「たまねぎ男」を法相に任命?それとも撤回? 悩む文在寅大統領!
次期法務部長官(法相)に内定している「たまねぎ男」と称されるチョ・グック前青瓦台民情首席秘書官の夫人(チョン・ギョンシム韓国東洋大教授)が6日午後10時50分、私文書偽造の罪で電撃的に起訴された。検察が次期法相となるチョ氏の適性をめぐる国会聴聞会の終了を待たずに起訴に踏み切ったのは何よりも時効が迫っていたことによる。
起訴された夫人は東洋大学教授に就任した翌年の2012年9月7日に娘の大学院進学のための履歴書に載せる目的で東洋大学総長の表彰状を勝手に偽造したとの容疑を掛けられているが、この時効がまさに聴聞会が終了するのとほぼ同じ7日午前零時だった。従って、時効成立の約1時間前に踏み切らざるを得なかったと言える。
チョ氏は聴聞会で夫人が起訴された場合の対応について求められた際、「偽造事実が明らかになれば、法的責任を取らなければならない」と返答していたが、「法的責任を取るのは妻であって、自分ではない」と聞こえなくもない。また、「夫人が起訴されたら法相を辞退する考えはないか」と聞かれた際も「悩むが、最終的に決めるのは任命責任者(大統領)である」と、今のところ自ら進んで辞退する考えはないようだ。
表彰状は偽造でないから裁判で争っても勝てると思ってのことかもしれないが、夫人の起訴が検察によるチョファミリーの一連の疑惑追及の入り口に過ぎないならば、また、巷間噂されているように検察がチョ氏の法相就任に反対し、追い落としを計っているならば、司直の手は夫人からさらにチョ氏本人にまで及ぶかもしれない。
検察は、起訴の正統性を立証するうえでも今後、本丸の投資疑惑などで夫人をはじめとするチョファミリーの疑惑を次々と暴くことに全力を挙げるだろう。この「チョ疑獄」に朴槿恵前政権の崩壊につながった崔順実スキャンダルの捜査に投じた人数よりも多い23人もの検察官を投入していることからも検察の意気込みが感じられてならない。
国会聴聞会では申請した証人11人のうちたった1人しか出席せず、野党の追及は不完全燃焼に終わったが、検察はすでに投資会社の証人らこれら11人を参考人として召喚し、長時間にわたって事情聴取し、供述を取っているので、青瓦台や政府与党から「度が過ぎる」とか「政治への介入」との批判を受けても「チョ法相反対」の世論を追い風に徹底的に追及する構えのようだ。
となると、今後の焦点は、文在寅大統領がそれでも既定方針とおり、チョ氏を法相に任命するのか、それとも一転、撤回するのかの一点にある。
文大統領は国会による身体検察が終わったことで法的には今日(7日)からいつでも任命は可能である。しかし、事はそう単純ではない。熟考せざるを得ないだろう。
東南アジア3カ国を訪問し、昨日(6日)午後に帰国した文大統領も夜中まで行われていた聴聞会をテレビで見ていたはずだ。また、大統領秘書官や政府・与党関係者から世論の動向や検察の動きなどについて報告を受けているはずだ。
チョ氏本人への直接的な容疑はなくても、夫人が起訴されたとなれば話は別だ。犯罪人の夫を法の番人のトップに据えることは国民感情が許さない。また任命を強行すれば、野党がさらに態度を硬化させ、国会だけでなく院外で抗議行動に打って出ることになる。そうなれば、国内は騒乱状態に陥る。
それでも、チョ氏に絶大な信頼を置いているならば、悲願の司法改革を実現するにはチョ氏以外に適任者はいないと思っているならば、また、指名撤回は野党をはじめとする「反文」勢力を威勢づかせ、その結果、レイムダックの引き金になりかねないと危惧しているならば、抱き合い心中を覚悟で法相に据えるだろう。となれば、9日に正式に任命し、10日の国務会議(閣僚会議)でのお披露目となりそうだ。
文大統領は一両日中に発表される公聴会関連の世論調査結果と世論の動向、それに検察の動きをみて最終決断することになるが、最後の最後まで「任命すべきか、すべきではないか」と悩み続けるのではないだろうか。