シャビがD・アウベスを求めた理由。「希望」と「郷愁」の先に見えるもの。
驚きのニュースだった。
バルセロナは現地時間12日にダニ・アウベスの獲得を発表している。2008年から2016年までバルセロナでプレーしたD・アウベスとしては、「復帰」が決まった格好だ。
D・アウベスはこの夏にサンパウロとの契約を解除してフリーになっていた。バルセロナとの契約は今季終了時まで。ただ、2023年夏までの契約延長というオプションが付けられている。
■大きかったシャビの存在
「僕はカンプ・ノウでコンフォート・ゾーンにいたのだと思う。それは自分にとって良くない。僕には挑戦が必要で、歴史を築くために他の場所で戦わなければいけない」とは2016年の退団の際のD・アウベスの言葉だ。
だが、D・アウベスはバルセロナに戻ってきた。
D・アウベスの獲得を要望したのは、シャビ・エルナンデス監督である。
数奇な運命というのはあるものだ。シャビ監督にとって、D・アウベスは「補強第一号」となった。奇しくも、2008年夏にバルセロナのトップチームの指揮官に就任したペップ・グアルディオラ監督の補強第一号もD・アウベスだった。バルセロナは当時、D・アウベス獲得のためにセビージャに移籍金3500万ユーロを支払っている。
シャビとペップの類似性――。ペップとの比較に関しては、他ならぬシャビが強く否定している。だがサイドバックを重視するという概念は間違いなくバルセロナ出身の両指揮官に共通する点だ。
2022年のカタール・ワールドカップまでバルセロナでプレーする希望を持っていたD・アウベスだが、バルセロナの財政を顧みて半年契約を受け入れている。無論、それを承諾したのはシャビの存在が大きい。D・アウベスはカフー(ミラン/38歳)、ハビエル・サネッティ(インテル/40歳)、パオロ・マルディーニ(ミラン/38歳)のようにビッグクラブで引退する方向に進んでいる。
■右サイドバックのキャスティング
思えば、バルセロナはD・アウベスが去った後の右サイドバックの「キャスティング」に苦労してきた。
アレイシス・ビダル(移籍金1700万ユーロ)、ネルソン・セメド(3570万ユーロ)、ムサ・ワゲ(500万ユーロ)、セルジーニョ・デスト(2100万ユーロ)、エメルソン・ロヤル(1500万ユーロ)…。D・アウベス代役を確保するためにバルセロナは9370万ユーロ(約121億円)の補強資金を投じている。
だが差は明らかだった。この5選手が238試合出場で9得点26アシストだったのに対して、D・アウベスは391試合出場21得点101アシストを記録している。
D・アウベスは攻撃的なサイドバックだ。
この記事は有料です。
誰かに話したくなるサッカー戦術分析のバックナンバーをお申し込みください。
誰かに話したくなるサッカー戦術分析のバックナンバー 2021年11月
税込550円(記事9本)
2021年11月号の有料記事一覧
※すでに購入済みの方はログインしてください。