間違えていませんか?部下への気づかいに「大丈夫?」その言葉かけが人間関係を破壊する理由
みなさんこんにちは。仕事に役立つ心理学の赤田です。
普段は大学で教員をしながら、学校や企業でのカウンセリングを行っています。You Tubeやインスタグラムでこころの健康について情報を発信しています。よろしければフォローをよろしくお願いします。
今回は、部下に気をつかうときやサポートの有無について尋ねるときに使用する「大丈夫」という言葉について考えたいと思います。私たちは、特に何も考えずに、人に対して心配しているときや気を遣うときに「大丈夫」という言葉を頻繁に使います。しかし、この言葉は大変危険で、大きく傷つける可能性があります。その理由を言葉の意味や由来、心理的側面から解説したいと思います。
大丈夫という意味とは
大丈夫という言葉の意味を調べると、たくさん使い道があることがわかります。
- 危なげなく安心できるさま、強くてしっかりしてるさま
- 間違いなくてしっかりしているさま
- 必要、不要あるいは可、不可を尋ねるとき
- たしかに、間違いなく
部下に対して、今の仕事ができているか、問題はないかの確認やサポートの必要性を尋ねるために、しっかりできているのかを気にすることは自然なことです。あまり深い意味を考えることなく、3番目の意味で単純に大丈夫?と聞いてるのだと思います。
また、大丈夫という言葉は、もともとは仏教用語が由来になっています。「丈夫」とは、「ますらお」と読むことができます。このますらおという意味ですが、りっぱな男、勇気のある強い男のことで、そこからそのような立派な人が近くにいてくれれば安心だということから現在の「大丈夫」という意味になったとされています。
「大丈夫 」と聞かれると…
このように、大丈夫という言葉の意味を詳しく見てみると、安心できてしっかりできるさま、強くてしっかりしてるという意味になっています。もし、メンタルやフィジカル的にしんどい状態になっている人に「大丈夫」と声をかけると、どう受け取られるでしょうか?
これは、しっかりしてて、安心できて、立派で勇気がある状態ですか?ますらおですか?と尋ねているわけです。
支援が必要だと感じている部下にとって、これは相当大きなプレッシャーになるに違いありません。にもかかわらず、現実はみんな「大丈夫」と答えるのです。なぜなのでしょうか?
正直なところ、ほんとに大丈夫な人はどれだけいるのでしょうか。いるようには思えないのに、みんな大丈夫というのです。
プロのカウンセラーは「 大丈夫」と聞くな!とまず教わる
カウンセリングを学ぶと、まずこの言葉を使うなと学びます。
なぜかというと、「大丈夫?」と尋ねられると、ひとは連鎖的に「大丈夫」と答えてしまうからです。そのように連鎖的に答えてしまう理由は、相手に心配をかけてはならないと考えるからです。自分のことはとりあえず横においておいて、まず大丈夫と答えてしまうのです。
大丈夫という言葉は、むしろ発した人のためにある言葉のように思います。自分の不安感を払拭したいために、大丈夫かと聞いているように聞こえるのです。
これこそが、大丈夫か?と尋ねても素直な気持ちで大丈夫ではないと言い出せない理由になります。
大丈夫?ではなくて、調子はどう?でよい
では、部下に現状を素直に答えてもらうためには、どのように尋ねたら良いのでしょうか?
それは、単に「調子はどうですか?」と聞いていただければ良いのです。これは、カウンセリングを継続的にしているときにも、一番はじめにかける言葉です。
なかなか人は、「調子がいいです」とは答えられないものです。それでも調子が良いというなら、具体的にどこが良いのか聞いてみてください。そして、逆に「大変なところはどこ?」と尋ねるのです。こうすることで、その人が置かれている状況を話しやすくすることができると思います。
大丈夫という言葉をもし無意識で使っているなら、一度立ち止まり、言葉かけを変えてみましょう。きっと、人間関係がより改善して、その人の状況をより理解できるようになります。気持ちを分かってあげられる素敵な上司になってくださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
赤田太郎の仕事に役立つ心理学では、仕事、家庭で役に立つ心理学を発信しています。よろしければ、フォローとチャンネル登録をお願いします。
それではまた次の記事でお会いしましょう。