑星(PHA)」と呼びますが、PHAはこれまでに2000個以上も見つかっています。

このように地球は常に隕石衝突のリスクに晒されているものの、観測技術の進歩により事前に衝突天体を追うことができ、衝突の前に対策を打つことができるのも事実です。

具体的な策としては、SF作品でも取り上げられることがありますが、迫ってくる衝突体に向けて意図的に人工物をぶつけ、天体の軌道をそらすなどが挙げられます。

天体の持つ運動エネルギーはとてつもなく高いので、その軌道をそらすのは生半可な難易度ではありません。

●NASAのミッション「DART」

ですがNASAは先日、未来の地球防衛に繋がるミッション「DART」を成功させました。

DARTとは、Double Asteroid Redirection Testの略で、日本語訳は「二重小惑星方向転換試験」となります。

その名の通りDARTでは、直径約780mの小惑星ディディモスと、それを公転する直径約160mの衛星ディモルフォスから成る二重小惑星系をターゲットにしています。

衛星のディモルフォスに探査機を正面衝突させ、その公転軌道が小さくなり、公転周期が短縮されれば成功となります。

●衝突時の実写映像集

DARTの探査機は日本時間9月27日に、衛星ディモルフォスに衝突しました。

上記ツイートの映像は探査機から送られた、ディモルフォスに衝突する最後の5分半の実写映像です。

10倍速で再生されています。

映像には主星のディディモスも映りこんでいます。

そして衝突時の探査機のディモルフォスに対する速度は秒速6.1kmだったそうです。

DART探査機がディモルフォスに衝突する歴史的な瞬間は、地球や宇宙の他の観測器からも撮影されています。

地上に設置された全天観測システム「ATLAS」は、地球から約1200万km離れた衝突現場を撮影しました。

衝突の瞬間にディモルフォスから舞い上がった大量の噴出物が鮮明に観測されていることから、衝突時のインパクトの大きさがよくわかります。

そしてこちらはジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡が撮影した衝突直前から衝突後5時間までの映像です。

●衝突の結果が判明

では探査機を衝突させた結果、衛星ディモルフォスの肝心の公転周期はどのように変化したのでしょうか?

ディディモス系を地球から見ると、衛星ディモルフォスは主星ディディモスの前を横切ったり、後ろに隠れたりします。

つまり地球から見るとディモルフォス系の見た目の総面積が変化し、その分反射してくる太陽光も周期的に変化します。

この周期的な明るさの変化を観測した結果、ディモルフォスの公転周期は元の11時間55分から、11時間23分に短縮されていたことが判明しました。

公転周期を最低でも73秒短縮できればこの計画の成功と定義されていたため、32分間の短縮というのは、最低条件の実に25倍以上に相当します。

この小惑星系が地球の脅威になることはありませんが、それでも人類は宇宙の自然環境を大幅に変化させることに成功したのです。

人類の科学技術で地球を守る未来が来るのもそう遠くないのかもしれません。

ということで今回は、地球に訪れる宇宙からの脅威とそれに対抗するための第一歩となるDARTミッション、そしてその結果について解説させていただきました。

https://www.esa.int/Science_Exploration/Space_Science/Webb/Webb_and_Hubble_capture_detailed_views_of_DART_impact
https://www.sciencealert.com/success-nasa-knocked-an-asteroid-off-course-and-now-it-has-a-tail
https://www.nasa.gov/press-release/nasa-s-dart-mission-hits-asteroid-in-first-ever-planetary-defense-test
https://www.nasa.gov/press-release/nasa-confirms-dart-mission-impact-changed-asteroid-s-motion-in-space

「宇宙ヤバイch」というYouTubeチャンネルで、宇宙分野の最新ニュースや雑学などを発信しているYouTuberです。好きな天体は海王星です。

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