緊急事態宣言明け初日の飲食街。ビジネスの新橋と若者の渋谷は?
2回目の緊急事態宣言の明けた段階的緩和期間の初日。19時の新橋SL広場はテレビ局の取材クルーがいるものの、小雨が降っていた事もあり閑散としていた。
筆者は、35年前に上京した時からしばらく浜松町に住んでいた事もあり、このエリアには詳しいが、今晩の人出は平時の正月の人のいない光景と同程度の感覚だ。
閑散とする新橋はコロナ禍では当たり前の光景となり、人が溢れていた記憶が薄れてしまい思い出せなくなりそうだ。
新橋の烏森口を中心とする歓楽街を2時間、周回し取材してみたが、既にシャッターを閉め営業を辞めてしまった店が1割前後見受けられ、営業している店で繁盛しているのは昔からの人気店もしくは常連客が多そうな店に限られ、半数ぐらいの店は閑散としていた。
新橋に来て酔客となるビジネスパーソンの働く霞ヶ関や汐留・虎ノ門ではテレワークの浸透により都心で働く人の日数は減っている。このエリアのコンビニオーナーにヒアリングしてみると、コロナ前と比較すると30〜40%の売上がダウンしたとの事で、テレワークの浸透が見て取れる数値となっている。
新橋の歓楽街がコロナ前の姿に戻るのは時間がかりそう、いやひょっとするともうその光景は戻って来ないのではと感じさせる緊急事態宣言明けの夜となり、少し悲しい気分にもなった。
1都3県では、時短営業の時間を1時間延ばして21時までとしているが、18日に改正特措法で新たに設けられた仕組みの時短営業要請を拒否した場合に30万円以下の過料という罰則付きの規定も緊急事態宣言明けは効力がなくっているが、飲み屋が軒を連ねる新橋西口通りは21時直後には、呼び込みが店を探す客よりも多く、店を開けても売上を上げるのは難しそうで要請に従わない店はごくわずかとなっている。
22時に渋谷に移動すると、若者を中心とする
繁華街という事もあり新橋と比べて人出は多い。但しコロナ前と比べると歩いている人は圧倒的に少ない。
センター街にいた呼び込みに聞いてみると、
「食べていくためには、(21時以降も)店開けなきゃいけないんです。解除明けの今日よりも先週の土曜日は久しぶりに人が多かった」との事。今の若者はテレビ・新聞などマスメディアでは無く、インターネットから自分にとって必要と思われる情報だけを取る場合が多く、土曜日の人出が多かったのはコロナに対する詳細の情報を取りきれていないケースも多々あるのではと感じられた。
渋谷では人出の絶対数が新橋と比べて多いため、時短要請に従っていない店舗が見た限りでは多く感じた。但しラーメン屋などの食事をメインとする店がほとんどだった。
アルコールを中心とする店は酔いが回れば会話も活発になり飛沫のリスクは高まるが、独りで食事する場合は感染対策が取られている店舗ではリスクは少ないように感じる。
深夜に仕事後などに食事をする"夜食難民"が出てしまう都会では、酔客の利用も考えられるものの、食事をメインとする店舗はアルコールの提供をしないなどルールを課す事により営業時間を伸ばすなどの措置を検討する必要はあるのかもしれない。
コロナ禍により、大きな行動変容が起こった夜の歓楽街の飲食。緊急事態宣言明けの1ヶ月以内に繁盛店以外は閉店の決断を下す店が多くなるのでは無いかと考えられ、これから数年のビジネスの方向性をはっきりさせなければいけない時期となりそうだ。