15歳の8割近くは自分の預貯金口座を持っている(2024年公開版)
金融広報中央委員会「知るぽると」では毎年の「家計の金融行動に関する世論調査」以外に、5年おきに「子どものくらしとお金に関する調査」を実施し、子供の視線からのお金に関する意識の実態を調査・確認していた。その調査は新型コロナウイルスの流行による中断を経て事実上終了してしまったが、代わりに15歳(高校1年生)を対象にした「15歳のお金とくらしに関する知識・行動調査」(※)が実施されることとなった。それによると、15歳の8割近くが自分の預貯金口座を持っていることが明らかになった。
保護者からもらうおこづかいは普段必要な出費で使い果たすのがよくある話だが、お年玉などで多額の現金を手に入れた時、手元や財布、自分の貯金箱などに収めておくのが不安になり(紛失の危険性の他、つい浪費してしまうかもしれないリスク)、あるいは保護者から注意されて「貯金しておく」との言葉に従い、預かってもらう経験を持つ人は多いはず。「お金を貯める」「自分の預貯金口座で貯蓄を管理する」との経済上の概念を知り体験するには、子供の時から預貯金口座を持つことが好まれる。
次のグラフは「自分の預貯金口座があるか否か」について尋ねた結果。2023年では「あるようだが保護者がやっているので分からない」の選択肢がなくなっているので、「ある」は実質的に2015年までの「ある」と「あるようだが保護者がやっているので分からない」の合算と考えてよい。
同じ「知るぽると」の別調査の結果によると、高校生のアルバイト経験率は大体1/4とされている。自分自身のお金に対する関心も高まるせいか、15歳では8割近くが「ある」と答えている。2015年までには選択肢として存在した「あるようだが保護者がやっているので分からない」が、2023年以降の「ある」には内包されていることから、保護者が本当に自分名義の口座を作っているか否かの不安を持つ回答者がいることは容易に想像ができる。しかしそれでも8割近くとの値は、驚きを覚える人は少なくないだろう。
過去の調査結果から経年推移を確認すると、「ある」の回答値が減り、「無い」「分からない・無回答」が増えていたのが分かる。ところが直近年では大きく値を増やし、「ある」の値は2010年の水準にほぼ戻してしまった(2010年の「ある」「あるようだが保護者がやっているので分からない」の合算値との比較)。調査に連続性がないための誤差の可能性は否定できないが、金銭感覚を学ぶ、貯蓄の大切さを知るには、経験をさせるのが一番。わずかな額でも子供自らが口座に貯蓄をするのはよい話に違いなく、15歳の預貯金をしている人の割合の増加は、喜ばしい話なのだろう。
リスクが限りなくゼロに近いものではあるが、預貯金も立派な投資の一つ。微々たるものだがしっかりと利息もついてくる。保護者としては家計の事情もあるだろうが、できれば(家計に戻したり保護者のふところに収めたりせず、)子供専用の口座を作り、一緒に「貯金メモ帳」をつけさせてみてほしい。
具体的には預貯金口座の通帳と同じように、年月日と金額の出し入れ、そしてそのお金がどのような性質のものなのか(たとえばお年玉の残り、田舎に遊びにいった時にもらったおこづかいの残りなど)を書かせる。お金の出し入れそのものは保護者が管理し、分別のいく歳になるまで出金は許可しなくとも、自分のお金がたまっていき、利息がついて増えていく行程を子供自身が確認できる。
自分の「貯金メモ帳」を見ているだけでも楽しくなるだけでなく、お金の大切さを学び、もっと色々なことに興味を持つようになるに違いない。
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※15歳のお金とくらしに関する知識・行動調査
2023年6月15日~7月14日に日本全国の高校1年生に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は3000人。直近の国勢調査の結果を基に、15歳の地域比率にあう形で割り付けを行っている。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
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