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「東京五輪で侍ジャパンにリベンジを」名古屋生まれの野球韓国代表イ・ジョンフとは

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
イ・ジョンフ(写真=スポーツソウル)

東京五輪で金メダルが期待される野球日本代表の“侍ジャパン”との対戦を熱望している韓国人選手がいる。

韓国プロ野球KBOリーグのキウム・ヒーローズに属するイ・ジョンフがそのひとだ。韓国球界を代表するバッターに成長した23歳の外野手は『スポーツソウル』とのインタビューで強い口調で言った。

父は元中日イ・ジョンボム

「“韓日戦”ではいつも悔しさばかりを味わってきた。でも、短期決戦はどうなるかわからない。東京五輪は日本のホームで行われるが、それだけにむしろ日本のほうがプレッシャーを感じているのかもしれない。客観的な戦力では僕たちのほうが劣るかもしれないが、今回こそは日本に勝ちたい」

イ・ジョンフはかつて中日ドラゴンズに所属し“風の息子”と呼ばれたイ・ジョンボムを父に持つ。父が中日で選手生活を送っていた頃に名古屋で生まれ、韓国に戻った小学生時代から野球を始めると、2017年には高卒ルーキーながらKBOリーグ新人王に輝き、その年には韓国代表にも選ばれた。

(参考記事:“名古屋生まれ”の韓国プロ野球選手が元中日の父親とグラウンドで激突、「気を使う暇はなかったよ」)

以来、2017年アジアプロ野球チャンピオンシップ、2018年ジャカルタ・アジア大会、2019年プレミア12と、3度の国際舞台を経験しているイ・ジョンフだが、日本に勝ったのは2018年アジア大会でのみ。そのアジア大会も日本が社会人選手で構成されていたことを踏まえると、イ・ジョンフは同じプロ同士の対決では一度も日本に勝ったことがない。

「相手も球種も覚えている。今回こそ日本に勝ちたい」

特に直近の対決となった2019年プレミア12での敗北は苦かった。イ・ジョンフは大会を通じて打率0.385の活躍を見せていたが、日本の投手陣はまったく攻略できず、チームも3-5で敗れた。

「決勝戦最後の打席は今も鮮明に記憶している。あの勝負は忘れられない。球種もはっきりと覚えている。相手は僕と同い年の山本由伸投手(オリックス・バファローズ)でした。それまでは一度も三振を食らわなかったのに、山本投手から三球三振を食らった。フォーク、カーブ、フォークと投げてきて、フォークは140キロ以上も出ていた。今回のオリンピックではかならず対決して、あのときの借りを返したい」

そして、田中将大(東北楽天ゴールデンイーグルス)。昨年までメジャーリーグで活躍していた日本の大エースも東京五輪に出場するというニュースに、イ・ジョンフは目を輝かせていたという。

「本当に田中投手も出場するんですか。田中投手は以前から対戦してみたかった投手。僕はまだ若い選手ですが、国際大会は経験を積む場ではなく結果を証明する場所。良い結果を出したい」

オリンピックと聞いて真っ先に連想するのは、13年前の2008年北京五輪。韓国が日本とキューバを破って金メダルを獲得した瞬間は今も鮮明に覚えているという。

「当時は小学校4年生でした。野球部のコーチから“試合を見て学ぶように”と言われ、オリンピックの全9試合を見ましたよ。国を背負って戦う選手たちが本当にカッコよかったし、自分もいつか代表選手になりたいと思った。(当時の韓国代表が)金メダルを獲ってからはまるで自分が成し遂げたかのように韓国野球の快挙を友人たちに自慢していましたね。不思議なやる気が湧いてきて野球が大好きになったことを覚えています」

だから今度は自分が子供たちに野球の凄さを伝えたいという。

「野球をしている後輩や子供たちに、僕が経験したようなプレゼントを贈りたい。今回のオリンピックで僕たちが頑張れば、韓国の野球人気も盛り上がる。オリンピックが野球人気を盛り上げるきっかけになれるよう頑張りたい」

●取材協力=『スポーツソウル』

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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