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沖縄の梅雨入りとフィリピンの雲

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
雨の季節が近づく沖縄。梅雨入りの平年日は5月9日。(ペイレスイメージズ/アフロ)

 今年の沖縄は空梅雨予想。日本の南で高気圧が例年以上に強く、晴れやすいとみられるからだ。一方で、西・東日本は雨が多いという。これにはフィリピン付近の雲が関係している。

来週はぐずついた空模様

 こちらは6日(日)からの東京と那覇の週間予報です。

4日午前発表の6日から14日までの天気予報(ウェザーマップ)
4日午前発表の6日から14日までの天気予報(ウェザーマップ)

 この時期、とくに気になるのは那覇の天気予報。なぜかというと、沖縄の梅雨入り平年日が5月9日だからです。

 梅雨入りしそうなのか、まだなのか、見分ける方法はただひとつ、週間予報に晴れの天気がなくなることです。考えてみれば当たり前ともいえることですが、毎年、あれこれと気をもんでしまうのです。今年はどうでしょうか?

 10日(木)以降、晴れ間がありそうな天気では発表が難しそうです。

今年の梅雨に黄信号

 梅雨入りの先をみてみましょう。次に注目したのはこちらの予想です。

この先1か月の降水量予想(5月5日から6月4日まで,気象庁1か月予報より著者作成)
この先1か月の降水量予想(5月5日から6月4日まで,気象庁1か月予報より著者作成)

 最新の降水量予想では沖縄で少なく、西・東日本で多くなっています。ちょっとイメージと違いませんか?一足早く梅雨を迎える沖縄で雨が少ないとは、どうしたのでしょう。

 それにはフィリピン付近の雲が関係しています。

沖縄が空梅雨となる理由(模式図,著者作成)
沖縄が空梅雨となる理由(模式図,著者作成)

 現在、フィリピンの東から北太平洋では海面水温が高く、雲が発生しやすい気象状況です。この付近で雲が多く発生すると、日本の南海上の高気圧がいつもよりも強まることが知られています。本来だったら、沖縄周辺が雨雲の通り道となるはずが、今年はちょっと様子が違うようです。

フィリピン付近の雲がカギ

 一方、関東から九州にかけての地域では湿った空気の影響を受けやすく、くもりや雨の日が多くなる予想です。

 沖縄は空梅雨、西・東日本はぐずついた天気となるのでしょうか?これらに関係するのがフィリピン付近の雲です。今後、このあたりで雲が多く発生すれば予想通りの天気となる可能性が高まります。注目してみてください。

【参考資料】

気象庁:全般季節予報支援資料 3か月予報,2018年4月25日

気象庁:全般季節予報支援資料 1か月予報,2018年5月3日

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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