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ミラノダービーを決めた“殺し屋”イカルディ、伝説のジュゼッペ・メアッツァ超えも?

中村大晃カルチョ・ライター
10月21日、セリエA第9節のミラノダービーで決勝点を挙げたイカルディ(写真:ロイター/アフロ)

その瞬間、そこにいるからこそ、彼の存在価値がある。

10月21日のセリエA第9節、インテル対ミランのミラノダービーは、終了間際の92分にマウロ・イカルディが値千金の決勝点を挙げ、インテルが1-0と勝利した。

◆イグアインとの対決を制した決定力

公式戦6連勝のインテルと、同3連勝のミラン。好調の両チームの対戦で主に注目されたのが、イカルディとゴンサロ・イグアインのアルゼンチン人ストライカー対決だ。

試合直前、『ガゼッタ・デッロ・スポルト』のインタビューで、イグアインはイカルディの「ヘディング能力とエリアに飛び込むタイミング」を称賛し、「彼は“殺し屋”だ」と述べた。

まるで未来を知っていたかのようだ。イカルディはスコアレスドローで終わるかに思われたアディショナルタイム、クロスの軌道を読み違えたミラン守護神ジャンルイジ・ドンナルンマが空けたゴールに、頭でボールを押し込み、インテリスタを熱狂させた。

レーガ・カルチョのデータによると、この日イカルディがプレーしたボールはわずか「15」。両チームのスタメンで最も少ない。だが、アンドレア・ディ・カーロ記者は、『ガゼッタ』で「知ってのとおり、イカルディにはひとつのボールで十分だ。それが届いた。そして、彼はそれを生かした」と記している。

類まれな決定力の高さを誇るイカルディだが、一方でチームプレーへの関与が少ないとの批判も絶えない。イグアインをより評価する識者が強調するのもこの点だ。だが、妻であり代理人でもあるワンダ・ナラは「彼はペナルティーエリアにいるべき」と一蹴した。

◆もはやインテルのレジェンド?

実際、イカルディはダービーにおけるインテルの直近5得点をすべて決めており、今季は公式戦9試合で6ゴール。特に直近は4試合連続5ゴールと爆発している。文句なしの得点力だ。

インテル移籍後、イカルディはセリエAで通算104ゴールと、クリスティアン・ヴィエリを突き放してクラブ歴代7位につける。ヴィエリは『Italia 1』の番組「Tiki Taka」で、「とても偉大なゴールゲッターだ。あの得点は偶然じゃない。彼は常に準備を整えている」と、イカルディに賛辞を寄せた。

今季中に6位ロベルト・ボニンセーニャ(113)、5位サンドロ・マッツォーラ(116)の記録も塗り替えることが期待されるが、ヴィエリは4位アレッサンドロ・アルトベッリ(128)の記録にも並ぶと予想。さらに「メアッツァの記録も超えると思う」と続けた。もちろん、スタジアムの名前にもなっているあのジュゼッペ・メアッツァのことだ。インテルではセリエAで198得点を挙げている。

◆優勝争い、バルサ戦でも価値を示せるか

もちろん、それは遠い先の夢だ。近い夢は、今シーズンの戦いにある。

イカルディのゴールでダービーを制したインテルは、開幕からの連勝が8で止まった首位ユヴェントスとの勝ち点差を6に縮めた。ディ・カーロ記者は「殺し屋イカルディが夢を見させる」と、ユーヴェ有利を前提としたうえで、インテルにも期待を寄せた。

ただ、イカルディとチームはさらに目の前のことに集中しているだろう。24日のチャンピオンズリーグで、インテルはバルセロナと対戦する。

スタイルの違いからバルセロナのユースを飛び出して約8年。世界的なストライカーとなったイカルディは、カンプ・ノウでその存在価値を示すことができるだろうか。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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