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かなり珍しい部類の台風2号

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
台風2号の雲の様子(ウェザーマップ)

台風2号は沖縄の南海上を衰弱しながら東進しています。

この台風2号ですが、4月までに発生した台風としてはかなり珍しい部類の異例な台風となっており、あさって26日(月)にかけて、まだ伸びる記録もありそうです。(速報値)

126分の2の900hPa未満

895hPaが解析されていた頃の台風2号(ウェザーマップ)
895hPaが解析されていた頃の台風2号(ウェザーマップ)

まず台風2号の最も特徴的なことは、何と言ってもその勢力でしょう。

先週末の17日(土)から18日(日)にかけて、フィリピンの東海上で、一時的に中心気圧895hPaというとてつもない最低気圧が解析されました。

その時点の雲の様子が上図となりますが、台風の中心付近にはまるで針でつついたような台風の眼が明瞭に出現しているのが分かります。

一般に台風は、中心の眼がはっきり見えるほど、またその眼が小さいほど、勢力が強いことをあらわし、台風2号はまさにその猛烈な勢力の典型的な姿となりました。

ちなみに1951年の統計開始以来、1月から4月までに発生した台風の総数は126個ありますが、このうち900hPa未満まで中心気圧が下がった台風は今回の台風2号を含めて2個しかありません。単純に126分の2の発生率という非常に珍しい記録となりました。(1971年台風5号は890hPa)

すでに17年ぶりに10日以上の長寿台風

台風2号の進路(ウェザーマップ)
台風2号の進路(ウェザーマップ)

さらに特徴的なのが、寿命です。

台風にも発生した時点から消滅した時点までの寿命という概念があり、台風の平均寿命は5日程度と言われています。

今回の台風2号が発生したのは4月14日(水)3時でしたから、きょう24日(土)9時現在、すでに10日6時間を経ていることになり、現時点で平均寿命の約2倍の長寿台風となっています。

さらに先ほどと同じように1月から4月までに発生した台風126個について、その寿命を調べてみると、10日以上の長寿台風となっていたのは、今回の台風2号を含めて12個しかありませんから、単純に台風10個に1個程度の出現率です。

そして上記126個のうち、最も長寿だったのが2003年台風2号の14日3時間で、2番目が1951年台風4号の11日18時間、さらに3番目が2004年台風1号と1976年台風3号で11日12時間となっています。

今後の推移次第では、4月までに発生する台風としては、2番目から3番目あたりの長寿台風となる可能性があります。

沖縄と小笠原諸島に接近?

台風2号の予報円(ウェザーマップ)
台風2号の予報円(ウェザーマップ)

最新の台風情報(気象庁発表)

台風2号は衰弱しながら南大東島の南の海上を時速10キロで東南東に進んでいます。

すでに暴風域はなくなりましたが、南大東島など大東島地方が強風域(黄色い円)に入っており、けさは南大東島で27.4メートル、北大東島で30.9メートルの最大瞬間風速を観測しました。

沖縄や小笠原諸島はまだしばらく強風や高波に注意、警戒が必要です。

台風2号は今後も日本の南海上を東寄りに進み、あさって26日(月)9時までには小笠原諸島近海で温帯低気圧に変わる見込みです。

もしこの予想通りならば、台風2号の寿命は11日6時間以上、12日6時間以下ということになりますので、先ほどの長寿台風の2番目から3番目あたりの可能性が十分にありそうです。

さらに台風2号の中心は昨夜から南大東島の南約300キロ程度の所を通過していますので、もしかしたら4月としては2003年台風2号以来、18年ぶり6個目の沖縄への接近台風となるかもしれません。

ちなみに沖縄と小笠原諸島ともに接近すれば、4月としては1971年台風3号以来、50年ぶり2回目のこととなりますが、このあたりは今後の台風の進路や後日(2か月程度あと)発表される台風の確定値を待つことになります。

参考:国立情報学研究所(デジタル台風)

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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