Yahoo!ニュース

台風10号は週末にかけノロノロ列島縦断へ、危険な3点セット「強い、遅い、縦断」に厳重警戒

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
雲の様子(ウェザーマップ)

九州付近からノロノロ列島縦断へ

台風10号の予報円(ウェザーマップ)
台風10号の予報円(ウェザーマップ)

最新の台風予報円(気象庁発表)

台風10号は、きょう27日(火)午前3時現在、中心気圧970hPa、最大風速40メートル、最大瞬間風速55メートルの強い勢力で、西北西に時速10キロで進んでいて、奄美地方に接近しています。今後は奄美地方付近でさらに減速しつつ北寄りに転向し、一段と発達して、あさって29日(木)午前3時には、九州のすぐ南西海上で、中心気圧950hPa、最大風速45メートル、最大瞬間風速60メートルの非常に強い勢力となる見込みです。

その後は、予報円の真ん中を進むと、30日(金)午前3時に熊本付近に強い勢力で達し、31日(土)午前3時には大阪付近、9月1日(日)午前3時に仙台付近に進む予想です。本州付近を通過する際も、時速10キロから20キロ程度のかなり遅い速度が予想されていて、まさに強い勢力で上陸し、ノロノロ進行、列島縦断という非常に危険な「強い、遅い、縦断」の3点セットが予想されている状態です。

台風10号は、九州付近から列島を縦断する可能性は高くなりましたが、まだいつどこを通過していくかなどは、かなりの予報幅がありますので、必ず最新の台風情報を確認して下さい。

雨雲も非常に危険な3点セットの状態

雨雲の様子(気象庁発表に筆者加工あり)
雨雲の様子(気象庁発表に筆者加工あり)

台風10号自体が非常に危険な3点セットならば、現在の雨雲も非常に危険な3点セットの状態となっています。

まず1点目は、南海上にある台風10号本体の活発な雨雲が奄美地方にかかってくるでしょう。そして2点目は、台風10号周辺の暖湿流が東海地方に最も強く流れ込んでいて、きょう27日(火)午前中は、線状降水帯が発生する可能性があります。さらに3点目は、台風10号から遠く離れた北日本の秋雨前線にも暖湿流が届いていて、雨雲がかなり発達しています。台風10号から離れているからといって油断禁物です。

南東斜面を中心に、九州から北海道まで大雨に

72時間の予想雨量(ウェザーマップ)
72時間の予想雨量(ウェザーマップ)

台風10号本体や暖湿流、秋雨前線の影響で、九州から北海道にかけて、広く大雨となるおそれがありますが、特に東海から九州にかけての南東斜面では72時間で紫色の400ミリ以上の大雨が予想される地域が広がっています。なかでも台風10号が直撃する九州南部では1000ミリ超となるおそれがあります。

南東斜面では総雨量は1000ミリ超のおそれも

予想雨量(気象庁発表)
予想雨量(気象庁発表)

気象庁から台風10号に関する最新情報が発表されました。防災事項は極めてたくさんあるのですが、大雨を抜粋したものが上図です。九州南部に注目すると、3日間(72時間)の積算雨量は1300ミリの予想となっています。もちろん日ごとに一番降る所は少し変わりますが、それでも72時間で、宮崎県を中心に1000ミリ以上の大雨となる所が計算されています。

今回の台風10号は、勢力が強く、ノロノロとした速度で、列島を縦断する見込みとなっていて、記録的な大雨や記録的な暴風、高波、高潮などに、厳重な警戒(最大級の警戒)が必要です。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

杉江勇次の最近の記事