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「豊かな伝統と文化」がトップ…アメリカ合衆国が抱く日本のイメージをさぐる(2024年公開版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
日本食も日本文化の一つ。興味を持たれているのか否か(写真:アフロ)

インターネットで情報が容易に手に入るようになったとはいえ、他国の実情を正確に把握するのは難しい。アメリカ合衆国の人達は日本にどのようなイメージを抱いているのだろうか。その実情を外務省が2024年3月に発表した「米国における対日世論調査」(※)の結果から確認する。

日本に対するイメージとして、アメリカ合衆国の一般人はどのような姿を頭に描いているのだろうか。主要選択肢を用意し、それに同意できるか否かで答えてもらった結果が次のグラフ。「豊かな伝統と文化を持つ」が5割台後半でトップ、「自然が美しい」「経済力・技術力が高い」が続く。

↑ 日本に対するイメージ(一般人、複数回答)(2023年度)
↑ 日本に対するイメージ(一般人、複数回答)(2023年度)

次いで「アニメ・ファッション・料理など新しい文化を発信」「生活水準が高い」が続く。「保守的で閉鎖的」「警戒を要する」「理解が難しい」「軍事的」などのネガティブな回答はさほど多くない。

これらの値の経年推移を見ると、「理解が難しい」「警戒を有する」が漸減し、「自然が美しい」がこの数年増加傾向を見せているのが確認できる。

なお2017年度以降の分は一般人向けの設問の様式で大きな変更があったようで、複数の設問の結果において値が大きく減少する傾向が確認できる。対日だけでなく他の諸外国に対する設問でも同様の動きを示していることから、単純に対日感情の沈滞が生じたのではなく、設問が変わったことによる動きの可能性が高い。よって経年推移の検証では2017年度以降の分はグラフに反映をするものの、精査では2016年度までとは別のものとして精査する。

↑ 日本に対するイメージ(複数回答)
↑ 日本に対するイメージ(複数回答)

「経済力・技術力が高い」「国際社会でリーダーシップを発揮する」といったポジティブな要素で小さからぬ値の下落が起きているのも確認できる。絶対的な実情の低下か、相対的地位の下落かまでは確認できないが、アメリカ合衆国側の印象としてだけでなく、自国としての見解でも、あながち否定できないのも事実。

また2017年度以降に限ると、上位陣の「豊かな伝統と文化を持つ」「経済力・技術力が高い」「自然が美しい」「アニメ・ファッション・料理など新しい文化を発信」の項目で減少傾向が確認できる。日本の魅力が薄れつつあるのだろうか。ただしここ数年では多くの項目で増加を示しているのが幸いではある。

日本の対外アピールを考慮・考察する際には、日本人からの視点ではなく、今件のような海外からの視点を検証材料とする必要がある。さもなくば、的外れなプロモーションをするリスクが生じることになろう。特にエンターテインメント分野では日本国内における評価とアメリカ合衆国での実情に差が生じている感が強いので、注意すべきではある。

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※米国における対日世論調査

直近分は外務省がハリス社に委託し、アメリカ合衆国内において2023年11月20日~2024年1月29日に実施されたもので、有効回答数は一般人1000人(18歳以上)・有識者204人(連邦政府、大企業、マスメディア、労働組合、宗教団体、アカデミアなどで指導的立場にある人物)。インターネット経由で実施されている。過去の調査もほぼ同条件で実施されている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項のない限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

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(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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