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下層でもはっきりしている寒冷低気圧が北日本通過

饒村曜気象予報士
上空約5500メートルの気温分布(4月5日夜の予報)

熱帯低気圧(台風)と寒冷低気圧

 台風などの熱帯低気圧は、中心付近の温度が周囲より高い低気圧で、地表付近では強い風が吹いていますが、上層に行くにつれて低気圧が弱くなり、風が弱まってゆきます。

 逆に、寒冷低気圧と呼ばれる低気圧は、中心付近の温度が周囲より低く、大気の上層でははっきりしていても、地表付近でははっきりしなくなることが多い低気圧です。

 しかし、4月5日(日)から6日(月)にかけて北日本を通過する寒冷低気圧は、地上天気図でもはっきり存在がわかります(図1)。

図1 予想天気図(4月5日9時の予想)
図1 予想天気図(4月5日9時の予想)

 それほど、強い寒気を伴った寒冷低気圧が北日本を通過します。

 事実、強い寒気の目安として、上空約5500メートルで氷点下36度が使われますが、今回の寒気は、真冬でもめったに出現しない強い寒気です(図2)。

図2 上空約5500メートルの気温分布(4月5日夜の予報)
図2 上空約5500メートルの気温分布(4月5日夜の予報)

寒冷低気圧の危険性

 寒冷低気圧が通過するということは、上空に強い寒気が入っていることを示します。

 このため、下層に暖気が北上しやすい寒冷低気圧の南東側では、大気が不安定となって積乱雲が発達し、落雷や突風、降雹などの激しい現象が起きやすくなります。

 4月4日(土)午後からは、大気の不安定に注意が必要です。

 寒冷低気圧の大きな特徴として、動きが遅いということがあります。

 つまり、大気が不安定な状態が長く続くという危険性があります。

 寒冷低気圧が通過するまでは、最新の気象情報に注意してください。

北海道の気温

 寒冷低気圧の通過により、札幌の気温は4月5日(日)から6日(月)に平年を下回りますが、その後は、ほぼ平年並みの気温が続きます(図3)。

図3 札幌の4月の気温予報(4月4~10日は気象庁、4月11~19日はウェザーマップの予報)
図3 札幌の4月の気温予報(4月4~10日は気象庁、4月11~19日はウェザーマップの予報)

 3月前半にあったような寒さもなくなり、北国の春です。

 札幌の16日先までの天気予報をみても、雪マークが6日(月)にありますが、晴れマークの日も多く、春を実感できそうな天気の予報です(図4)。

図4 札幌の16日先までの天気予報
図4 札幌の16日先までの天気予報

 今年の桜の開花・満開は、暖冬の影響からほぼ全国的に早くなっていて、関東や東北南部などでは記録的に早くなっています。

 ウェザーマップの予想では、桜前線は4月15日に津軽海峡を越え、4月24日に札幌に到達します。

 桜など、色々な花が一斉に咲く北国の春もすぐそこです。

タイトル画像、図2、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図3の出典:気象庁資料とウェザーマップ資料をもとに著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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