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いつも野良猫に逃げられるのは訳があった!? 獣医師が仲良くなる方法を解説

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
(写真:アフロ)

冬本番になってきましたね。

寒いので、外の野良猫は大丈夫かしらと気になって仕方がない人が多いはずです。

野良猫を気楽に、なでなでしたり、モフモフしたいですね。でも、外の子は、飼うときに、いろいろと問題があって大変だと思って二の足を踏んでいませんか。そんなあなたに、野良猫をなでなでしたり、モフモフする方法をお伝えします。

どんな野良猫が、モフモフしやすいか?

写真:アフロ

外の子は、警戒心が強く、モフモフしにくい子が多いです。手を伸ばすと、サッと逃げることもあります。それを防ぐために、猫は動くものを獲物に見る習性があります。狩猟本能が目覚めるので、ゆっくり近づきましょう。だんだんと触る時間が増えると猫の方も気を許してくれます。

それに加えて、猫は外にいていつもお腹をすかしているので、猫が好みそうなカツオのオヤツ値段が高めの缶詰チュールをあげて、ご機嫌を取ることもいいですね。やはり猫も胃袋が満足すると、気を許してくれる子も多いです。

例外として、病気になって弱っているところを保護したら、それからモフモフできる子もいます。

モフモフしやすい子を見分ける方法

写真:PantherMedia/イメージマート

・近寄ってくる

・人にスリスリしてくる

・ゆっくり近づいても逃げない

・食事中に、皿を動かしても気にしない

・上記のような子の首元を掴んでゆっくり抱きあげてみる

母猫は、子猫の首元を噛んで移動させます。一般的に猫は首元を持つと力が抜けておとなしくなる子が多いです。

それは、子猫の時期に母猫から、人に近寄るとよくないと教えられているからです。診察をしていて、「なぜ、この子を飼っているのですか?」と尋ねると「付いてきて離れなかった」ということを聞くことがあります。

一般的に、成猫より子猫の方が、なでなでしやすいですね。

成猫でも、幼い頃、人に大切にされていて、何かの事情で、飼育放棄された子は、モフモフしやすいです。

筆者は、保護猫を多く診察しています。外の猫を地域猫として、理解のある地域の猫は、扱いやすいです。そのような場合は、人が危険だという考えがないからでしょう。

いくら外見がかわいくても、逃げる、怒る、フーフーいう子は、モフモフするのが難しいことが多いです。

モフモフしにくい子

写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート

・逃げる

・ゆっくり近づいても怒る

・人前では、食事をしない

・フーフーと鳴いて威嚇する

このような子は、すぐにモフモフするのは、難しいです。それでも、時間をかけて接していると猫の方もこちらの気持ちを理解してくれることがあります。

猫は人を手なづけられる

初めに、猫を手なづけようという考えはやめた方がいいです。猫は人を手なづけられると思うとスムーズに生活はできます。

犬は、群れで狩りをして獲物を獲得する動物なので、コミュニケーションと協力をしてくれる動物なのです。一方、猫は、単独で暮らし、単独で狩りをし、自分の縄張りを行き来する動物です。同じ仲間とも滅多に会わないのです。そんな動物なので、猫を手なづけようとするのは、難しいことを理解してくださいね。

まずは、野良猫を家に入れるときにするべきこと

元野良猫でもいつも飼い主の視線の先を見ていて、隙さえあれば膝の上に乗ろうとしている子もいます。そういう猫をまるで「犬みたい」と言いますね。そうなってもらうためには、準備が必要です。

野良猫を家に入れる場合は、捕獲したら、動物病院に連れていくことをおすすめします。その方法を詳しくみていきましょう。

(この動画は投稿者の許可を得ています)

・動物病院に連れていく方法

野良猫は、初めは懐かないことが多いので、暴れたりします。普段おとなしい子でも、動物病院では、いろいろと察して凶暴になる子もいます。そのため、洗濯ネットに入れて連れていくといいです。猫の方も隠れている気分になりおとなしくしていることが多いです。

・ノミやダニの駆除

寒い時期ですが、外の子は、ノミやダニを持っていることもあります。初めに駆除しないと、家に持って帰ることになります。家でノミやダニが繁殖しないように注意が必要です。ノミは、飼い主も噛まれます。

・消化器系の寄生虫の駆除

野良猫は、猫回虫や条虫などの消化器系の寄生虫を持っていることがよくあります。いまは、動物病院に行けば、ノミ、ダニ、内部寄生虫を一緒に駆除できるものがあるので、簡単です。

・FIVやFeLVの検査

いわゆるFIV・猫エイズ(人には、感染しません)やFeLV・猫白血病ウイルスは、猫同士では感染するので、事前に調べておくといいですね。どちらも免疫不全になる病気なので、病気になったときに、対処の仕方がわかります。

年齢を推測してもらう

猫の歯をみれば、年齢を推測できます。生後6カ月で全部の歯は永久歯になります。

・雌雄を見てもらう

子猫の場合は雌雄がわかりにくいので、獣医師に見てもらいましょう。野良猫でも不妊去勢手術をしている子はわかりにくいです。

以上のことは、動物病院でしてもらいましょう。

・シャンプーする

汚れていることが多いので、シャンプーしたいですね。動物病院に行ったときに、シャンプーしてもいいか、尋ねてくださいね。いいと言われたら、猫の調子がよく温かい日にしましょう。

・不妊去勢手術をする

猫は、以前は家と外で生きる2重生活の動物でした。時代が流れて、完全室内飼いされるようになってそんなに時間が経っていません。それができるのは、不妊去勢手術をすることによって可能になりました。野良猫を部屋に入れるとき、不妊去勢手術をすることは、基本ですね。

野良猫をモフモフする方法

野良猫でも、もちろんいろいろな性格の子がいます。比較的人に懐いている子は、そう問題なく家に懐いてくれます。

子猫の場合は、割合に早くモフモフできます。一方、成猫は、根気が必要です。それでは具体的にみていきましょう。

子猫の場合

写真:CavanImages/イメージマート

生後6カ月までぐらいまでの子猫は、一般的には、人に懐くのにあまり時間はかかりません。

・初め

あまり視線を合わせない、そして触れないことです。野良猫の場合は、母猫に人は怖いもので近寄ってはいけないと教えられています。そのため、近づくとワァと吹いて怒るわけです。温かい寝床と食事の用意だけして、見守りましょう。

・触ってみる

少し慣れてきたら、触ってみましょう。獲物に見られないように、ゆっくり近づきましょう。だんだんと触る時間が増えると子猫の方も気を許してくれます。

・おもちゃで遊ぶ

猫は、動くものが目に入りやすいので、ねこじゃらしなどのおもちゃで遊んであげるといいですね。子猫は、遊ぶことが大好きですから。

・慣れたらスキンシップを大切に

抱っこしても嫌がることがなくなったら、スキンシップの時間を多く持ちましょう。猫は、幼いときに、スキンシップが少ないとウールサッキングという問題行動を起こしがちです。ひもなどを噛んで飲み込んでしまうことです。のちのち、トラブルになるので注意しましょうね。「子猫に毛布をかけてあげたら命の危険に 知られざる「ウールサッキング」の恐怖とは?」という記事に書いていますので、参考にしてみてください。

成猫の場合

成猫の場合は、いままでひとりで生きてきているので、触られるのを嫌がる子が多いですね。

(この動画は投稿者の許可を得ています)

動画を見ていただければわかりますが、じっくりと時間をかけることが大切です。

この家だと僕を大切にしてくれそうだと、猫が理解してくれたことで、だんだんと接近してくれています。猫も自分の人生(猫生)がかかっているので、考えているのです。

早くモフモフしたいから、といって焦ることのないようにしたいですね。猫とは言葉ではコミュニケーションを取ることはできませんが、猫は人の様子をよく見ています。

成猫を室内に入れてしまった場合は、寝床、トイレ、食事、水などを置いておき触らないようにしましょう。初めは、トレイの始末や食事や水の世話だけにしておきましょう。だんだん慣れてきたら、名前をつけて呼んであげましょう。後は、子猫のところで書いているように、じっくりと時間をかけてしてあげてくださいね。

年単位かかることもありますが、それでも焦らずゆっくりしましょう。

なかなか懐かない場合は、かかりつけの動物病院と相談してください。抗不安剤のサプリメントや薬がありますので。

まとめ

写真:アフロ

猫は、いまや犬より多く日本で飼われています。

野良猫を飼う人が、増えると、殺処分される猫が減って喜ばしいことですね。猫は、忙しい現代人にとっては、ふさわしい動物です。それは、犬と比べると手間がかからないし、訓練の必要もないからです。散歩に行かなくてもいいし、留守番もできます。それでも、帰宅すると愛情たっぷり出迎えてくれる子も多いです。

ただ、猫は野生のハンターの血が流れています。それで、野良猫にはモフモフがなかなかできない子もいますが、そんなことを理解していただくと、距離が近くなります。ゆっくり接してあげてくださいね。

【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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