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日本ハムの新球場問題 韓国のボールパークは「メジャー流」で本塁からバックネットがもっと近い

室井昌也韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表/KBO取材記者
本塁からバックネットが近い、チャンウォンNCパーク(写真:ストライク・ゾーン)

来年3月に開業する日本ハムの新球場「エスコンフィールド北海道」の、ホームベースからバックネットまでの距離が「日本野球機構(NPB)の公認野球規則よりも短い」として指摘を受けているという。

NPBの野球規則はメジャーリーグベースボール(MLB)の野球規則に準じて作られているが、MLB版では「60フィート(18.288m)をrecommend(推奨する)」とあるのに対し、NPBでは「60フィート(18.288m)以上を必要とする」としている。そのため、15.18mのエスコンフィールド北海道は「規則違反ではないか?」というのが今回の指摘だ。

ではNPB同様にMLBを基に規則を定めている韓国のKBOリーグはどうか。韓国では近年、以下のように変更となった。

「本塁からバックストップまでの距離は、快適な観覧環境をつくる目的に縮める場合でも必ず45フィート(13.716m)以上を維持すること」

実際、2019年に開場したNCダイノスの本拠地・チャンウォンNCパークの本塁からバックストップまでの距離は14.75mと、エスコンフィールド北海道の15.18mよりも近い。

その理由についてチャンウォンNCパークの球場管理に携わった、NC球団マーケティングチームのユン・ソクチュンマネージャーはこう話す。

「新球場の設計時にKBOと協議して認められました。当初は『一、三塁のラインからベンチまでの距離は縮められない』ということでしたが、それも承認されそちらも14.75mです」

「MLBの規則は『60フィートを推奨』のままですが、実際はほとんどの球場が60フィート以下です。韓国でもメジャーと同じように『ファンに、より近くでプレーを感じて欲しい』とKBOを説得した結果、規則も変更になりました」

チャンウォンNCパークの設計はメジャーの球場設計にも数多く関わっている、アメリカの設計事務所・ポピュラス社のもの。チャンウォンNCパークもメジャーのような美しいボールパークとなっている。

日本ではエスコンフィールド北海道がNPB本拠地球場では久々の新しい球場となる。一方で韓国では2014年にクァンジュKIAチャンピオンズフィールド、16年、テグサムスンライオンズパーク、そしてチャンウォンNCパークといわゆる「ボールパーク」と呼ばれる、メジャースタイルの球場が次々登場している。

KBOでは時代に合わせ柔軟な対応を取った結果、ファンに愛されるボールパークが生まれている。

チャンウォンNCパーク(写真:ストライク・ゾーン)
チャンウォンNCパーク(写真:ストライク・ゾーン)

チャンウォンNCパークにはスターバックスも入店(写真:ストライク・ゾーン)
チャンウォンNCパークにはスターバックスも入店(写真:ストライク・ゾーン)

韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表/KBO取材記者

2002年から韓国プロ野球の取材を行う「韓国プロ野球の伝え手」。編著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』(韓国野球委員会、韓国プロ野球選手協会承認)を04年から毎年発行し、取材成果や韓国球界とのつながりは日本の各球団や放送局でも反映されている。その活動範囲は番組出演、コーディネートと多岐に渡る。スポニチアネックスで連載、韓国では06年からスポーツ朝鮮で韓国語コラムを連載。ラジオ「室井昌也 ボクとあなたの好奇心」(FM那覇)出演中。新刊「沖縄のスーパー お買い物ガイドブック」。72年東京生まれ、日本大学芸術学部演劇学科中退。ストライク・ゾーン代表。KBOリーグ取材記者(スポーツ朝鮮所属)。

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