韓国の次期大統領候補に関する世論調査結果(6日)はどれが正しい?
韓国の世論調査はこと政治に関してはメディアによって異なる結果が出るから困る。
韓国は来年3月に天下分け目の大統領選挙を控えていることもあって各メディアが競って大統領候補及び政党の支持率を調査している。ところが、総じて、真逆の結果が出る。どれが民心(世論)を反映しているのか、判断が付きにくい。そうした中でも文在寅大統領の支持率だけはほぼ一致している。
昨日(6日)公表された経済新聞「メディアトマト」が2~4日にかけて行った調査によると、文大統領の国政評価については「評価する」が42.8%、「評価しない」が54.2%と、「不支持」が11.4%と上回っていた。
同じく昨日発表された政府寄りの「京郷新聞」の調査(3~4日)でも「評価する」の44.6%に対して「評価しない」は52.8%と、「不支持」が8.2ポイントも多い。
しかし、「政党」と「大統領候補」の支持率に関しては2紙の調査結果は180度異なっていた。
「メディアトマト」の調査では与党「共に民主党」が33.0%、野党「国民の力」が35.1%と、「国民の力」が2.1%引き離しているが、「京郷新聞」の調査では「共に民主党」が36.2%、「国民の力」が31.9%と、逆に「共に民主党」が4.3ポイントもリードしていた。
さらに、次期大統領候補の支持率でも「京郷新聞」の調査では与党候補の李在明(イ・ジェミョン)京畿道知事と野党候補の尹錫悦(ユン・ソギョル)前検察総長が対決した場合、李候補43%、尹候補35%と、李候補が8ポイント上回っていたが、「メディアトマト」の「明日選挙が行われれば、どの党の候補に投票するか」との設問には半数に近い48.9%が「野党候補」と答えており、逆に「与党候補」(40.8%)を8.1ポイントも勝っていた。
「京郷新聞」では仮に与党候補に李洛淵(イ・ナギョン)元首相が選ばれたとしても尹候補との対決では39.0%対35.3%と優位に立っていた。
また、「メディアトマト」の調査では「朝鮮戦争終結宣言があっても支持候補を変えないか」との設問に74.9%が「変えない」と答えており、「変える」は14.2%と少なかった。
なお、韓国政界を揺さぶる一大疑獄に発展している投資・資産管理会社「火天大有」による「大庄洞(テジャドン)土地開発疑惑」に関しては「メディアトマト」の調査では国民の60.9%が「特別検察官による捜査が必要」とみている反面「既存の検察の捜査で十分」と回答したのはその半分以下の28.1%だった。
京畿道・城南市のテジャドン土地開発は城南市長だった李知事が「最大の業績である」と自画自賛していたこともあって李知事に飛び火すれば、致命傷になりかねないと言われているだけに野党候補を支持する保守層では75.5%が「特別検察官の捜査が必要」と回答していた。
進歩層でも「特別検察官の捜査」を求めた人が44.5%と、「既存の検察の捜査で十分」(41.7%)を上回っていた。一方,京郷新聞の調査でも50.6%が「李在明知事の責任が大きい」と回答していた。
李知事は城南市長時代の2014年に「宅地開発の利益を市民に返す」として宅地造成事業の公共開発への転換を宣言し、2015年に城南都市開発公社と民間企業が「城南の城」という名称の特殊法人を設立し、91万平方メートルに約5900世帯の住宅建設に着手した。
公募1週間前に設立されたばかりの「火天大有」は「城南の城」に3億5千万ウォンを投資し、7株を保有したが、僅か3年間で50%の株主の城南市の1822億ウォンよりも倍以上も多い約4000億ウォンの配当金を手にしていた。利益の配分や「火天大有」の選定を巡り側近の都市開発公社元企画本部長が逮捕されたことから李知事にも疑惑の目が向けられている。