首都圏・関西圏の低倍率大学データ全公開&低倍率からの脱却大学予想
前回記事がすごいことに
前回の「Fランク大学が都市部から消える」、ヤフトピ入りしておかげさまで多くの方にお読みいただきました。
様々なコメント、ご感想・ご批判をいただき深くお礼申し上げます。
その中で、
「2019年も相変わらず低倍率だった大学はどこか、まとめてほしい」
「それぞれどんな大学か、解説してほしい」
などのご感想・リクエストをいただきました。
さすがに全大学を解説するのは無理ですが、今回は、データの公開と、その中から2020年入試で上昇が予想される大学・学部について解説していきます。
※前回記事をお読みいただいた方はわかるかと思いますが、Fランク大学は元は河合塾が作成した受験用語で、現在は「BF(ボーダーフリー」と表記しています。
以下の表に出ている大学が全てがFランク大学(またはボーダーフリー)というわけではありません。
※各地域で紹介する大学については河合塾偏差値(2019年)を記載しています。
2019年の低倍率大学・東京
まずは東京都内で2019年、一般入試倍率が2倍以下となった私立大学を見ていきましょう。
「福祉の東大」がなぜか低倍率も
この中で人気化してもおかしくない大学は嘉悦大学、恵泉女学園大学、日本社会事業大学、ヤマザキ動物看護大学、文化学園大学服装学部ファッション社会学科を合わせた5校。
嘉悦大学経営経済学部 河合塾偏差値35.0
寸評:小平市という東京西部に立地。西武新宿線花小金井駅から徒歩7分で立地はそう悪くはない。経済系学部がどこも人気化しており、同大も東京西部の受験者数を考えれば、現状以上に人気化する可能性大。2年次から「ICT・データサイエンス」「マーケティング」「会計・ファイナンス」の3系を複合的に選択するカリキュラム。
恵泉女学園大学人文学部/人間社会学部 河合塾偏差値BF~35.0
寸評:女子大はなぜか人気が低下するところが多く、同大もその一校。キリスト教系の小規模私大、多摩センター駅からスクールバスで10分という立地もやや敬遠されやすい。とは言え、人文学部は日本語日本文化学科、英語コミュニケーション学科の2学科で共学ならすでに人気化している。1年次に有機園芸を体験する必修科目もユニーク。
日本社会事業大学社会福祉学部 河合塾偏差値40.0
寸評:2010年はまだ倍率2倍以上も福祉系学部不人気の影響で2019年は倍率2倍割れ。別名「福祉の東大」と言われるほど、福祉業界の管理職候補を養成。その威光は現在も衰えず、地方公務員への就職に強みあり。公務員志望なら地方出身者でも検討していい私大。学費は準国立大という事情もあり初年度約103万円と他の私大より安い。
ヤマザキ動物看護大学動物看護学部 河合塾偏差値40.0
寸評:動物病院で診療にあたる医師が獣医師。その補佐をするのが動物看護師。同大は日本初の動物看護師養成の専門大学として誕生。動物看護師という職業が将来性あるか、という議論はある。2019年に動物看護師の国家資格化が決定し、就労環境・条件は今後大幅な改善が期待できる見込み。製薬メーカー、損害保険会社などにも就職。
文化学園大学服装学部ファッション社会学科 河合塾偏差値37.5
寸評:音楽系大学、芸術系大学やファッション系大学は不人気で文化学園大学もその一校。東京の中心、新宿駅から徒歩5分という立地は相当魅力のはず。ファッション社会学科は社会学からファッションにアプローチをする、実質的には文系学科。なお同大は男女共学。
2019年の低倍率大学~埼玉・千葉・神奈川
続いて、埼玉、千葉、神奈川の低倍率大学です。
大学院進学込みで育成する神奈川工科大の奨学金
埼玉、千葉、神奈川の低倍率大学で、人気化してもおかしくない大学は聖学院大学、聖徳大学、千葉科学大学、神奈川工科大学の4校です。
聖学院大学政治経済学部、人文学部、心理福祉学部 河合塾偏差値35.0
寸評:キリスト教系の小規模大学。一時は政治学者の姜尚中が学長だった。埼玉県上尾市という立地はまずまず。JR高崎線宮原駅から徒歩15分程度。首都圏で人気化が著しい政治経済学部と人文学部を抱えており、2019年度はどちらも志願者数が増加。他大の激戦ぶりを考えればもっと人気化してもおかしくはない。
聖徳大学児童学部、心理・福祉学部、文学部、人間栄養学部、看護学部、音楽学部 河合塾偏差値BF~40.0
寸評:低倍率大学の中では最も規模が大きいと推察される総合大学。なお、大学名には入っていないが女子大。不人気の学部系統が多数入ったことが敗因か。とは言え、文学部は1990年大学開学時の人文学部の後継。2019年は倍率2.6倍と前年1.7倍から伸びており、今後も人気化が予想される。
千葉科学大学危機管理学部 河合塾偏差値35.0
寸評:大学は他に看護学部、薬学部を設置。銚子からバスで約10分という立地が悪影響。加計学園グループの大学であり、2018年は相当叩かれた。危機管理学部は消防官、救急救命士など公務員を養成。学内に消防車などを所持。実習でも使う。実際に公務員就職も堅調であることを考えれば今後、見直される可能性も。
神奈川工科大学工学部、創造工学部、応用バイオ科学部、情報学部、健康医療科学部 河合塾偏差値35.0~42.5
寸評:大洋漁業・中部謙吉が創設した高等専門学校が前身で1966年開学。応用バイオ科学部がやや不人気も情報学部は人気上昇中。単なる奨学金授与ではなく大学院進学・キャリア育成も見据えたオナーズ・プログラムは2014年から開始で順調に推移。工学部、創造工学部は他大の人気を考えれば今後、上昇の可能性が高い。
2019年の低倍率大学~京都、大阪、兵庫
続いて、京都、大阪、兵庫の低倍率大学です。
学科から想像できずに損をする大阪樟蔭女子
京都、大阪、兵庫の低倍率大学で人気化してもおかしくはない大学は花園大学、大阪樟蔭女子大学学芸学部ライフプランニング学科、神戸海星女子学院大学の3校です。
花園大学文学部、社会福祉学部 河合塾偏差値 BF~40.0
寸評:臨済宗系の大学で文学部、社会福祉学部の2学部構成。JR嵯峨野線円町駅から徒歩8分という立地は悪くない。同じ仏教系大学の大谷大学(真宗系)が低倍率大学から脱却しており、花園大学もこれに続く可能性大。社会福祉学部には臨床心理学科もあり、心理系学科志望の女子を中心に人気化する可能性もあり。
大阪樟蔭女子大学学芸学部ライフプランニング学科 河合塾偏差値35.0
寸評:学芸学部は他に国文、国際英語、心理、化粧ファッションと系統がバラバラの5学科構成で受験生にとって分かりにくいことが敗因。ライフプランニング学科はさらにわかりづらく、食関連のフードスタディコースとビジネスの知識などを学ぶライフデザインコースの2コース制。後者は経済系学科な訳で独立すれば人気化も。
神戸海星女子学院大学現代人間学部 河合塾偏差値 BF
寸評:英語観光学科と心理こども学科の2学科構成。いくら100万人都市とは言え、神戸は女子大の激戦区で同大含め5校。これに武庫川女子、神戸女学院、園田学園女子の3校が競合。三宮駅の1駅隣という立地の良さがある同大は苦戦。キリスト教系の小規模大学で少人数教育や奨学金制度の改善で今後、見直しもあり。
今回紹介しなかった大学にもそれぞれの良さがあります。受験生は各大学の教育内容等について大学公式ホームページなどでご確認の上、志望校を決めていってください。
え?中堅私大の穴場はどこか教えろ?地方公立大について?
まあ、そのあたりは来年にでも。
とは言え、来年のことを言うと鬼が笑うと言いますからね。というわけで、良いお年を!