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UFC最強対決が実現か?タイソンも認めるガヌーがライトヘビー級王者ジョーンズ戦に興味を示す

三尾圭スポーツフォトジャーナリスト
UFC世界ライトヘビー級王者のジョン・ジョーンズ(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 過去4戦連続で1ラウンドKO勝ちを続けているフランシス・ガヌー。その相手も元UFCヘビー級王者のケイン・ヴェラスケスとジュニオール・ドス・サントス、ヘビー級ランキング6位のジャルジーニョ・ホーゼンストライクと3位のカーティス・ブレイズと強豪ばかりで、UFCヘビー級のベルトを巻く準備はできている。

 問題はヘビー級王者のスティペ・ミオシッチと、前王者でランキング1位のダニエル・コーミエを取り巻く状況にある。

 ミオシッチがファブリシオ・ヴェウドゥムを破って、ヘビー級王者になったのが2016年5月。アリスター・オーフレイム、ドス・サントス、ガヌーを撃破して、2018年7月にはコーミエとの4度目の防衛戦に臨んだが、1ラウンド終盤にKO負けして王者の座を明け渡した。

 しかし、1年後の2019年8月の再戦で4ラウンドTKO勝ちでベルトを取り戻したが、そこから試合をしていない。

 ミオシッチとコーミエの再戦後に、UFCのデイナ・ホワイト代表は1勝1敗の2人に3度目の勝負を約束。ミオシッチの次の防衛戦の相手はコーミエに内定している。ミオシッチはコーミエのアイポークを受けて目を負傷。3度目の対決は昨年12月のUFC245に組まれる予定だったが、ミオシッチの目が回復しなかったために2人の決着戦は宙に浮いている。

 40歳までには現役を引退したいと言っていたコーミエは、ミオシッチにベルトを奪われたことで引退を少しだけ先延ばしにしているが、41歳のコーミエはミオシッチ以外の相手と戦うことには興味がないと語っている。

 「ミオシッチともう一度戦う。次の相手はスティペ以外にいない。他の奴らはどうでもいい」

 ホワイト代表は「コーミエには何人か他の対戦相手候補を提案したが、彼が戦いたいのはスティペで、他の誰でもない。私には彼を他の選手と戦わせることはできない」とミオシッチ戦にあくまでもこだわるコーミエの考えを尊重する姿勢をみせる。

 「ミオシッチはケガをしている。ケガしていなければ戦わせるんだけどね。そして、コーミエは『スティペが再戦を受けないのであれば引退する』と言っている」

 ホワイト代表が示したタイムリミットは前回の戦いから1年の今年8月まで。それまでにミオシッチ防衛戦をできないようであれば、暫定王者決定戦を組むだろう。

 話をガヌーに戻すと、ガヌーは「暫定王者には興味がない」と明言している。

 王者のミオシッチはケガで試合ができず、前王者でランキング1位のコーミエはミオシッチとの再戦以外は拒否。ランキング2位のガヌーは暫定王者戦を拒絶して、次の試合はタイトルマッチだとアピールしている。

 三者三様の言い分があり、それぞれの言い分は理不尽なものではない。

 そんな煮詰まった状態のヘビー級戦線をライトヘビー級王者のジョン・ジョーンズが挑発した。

 「俊敏でテクニカルなストライカーはチアゴ・サントス(ライトヘビー級ランキング2位)とフランシス(・ガヌー)のどちらだと思う?もし、俺が(ガヌーとの)試合を受けないと思うならば狂っている。俺がライトヘビー級で証明することはなにも残っていない。大金を稼げる試合は大好きなので、契約書を送ってこい」とジョーンズはガヌー戦をアピール。

 するとガヌーは「僕のテクニックに耐えられると思うならば、それはそれでいい。ライトヘビー級で証明することがないという主張には賛同するので、大金が入った袋をかけて戦おうではないか」とジョーンズの挑戦を承諾した。

 ガヌーは昨年10月にジョーンズ戦に関して聞かれたときにも「ジョン・ジョーンズはヘビー級の選手ではないし、僕はライトヘビー級の選手でもない。もしもジョン・ジョーンズがヘビー級に上がってくるのであれば、もちろん戦うよ。この戦いは避けては通れないものだ」とジョーンズ戦に関心を示している。

 2011年3月にUFCのライトヘビー級王者になってから9年間負け知らずで、防衛戦では13勝1無効試合のジョーンズは、マウリシオ・ショーグン、クイントン・ランペイジ・ジャクソン、リョート・マチダ、ラシャード・エバンス、ビクトー・ベウフォート、チェール・ソネン、コーミエ、サントスと言った強敵を次々に倒し、この階級では相手がいなくて、最近は戦うモチベーションも落ちている。

 今年2月にジョーンズがライトヘビー級のタイトルを防衛する直前に会見に応じたホワイト代表は「ジョーンズがヘビー級で戦う姿をみてみたい。スティペとかヘビー級トップ5の選手とジョーンズが戦う姿をみてみたいが、それを判断するのはジョーンズ次第だ。ライトヘビー級に残って相手をKOし続けて伝説を築き上げ、UFC版のトム・ブレイディになってもいいし、ヘビー級に挑戦してもいい」とジョーンズのヘビー級転向案にも興味を示した。

 UFCのライトヘビー級は205パウンド(約93.0キロ)以下だが、ジョーンズはいつかはヘビー級に階級を上げると言い続けてきた。

 ジョーンズとライトヘビー級で2度戦ったコーミエはヘビー級でもチャンピオンになったが、ジョーンズもライトヘビー級とヘビー級の二冠を取れるのか?

 最近のUFCはコナー・マクレガーを中心とした軽量級が爆発的な人気で、ペイ・パー・ビュー(PPV)の売り上げトップ3独占を含む、上位6位中5位までがマクレガー絡みがメインイベントを飾った大会ばかり。ブロック・レスナーが去ってからはヘビー級でPPVを100万件以上売れる選手が誕生していない。

 ジョーンズとガヌーが戦えば、久しぶりにヘビー級で大盛り上がりする大会になるだろう。

スポーツフォトジャーナリスト

東京都港区六本木出身。写真家と記者の二刀流として、オリンピック、NFLスーパーボウル、NFLプロボウル、NBAファイナル、NBAオールスター、MLBワールドシリーズ、MLBオールスター、NHLスタンリーカップ・ファイナル、NHLオールスター、WBC決勝戦、UFC、ストライクフォース、WWEレッスルマニア、全米オープンゴルフ、全米競泳などを取材。全米中を飛び回り、MLBは全30球団本拠地制覇、NBAは29球団、NFLも24球団の本拠地を訪れた。Sportsshooter、全米野球写真家協会、全米バスケットボール記者協会、全米スポーツメディア協会会員、米国大手写真通信社契約フォトグラファー。

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