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ウクライナ軍、ロシア軍が敷設した対戦車地雷の列に小型民生品ドローンから爆弾投下して大破

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

2023年7月にウクライナ軍が中国メーカーDJI製の小型民生品ドローンMavic3から爆弾を投下して、ロシア軍が道路に敷設した対戦車地雷TM-62を爆破した動画を公開していた。

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻してから、ロシア軍は大量の対人地雷、戦車用の地雷をウクライナの最前線に設置している。ロシアは対人地雷の使用、生産、移譲などを禁止しているオタワ条約(対人地雷全面禁止条約)に加盟していない。

多くのウクライナ兵や一般市民が対人地雷や対戦車地雷の犠牲になっている。対人地雷では殺害されることはほとんどないが、手足が吹っ飛んでしまう。また小型のおもちゃのようにも見える対人地雷は子供や一般市民が拾ってしまい、爆発したら手足が吹っ飛んでしまう大けがをすることになる。地雷の他にも不発弾や、迎撃されたが上空で爆発しないで墜落した「爆弾を搭載した神風ドローン」なども地上に散乱しており、それらも何も知らずに踏んだり触ったりしてしまうと爆発する危険性がある。

対戦車地雷は戦車を撃破することを目的にしているので破壊力も強い。ドローンから爆弾を投下して対戦車地雷を破壊している動画は珍しい。今回の動画でも多くの対戦車地雷が設置されていたので、爆弾を1つ投下しただけで大爆発している。

今回のように道路に列で並んでいる対戦車地雷は上空からもすぐに見つけられるが、地雷の多くは茂みの中や草などに隠して設置されている。茂みなどに隠れた地雷に気が付かないで触れてしまい爆発する。ウクライナ政府では人間の兵士が探知した地雷を丁寧に爆破して除去している。人間の兵士が地雷を探知して除去するのは大変な作業で危険を伴っている。

リモートでの地雷除去車もあるが、ほとんどの地雷は人間の兵士が破壊している。今回の動画のように、道路に並んでいる地雷であれば、すぐに発見できるのでドローンから爆弾を投下して破壊することができる。ウクライナ軍では小型民生品ドローンから爆弾を搭載して、地雷の除去だけでなくロシア軍の塹壕や軍事施設の攻撃も行っている。

▼小型民生品ドローンから爆弾を投下してロシア軍の対戦車地雷を破壊

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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