遊び放題のクレーンゲームカフェ、「つかみ方の練習」に使える前代未聞の場所だった
ゲームセンターの定番、クレーンゲームが何回でも自由に遊べるカフェ、その名も「クレーンゲームカフェ キャッチャバ」が、10月26日に東京都足立区竹の塚にオープンした。
料金は、大人は30分600円、中高生と65歳以上は500円、小学生は400円からの時間制(※ワンドリンク付き)で、店内には6台の「UFOキャッチャー7」シリーズが設置されている。
ビデオゲームのファンが集まるゲームバー、またはカフェバーは以前から全国各地に点在しているが、クレーンゲームに特化したカフェの誕生は前代未聞のこと。はたして、同店はどんなオペレーションになっているのか? そもそも、なぜクレーンゲームカフェを開こうと思ったのか? 店長の伊藤大樹氏に聞いてみた。
好きな景品を、好きな場所に置いて遊べる、斬新なオペレーションを実現
店内にあるすべてのクレーンゲームは、何とガラス扉が常に開放されている。カフェの客、すなわちプレイヤーは、ただボタンでクレーンを動かすだけでなく、用意された景品の置き場所を自由に決めて、しかも何度でも繰り返し遊べるのが同店ならではのコアサービスだ。
伊藤店長によると「平日は学生のお客さんが1人で来ることが多くて、中には2時間ぐらい黙々と遊ぶクレーンゲーム好きの方もいらっしゃいます。休日は、近所にお住まいの家族連れの方が多いですね」という。
通常のゲームセンターではまず実現不可能な景品のつかみ方、あるいは動かし方のトレーニングが自由にできるとあって、学生以外にもゲーム好きユーチューバーからの反響も大きいそうだ。
客が自由に置き場所を決めて獲得した景品は、値札に書かれた料金を支払えば購入することができる(※練習専用に置かれている景品は購入不可)。好きな景品を、好きな場所に置いてゲットする自作自演(?)が楽しめる、まさに前代未聞のオペレーションだ。
「ご家族連れですと、やはりぬいぐるみが人気ですね。会社員の方ですと、お菓子の景品をよく買って下さいます」(伊藤店長)
なお、獲得した景品が不要であれば、釣り堀で釣った魚をリリースするのと同じ要領で、買わずに店に置いたままでも構わないそうだ。
「練習用の景品を、わざわざ寄贈して下さったお客様もいらっしゃるんですよ。本当にありがたいですね」(伊藤店長)
そもそも、なぜクレーンゲームを時間制で遊べる店を開こうと思ったのだろうか? その背景には、伊藤店長が少年時代、友人たちとゲームセンターに出掛けたときの原体験があった。
「何千円もお金を使ったのに、景品が全然取れないことがあったんです。『1回100円じゃなくて、時間制で何回でも遊べたらいいのになあ……』と思って調べてみたら、時間制でクレーンゲームが遊べる店はどこにもなかったんですよ。じゃあ、それなら自分で店を作ってみよう、きっとニーズはあるだろうなと思いました」(伊藤店長)
伊藤店長の前職は会社員で、ゲームセンター勤務の経験はゼロ。しかも、普段はクレーン以外のゲームもあまり遊ばず、オープン前はゲームセンターなどの経営には必須知識となる風営法も詳しく知らなかったそうだ。
「景品を取るのが上手な人は、こんな店をやろうなどとはまず考えないでしょう。私は逆にゲームがヘタだったからこそ、店のアイデアを思い付くことができたんです」(伊藤店長)
まさに手探りの状態から、たった1人で物件を探し出し、クレーンゲーム機や什器の調達、そして風営法による営業許可もきちんと得たうえで開店を実現させた、その行動力には敬服するばかりだ。
現在、同店では11月12日~12月26日まで「クリスマスプレゼントキャンペーン」と題し、小学生または未就学児連れの客限定で、次回来店時に使える「ぬいぐるみ引換券」を先着80人にプレゼント中だ。
また伊藤店長によると、現時点ではほとんど来店しない65歳以上のシニア世代に対し、店舗の認知度向上にも注力していくとのこと。
「カラオケなどと同様に、もっと皆さんにとって身近な存在の店にしていきたいですね。クレーンゲームが特に好きではない方でも、気軽に遊びに来られる店にしたいと思っております。今のところはまだ赤字ですが、半年後には黒字が出せるようにしたいですね」(伊藤店長)
今後、同店ではどのようなサービスを展開し、プレイヤーあるいは地域コミュニティが形成されるのか? その動向には要注目だ。
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