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ポストシーズン5勝0敗のレンジャーズとDバックスは、ワールドシリーズまで駆け上がることができるのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
アリゾナ・ダイヤモンドバックス Oct 11, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 リーグ・チャンピオンシップ・シリーズに臨む4チームのうち、テキサス・レンジャーズとアリゾナ・ダイヤモンドバックスは、今年のポストシーズンで黒星を喫していない。5試合で5勝だ。両チームとも、ワイルドカード・シリーズとディビジョン・シリーズをスウィープで勝ち上がってきた。

 あとの2チームは、ヒューストン・アストロズが3勝1敗、フィラデルフィア・フィリーズは5勝1敗だ。アストロズがレギュラーシーズンに挙げた90勝は、ア・リーグの地区優勝3チームのなかで2番目に多く、ワイルドカード・シリーズはスキップした。

 その年のポストシーズンの1試合目から5連勝を記録したチームは、見落としがなければ、今年のレンジャーズとダイヤモンドバックスが13チーム目と14チーム目だ。

筆者作成
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 2014年のカンザスシティ・ロイヤルズは、ポストシーズン1試合目からの連勝が最も長く、8試合で8勝を挙げた。ワイルドカード・ゲームの1試合、ディビジョン・シリーズの3試合、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズの4試合だ。もっとも、ワールドシリーズの第1戦に敗れて連勝が止まっただけでなく、ワールドシリーズ優勝も飾ることはできなかった。

 第7戦は、1点差の9回裏に2死三塁としたが、最後はサルバドール・ペレスが三塁のファウル・フライに討ち取られた。このシリーズは、サンフランシスコ・ジャイアンツのマディソン・バムガーナーが3登板で計21イニングを投げ、ロイヤルズを抑えた。第1戦の7イニング1失点と第5戦の完封に続き、中2日でリリーフとして登板した第7戦は、5回裏から試合終了まで5イニングを封じた。

 次に長い7連勝は、1976年のシンシナティ・レッズ、2007年のコロラド・ロッキーズ、2020年のアトランタ・ブレーブスに、昨年のアストロズが記録している。

 この4チームの結末は、さまざまだ。

 1976年のレッズは、黒星を喫することなく、全勝でポストシーズンを終えた。2007年のロッキーズは、ダブル・スウィープでワールドシリーズまで駆け上がったが、そこでボストン・レッドソックスにスウィープされた。4試合のうち、イニングの裏が終わった時点でリードしていたのは、第2戦の最初の3イニングだけ。そのリードも、1点に過ぎなかった。

 2020年のブレーブスは、5連勝でリーグ・チャンピオンシップ・シリーズに進み、同じく5連勝のロサンゼルス・ドジャースと顔を合わせた。連勝を伸ばしたのはブレーブスだが、シリーズを制したのはドジャースだった。昨年のアストロズは、ワールドシリーズの第1戦に5対0からフィリーズに逆転負けを喫し、連勝は7で止まった。ただ、その後も連敗はなく、5年ぶり2度目の頂点に立った。

 ポストシーズンの1試合目から5連勝を記録した12チーム中――今年の2チームを除く――ワールドシリーズに進めなかったのは1チーム、2020年のブレーブスしかないが、ワールドシリーズ優勝は半数の6チームにとどまっている。

 もし、レンジャーズとダイヤモンドバックスがともにスウィープでリーグ・チャンピオンシップ・シリーズを勝ち上がると、ワールドシリーズでどちらかの連勝が止まる。ワールドチャンピオンになるのも、いずれか一方だ。

 レンジャーズのワールドシリーズ優勝は皆無。ダイヤモンドバックスは、2001年の第7戦にサヨナラ勝ちを収めた。昨年、アストロズに倒されたフィリーズは、1980年と2008年にワールドシリーズを制している。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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