自分の資産・貯蓄に満足している人は全体では3割強、高齢者は満足度高し
![](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00276495/title-1641668697176.jpeg?exp=10800)
将来のため、保険的な意味で、何か目的を果たすため、人は蓄財をする。その蓄財の実情にどれほどの人が満足しているのだろうか。内閣府が2022年1月に発表した定点観測調査「国民生活に関する世論調査」(※)の結果から確認する。
現在の生活において、資産や貯蓄の面で回答者自身がどれほど満足しているかを聞いたところ、全体では満足している4.5%・やや満足している28.1%となり、合わせて32.6%が「満足派」との結果となった。
![↑ 現在の生活の満足度(資産・貯蓄)(2021年)](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00276495/image-1641668734074.png?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
逆に明確な不満を持つ人は27.4%、やや不満が39.3%となり、合わせて66.7%が「不満足派」。「満足派」と比べて34.1%ポイントもの開きを見せている。男女別ではやや女性の方が「満足派」が多いものの、その差異は1.8%ポイント。ほぼ誤差の範囲。
属性別の差異がはっきりと見られるのは、むしろ年齢階層別。
![↑ 現在の生活の満足度(資産・貯蓄、年齢階層別)(2021年)](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00276495/image-1641668760307.png?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
年齢階層別では40代で明確な不満の値が最大となる。これは多分に世帯を抱え、子供の養育費や住宅ローンの重圧により、首が回らない状態にあるからだと思われる(今件は生活全般ではなく、あくまでも資産・貯蓄に限定した満足度であることに注意)。50代に入ってようやく子供の養育費や住宅ローンから解放され始め、60代に入ると退職金などでまとまったお金が手に入り、資産・貯蓄の面で満足している人が増えてくると考えれば道理は通る。
もっとも70歳以上になれば(大抵の場合は)消費する金額の方が多いので、現時点での資産・貯蓄の満足度は60代と比べて減ってもおかしくはない。ところがむしろ満足度が増えているのは、この年齢における退職金の額が現在の相場よりも大きかったことや、金銭に対する価値観の世代間での違いなどに起因しているものと思われる。また、自らが消費する金額が小さくなり、所有する資産・貯蓄との比較の点で、より大きく思える点もあろう。今件はあくまでも回答者の心境に基づくものであり、同じ金額でも個々の価値観によって判断・回答は異なることに注意しなければならない。
ちなみに全体としての「満足度」の経年変化に関しては、大きな動きは無い。なお2021年分では新型コロナウイルス感染症への対策のため、過去の調査と比べると調査方法や設問様式に違いがあることから、イレギュラーな傾向が出てしまっている。経年の傾向分析の上では除外するべきだろう。
![↑ 現在の生活の満足度(資産・貯蓄、満足派・不満足派別)](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00276495/image-1641668778485.png?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
「満足派」4割前後、「不満足派」5割強から6割程度のラインを行き来している。社会的、とりわけ経済上の状況改善が継続すれば、この差もさらに縮まるだろうが、過去のデータの限りでは両者がクロスする機会はなかったので、それを望むのは難しいかもしれない。劇的な経済環境の変化が無い限り、このバランスは継続するだろう。
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※国民生活に関する世論調査
直近分は2021年9月16日から10月24日にかけて、全国18歳以上の日本国籍を持つ人の中から層化2段階無作為抽出法で3000人を選んだ上で、郵送法によって行われたもので、有効回答数は1895人。男女比は906対989、年齢階層別構成比は18~19歳が32人・20代171人・30代209人・40代306人・50代333人・60代312人・70歳以上532人。
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