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台風17号で竜巻発生か 宮崎県延岡市は2006年にも甚大な竜巻被害

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
気象庁出典の台風17号の衛星画像に筆者加筆

追記: 宮崎地方気象台は23日、この突風が推定風速50m/sのJEF1の強さの竜巻と認められると発表しました。

今日(22日)朝、宮崎県北東部で台風17号が原因と見られる、竜巻などの突風が発生しました。延岡市では、JRの鉄塔が倒れる、店や家の窓ガラスが割れる、車が横転するなどといった被害が伝えられています。さらにガラスの破片が刺さって、けがをした人もいるもようです。

朝8時半のレーダーを見ると、延岡市周辺では時間降水量80ミリ以上の猛烈な雨のエリアがかかっていたことが分かります。当時この地域には「竜巻注意情報」が発令されていました。

出典元: 気象庁
出典元: 気象庁

延岡市では過去にも台風起因の竜巻

延岡市では、1993年や2006年にも台風による竜巻が発生し、大きな被害が出ています。

特に2006年の台風13号に伴って発生した竜巻による被害は大きく、九州の統計史上最大級のものといわれています。13号は、西表島に最大瞬間風速69.9メートルの記録的な暴風をもたらした台風で、激甚災害にも指定されたほどでした。

この台風が原因で発生した竜巻は、竜巻の強さの指標である藤田スケールで上から4番目に強いF2(推定風速50~69m/s)で、これにより3人が死亡、140名以上が負傷、家屋の損壊軒数も1,200軒を超えた他、JR日豊線の電車が脱線するなどの甚大な被害を発生させました。

台風の北東部は竜巻要注意

台風起源の竜巻は珍しいことではなく、上陸する台風の約40%は竜巻を発生させるとも言われています。

また竜巻は、台風の中心からやや離れた北東象限で発生しやすいことが分かっています。2006年も今回も、宮崎県は台風の北東象限に位置していました。

17号の現況と予想

22日11時気象庁発表の台風17号の予想進路図 (出典元: 気象庁)
22日11時気象庁発表の台風17号の予想進路図 (出典元: 気象庁)

今日(22日)朝11時現在の台風17号の中心気圧は975hPa、最大風速は30m/sで、大型の台風となっています。

これまでのところ、鹿児島県では29.8m/sの最大瞬間風速、宮崎県では48時間で427.0ミリの大雨が観測されています。ちなみに韓国済州島では540ミリ超の雨が降ったもようです。

17号は今夜にかけて九州北部に最接近する見込みで、今後も引き続き、大雨、暴風、さらに竜巻に警戒が必要です。

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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