セナは日本人F1ドライバーの筆頭候補だ!16歳の阪口晴南が史上最年少でホンダのスカラシップ獲得。
11月19日(木)、鈴鹿サーキット(三重県)では、同サーキットが世界に通用するレーシングドライバーを育成するスクールとして主宰する「鈴鹿サーキット・レーシングスクール・フォーミュラ(通称SRS-F)」のスカラシップ選考会が開催され、阪口晴南(さかぐち・せな)が卒業レースを2レースとも制し、文句無しの首席卒業を勝ち取った。なお、次席卒業は牧野任佑(まきの・ただすけ)が選ばれた。
同スクールでスカラシップを獲得すると、ホンダの育成ドライバーとしてフォーミュラカーレース(FIA-F4選手権)参戦のチャンスを与えられる。元F1ドライバーで現在はインディカーで戦う佐藤琢磨や、スーパーフォーミュラでチャンピオンに輝いた山本尚貴をはじめ、数多くの逸材がこのスカラシップを獲得し、プロドライバーへと登りつめた。つまりはトップドライバーへの登竜門である。
史上最年少でスカラシップ獲得の阪口
恐るべき若手ドライバーが現れた。1999年7月9日生まれの阪口晴南はこの夏に16歳になったばかり。SRS-F(鈴鹿サーキット・レーシングスクールフォーミュラ)でスカラシップを得たドライバーの中では史上最年少記録となる。
阪口晴南のセナという名前には「アイルトン・セナのように誰からも愛されるドライバーになって欲しい」という家族の想いが込められている。アイルトン・セナは「音速の貴公子」のニックネームで国内でも愛された80年代から90年代を代表するF1ドライバーだ。そんなセナにちなんだ名前をもらった日本のセナは、幼稚園の時からレーシングカートでレースに参戦。その名前の響き、大きさに負けない活躍を見せ、今やレーシングカート界ではその名を知らぬものは居ないほどの有名人。出場したほとんどのシリーズでチャンピオンを獲得してきた実力の持ち主だ。
今年のSRS-F入校時はまだ15歳。しかしながら、多くのモータースポーツメディアが晴南に関心を示していた。まだ車の免許を持てない年齢のため、フォーミュラカーのドライブには苦労したという晴南だが、SRS-F入校からメキメキと成長。さらに満16歳になると、普通自動車免許取得前でも4輪レースに出場できる「限定Aライセンス」を取得し、FIA-F4選手権に出場をはじめた。
そして、今年9月に鈴鹿サーキットでF1日本グランプリの前座レース「スーパーFJドリームカップ」に参戦して優勝を飾ると、その勢いは加速。FIA-F4では、シーズン途中からの参戦ながら、ツインリンクもてぎで初の表彰台も獲得した。そして、今回のSRS-Fスカラシップ獲得、首席卒業というから注目しないわけにはいかない。
卒業レースで見えた阪口晴南の圧倒的な速さ
SRS-Fスカラシップ選考会の卒業レースは11月18日(水)、19日(木)の2日間に渡って行われた。初日の18日(水)はあいにくの雨に見舞われ、レース中にクラッシュも発生するなどして選考会としては評価が難しいコンディションだったが、19日(木)は雨もあがり、路面はドライコンディションへと変化。
この日、ポールポジションを獲得した阪口晴南は第1レースでスタートに成功すると、2番手以降をどんどん引き離していった。特に2周目にはファステストラップを叩き出し、その後もハイペースの好タイムを連発し、2番手以降を2秒以上引き離す速さで優勝。
そして、第2レースもポールポジションからスタートすることになるが、阪口晴南はスタートで出遅れてしまう。「まだ16歳で、普通の車に乗っていないのでクラッチミートが課題です」と語った阪口は、2番手スタートの牧野任佑(まきの・ただすけ)の先行を許す。しかし、3周目には早くもテールトゥノーズの距離までに追いつき、ラインを変える牧野に合わせるように阪口もラインを変え、猛烈なプレッシャーを与えていく。そして、7周目のシケインからの立ち上がりで牧野がやや失速し、阪口がトップ浮上。その後は2分7秒台のハイペースを刻んで、卒業レースを2レースとも優勝で締めくくった。
もはや文句の付けようのない素晴らしい走りだった。阪口と共に最終選考会に進んだライバルは全員が年上。フォーミュラカーレースに出場できるようになったばかりの16歳と4ヶ月という若さながら、鈴鹿サーキットを誰よりも速く走り切ったのだ。
「3月から入校させてもらって、最初は3番手4番手で、なかなか前でゴールできなかったんですけど、講師陣にたくさん指導していただいたおかげで、ここまで成長できたと思うと率直に嬉しいです」と笑顔をのぞかせた阪口晴南。ホンダのスカラシップというエリートコースの選考がかかった卒業レースであっても、固くなることはなく、むしろリラックスしているくらいの立ち振る舞いに驚かされる。阪口は「今回、緊張していなかったってことは決してないですが、どのレースでも良い緊張感を持って、同じ気持ちで臨んでいました」とキッパリ。まだ16歳ながら、レーサーとしてメンタル面でも頭一つ抜け出していた印象だ。
阪口は首席卒業で、来季のFIA-F4への参戦を獲得。今季もシーズン途中からFIA-F4に参戦しているが、「来年はチャンピオンを狙っていきます」と宣言。ぜひ日本のレースだけに止まらず、さらなる上位カテゴリー参戦や早い段階での海外レース参戦にもチャレンジして欲しい。
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