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ハリケーン・ドリアン、カテゴリー5の観測史上最も強い勢力でバハマに上陸

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
RAMMB/CIRA出典のドリアンの衛星画像 (1日)

現地時間1日(日)昼頃、ハリケーン「ドリアン」がバハマ北西部のアバコ諸島に上陸しました。上陸時の中心気圧は910hPa、最大風速は82m/sで、カテゴリー5の勢力でした。これはバハマの観測史上最も強い勢力での上陸です。

※カテゴリー5とは、ハリケーンの指標で最大級の大きさ。想定される被害は下記の通り。

壊滅的被害: ほとんどの木造建築の屋根や壁が飛ばされ倒壊する。倒れた木々や電柱により、住宅地が孤立する。停電は長期間続き、数週間から数ヶ月にわたって居住不能となる。

バハマの被害

バハマでは壊滅的な被害が起きていると伝えられています。首相も「おそらく私の人生の中で最も悲しく最悪の一日だろう」と発言しました。

外電によると、多くの屋根や車が吹き飛び、電柱が倒れ、車のボンネットまで水が浸かるような洪水が発生しているようです。

これまでのところ死者は伝えられていませんが、今後もハリケーンの影響が続くことから、さらに被害が拡大することが予想されます。

ドリアンの現況

現地時間1日(日)23時時点のドリアンの中心気圧は914hPa、最大風速は79m/sで、依然としてカテゴリー5の勢力を維持しています。ドリアンは時速9キロと動きが遅いため、2日(月)にかけてもバハマに影響をもたらす見込みです。

予想される総降水量は750ミリを超えるほか、最大瞬間風速は98m/sにも達するおそれがあります。まるで猛烈な竜巻が何時間にもわたって居座っているような状況で、極めて甚大な大災害となる可能性が否定できません。

ドリアンの記録

前述の通り、ドリアンはバハマの観測史上最強の勢力で上陸をしましたが、その他にも歓迎されない様々な記録を作っています。

まず1980年のハリケーン「アレン」に続き、大西洋における観測史上2番目に強いハリケーンであること、そして1935年の「レイバーデイハリケーン」と並び、大西洋海域に上陸した史上最強の嵐であることです。(風速で比較)

さらにドリアンをもって、観測史上初めてカテゴリー5のハリケーンが大西洋に4年連続で発生することとなりました。(2016年「マシュー」、2017年「マリア」と「イルマ」、2018年「マイケル」)

ドリアンの今後

ドリアンは3日(火)から5日(木)にかけてアメリカ南東部に再接近、または上陸する見込みです。

予想される進路は先週よりも北寄りの傾向となっており、フロリダ直撃の確率はやや低くなったものの、依然として上陸する可能性があります。

アメリカ国立ハリケーンセンターの予想では、3日(火)にはカテゴリー4にやや勢力を落とす可能性がありますが、もし上陸すればフロリダ東部にとっては1992年のハリケーン「アンドリュー」以来最強のハリケーンとなります。

ドリアンの接近が予想されるフロリダ州、ジョージア州、サウスカロライナ州などでは非常事態宣言が出され、広域で警戒態勢が敷かれています。

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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