ファミマとユニーの経営統合。新しさや利便性でセブンと勝負しないコンビニを目指すべし
コンビニ各店舗が至近距離で林立している光景は都心でなくても見かける。コンビニという業態は国内では飽和状態なのか、もしくはライバル企業の店舗を潰す意図なのか。おそらく両方なのだろう。
セブン、ローソン、ファミマ、サークルKサンクスの4店舗が並んでいたとする。愛知県民の僕としてはユニーグループ(愛知県稲沢市が本拠地)のサークルKサンクスを利用してあげたい気もする。しかし、結局はセブンに足が向いてしまう。欲しい商品(例えばコピー用紙)が欠品している確率が低く、食べ物(たとえばサラダ)の鮮度や味が他のコンビニに比べると良い、ということを頭ではなく体が覚えているからだ。セブンイレブンが好きだから、では全くない。
買い物に「人とのつながり」を求めなくなったのは、おそらくセルフ方式のスーパーマーケットが台頭してからだろう。最近は、レジ係のいない「セルフレジ」まで見かけるようになった。KIOSKがあったところが菓子パンやスナック、新聞の自動販売機になっていたりする。コンビニの店員がロボットに置き換わる日が来るかもしれない。
無人化の究極がネット通販だと思っていたが、そうでもなさそうだ。中小の食品会社や飲食店のネット通販事業の担当者(たいていの場合は社長かその子息)を取材していると、「お客様と顔を合わせられないので、発送する商品に手書きの礼状を添えたりしています。お客様からお手紙をもらうこともありますよ」といった楽しげな声を聞く。商品を介して文通をしているようなものだ。
仕事で話を聞いていても、担当者が不器用で誠実すぎたりすると個人的にファンになってしまうこともある。昨年は、北海道・宗谷岬で海産物を販売しているという会社のホタテに衝撃を受けた。ちゃんとした寿司屋が出してくるレベルの鮮度と甘み、厚みなのに800g(約30玉)で4000円弱。安すぎますよ、と取材であることを忘れて社長に諫言したら、のどかな声が返ってきた。
「私一人でやっている会社なのでギリギリでやっていければいいんですよ。地元のおいしいものを全国の人に食べてもらいたいです」
他の店をネットで検索すれば、もっと安くて旨いホタテが見つかるかもしれない。しかし、僕はこの社長の人柄に惹かれるし、贈り物に使うならば払えない金額ではない。毎年のお歳暮はこれでいこうかな、と思っている。
今朝の朝刊に、ファミリーマートとサークルKサンクスが伊藤忠の主導で経営統合される見通しだという記事が出ていた。しかし、規模を大きくしたところで利便性や商品開発力でセブンに勝つのは難しい。実際、セブンは1日1店あたりの売上高でもローソンとファミマに10万円以上の差をつけている(日経新聞)。
どうすればいいのだろうか。セブンと同じ土俵に立つことをやめればいいだけだと客の立場で感じる。便利さと新しさを追求することをやめ、「いつも同じ商品とサービスだけどこのオジサンが真面目にやっているから挨拶代わりに通っちゃう」という店を目指せばいい。
新しい商品やサービスには関心が薄く、自分の顔を覚えてくれた清潔なお店につい足を運んでしまうという客は僕だけではないと思う。定番商品さえ安定的に揃えておいてくれれば、あとは「応援したい近所の店」に行くだけだ。ファミマ+ユニーには「コンビニらしくないコンビニ」になってほしい。